「鴨川自然王国」の水田に立つ加藤登紀子(左)と娘のYae
8月13日、ロシアのプーチン大統領が北方領土の択捉(えとろふ)島を初めて訪問したことが、日露関係を大きく揺さぶっている。高市早苗首相は「断じて許容できない」と即座に批判し、茂木敏光外相は駐日ロシア大使を呼び出して強く抗議した。これに対し、ロシア側も武藤顕駐ロシア大使を呼び出したことを明らかにしている。
北方領土は、外務省のHPによれば「これまで一度も外国の領土になったことのない、日本固有の領土」だ。
「北方領土には終戦時、1万7000人の日本人が住んでおり、漁業などが盛んにおこなわれていました。しかし、第二次世界大戦末期の1945年8月9日、当時のソ連が日ソ中立条約を無視して対日参戦し、満州や樺太、千島列島へ攻め入り、日本が降伏した後も攻撃を続け、8月28日から9月5日までに北方四島を占領しました。そして現在もなお、ロシアによる不法占拠が続いています」(大手紙外信部記者)
日露関係が微妙な折も折、日本国民の神経を逆なでするような発言で“炎上”したのが、歌手の加藤登紀子だ。8月16日放送の『サンデーモーニング』(TBS系)での発言が物議を醸している。
元外務事務次官で大阪大学特任教授の藪中三十二氏が「日本政府としては絶対に認められない。日本固有の領土であると。これは変わりがないんですね。高市総理が言われるように、断じて許容できない」と述べると、加藤は以下のように訴えた。
「北方領土に対して、日本の要求は当然とおっしゃったんですけど、私、いろいろ調べましたら、やはり現在、北方領土はロシアの領有されているものなんで、そこにプーチンが行くということに直接、(日本は)抗議できるという立場に(ない)。交渉中であるというのが日本の概念ですけど、ロシア側はそうではないわけなんで、やっぱり、ちょうどその時期、いま、戦争が終わって、敗戦81年ですけど、その最後の段階で北方領土はいったん、ロシアの領有、当時はソ連ですけどね、なっているということに対して、一定の客観的判断は必要だと思うんですね」
この発言の後、進行役の駒田健吾アナが「加藤さんは『領有』という言葉をお使いになりましたが、正しくはロシアが実効支配しているという形ですよね」とフォローしたが、“反響”は大きかった。
加藤は「私たち求められているのは、シリアスにね、現実的に求められているのは領土ではなくて平和なんですよ。平和であってほしいんですね」とも訴えているが、あまりにロシア寄りともとれる姿勢に、ネット上では批判の声が渦巻いている。
《「北方領土はロシアにあげて、平和や交流だ」と言ってます??》
《北方領土から追い出された1万7千人もの日本人の返還への願いを代弁してきたと思いきや、加藤登紀子があからさまな裏切り》
そして、加藤の経歴から、その姿勢は当然という声も見受けられた。
《サンモニでの発言は納得してしまうくらいの真っ赤な人。この経歴を知ってTVに出演させるTBSも真っ赤なんです》
加藤は1943年、ロシア国境に近い中国東北部の旧満州・ハルビンに生まれ、幼少期からロシアの文化や風俗に親しんできた。両親は壮絶な引き揚げ体験を経て帰国後、1957年に東京で「スンガリー」、1972年に京都で「レストランキエフ」というロシア料理店を開いている。
「加藤さんはロシア人の従業員にかわいがられ、『満州時代にロシア人と一緒に暮らしていた空気感がそのままあった』と、最近のインタビューで語っています。ハルビンで生まれたことや壮絶な引き揚げ体験が、愛や平和を歌う活動につながっていると明かしています」(芸能担当記者)
そして、加藤の来歴を語るうえで欠かせないもうひとつの体験が、藤本敏夫氏との出会いだ。藤本氏は1960年代の激しい学生運動のなかで「三派系全学連」の委員長として、組織を率いていた。
「防衛庁襲撃事件などで逮捕され服役中だった1972年、当時、東大生ですでに人気歌手だった加藤さんと獄中で結婚し、世間に衝撃を与えました。出所後、藤本氏は政治闘争から身を引き、1976年には本格的な有機野菜の宅配システム『大地を守る会』を立ち上げています。1981年には千葉県鴨川市に農業組合法人『鴨川自然王国』を設立しています。藤本氏は2002年に58歳で亡くなりましたが、その意志は加藤さんはじめ3人の娘さんたちに引き継がれているはずです」(同前)
一方で、北方領土問題は今日に至るまで、日露関係の最大の懸案事項となっている。
「1956年に日ソ共同宣言が署名され、ソ連との国交が回復した際に、ソ連は日本との平和条約が締結された後、歯舞(はぼまい)群島及び色丹(しこたん)島の2島を日本に引き渡すことに同意しています。2018年のシンガポールでの首脳会談では、安倍晋三首相とプーチン大統領は『1956年宣言を基礎として平和条約交渉を加速させる』ことで合意しています。しかしその後、交渉はまったく進んでいません。今回のプーチン大統領の北方領土訪問は、4島の実効支配を誇示し、ウクライナ侵略をめぐって対露制裁を続ける日本をけん制する狙いがあるとみられます」(前出・外信部記者)
愛や平和を歌うのに誰も異存はないはずだが、問題は、それがプーチン大統領に通じるかどうかだ。
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