いい意味でリアリティ度外視のトンデモSFに振り切ったことでバズッた、Kis-My-Ft2・玉森裕太主演のサスペンス・ラブストーリー『マイ・フィクション』(テレビ朝日系)。
8月23日(日)に最終話(第8話)が放送され、完結した。ここからは最終話のネタバレありで解説するため、未視聴の方はご注意を。
■【ネタバレあり】最初から主人公の自作自演だった
結論から言うと、この物語は最初から主人公の自作自演だったことが明かされた。
主人公・伊川正樹(玉森)は妻の伊川真弓(宮澤エマ)と幸せな生活を送っていた。だが、物語中盤で、主人公は記憶が改ざんされており、2年前に亡くなったとされていた二宮由梨(森川葵)の夫・二宮祐介だと明かされる。
しかし、実はそれも真実ではなく、由梨も記憶を改ざんされていたことが終盤で発覚。由梨の本当の夫は刑事の津村大輔(野村周平)だったのだが、ある事件に遭遇したことがきっかけで主人公が由梨の頭の中から津村の記憶を消去。代わりに自分が夫であるという記憶を移植して上書きしていたのだ。
主人公が “二宮祐介” としての記憶を失い、“伊川正樹” として生きていたのも、自分で記憶の書き換えをおこなっていたからだった。
本作の世界では、裏で警察とニューロヴァイスという企業が結託して、「PS(ペルソナ・シフト)プログラム」という大掛かりな計画を進行していた。犯罪者の記憶を改ざんして別人に生まれ変わらせるという計画に不可欠な記憶改ざん技術を発明したのが、ニューロヴァイスの研究員だった主人公・二宮祐介だったというのが、真相である。
よくよく考えてみれば、『マイ・フィクション』を直訳すると “私の小説”、“私の作り話” といった意味になる。この物語の主要登場人物たちは、主人公が書いたシナリオに翻弄されていたわけで、最初から作品タイトルで思いっきりネタばらしされていたのだ。
けれど、タイトルでネタバレしていたにもかかわらず、物語の序盤ではまさか主人公が黒幕で自作自演していたということは、なかなか予想できなかっただろう。なんとも秀逸なタイトルだった。
■主人公は気色悪いマッドサイエンティストでしかない
最終話を観終えて振り返ると、最初は主人公をつけ狙う怪しい人物として描かれていた津村大輔が、一貫してヒーロームーブをしていたことがわかる。終始、正義感あふれるいいヤツで、彼こそがある意味 “主人公” だった。この物語は津村視点で描いていっても極上のサスペンスになっていたのではないか。
逆に、主人公・二宮祐介は玉森というイケメンアイドルが演じていたからよかったものの、彼のやってきたことを考えると、気色悪いマッドサイエンティストでしかない。
伊川真弓(本当は石野奈々美という人物だった)と二宮由梨という2人の女性の夫のフリをしていたからだ。もともと自分を愛していなかった女性たちの記憶を改ざんして、長らく愛しあう夫婦生活を送っていたのである。
最終話で石野奈々美が「ちょっとキモいね」とつぶやいていたが、玉森のビジュがあるから “ただしイケメンに限る” がぎりぎり成立していただけで、普通に考えればちょっとどころではなく、相当きしょい。
■ラストで国仲涼子が発した発言は続編フラグなのか
そんな主人公の気持ち悪さに注目がいきがちの最終話だったが、終盤でとんでもないシーンが描かれていた。
「PSプログラム」に加担していた警察官(国仲涼子)が、副総監を前に「今後、『PSプログラム』の候補者の選定には私も入ります」と宣言していたのだ。
また、記憶を改ざんされた新たな被験者を、ニューロヴァイスの社員(レインボー・ジャンボたかお)がカメラで監視している描写もあった。
この手のサスペンスもののエンディングでは、秘密計画は潰され、組織は壊滅するというのがセオリーだろう。だが、このドラマのラストでは、計画に加担していた者たちが罰せられることも死亡することもなく、のうのうと計画が続行されているという、不穏極まりないラストだったというわけだ。
これは続編フラグなのではないか。人の記憶を消去したり別の記憶を植えつけたりできるという設定があれば、まだまだ多様な切り口でストーリーを作れそうだし、本作はTVerの配信再生数が上々でヒット作となったため、続編制作も十分ありえそうだ。
このトンデモSF設定の可能性は無限大かもしれない。
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