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小池栄子『さよならノワール』良質でおもしろいのに「視聴率」大コケ中!『VIVANT』『Tシャツ~』にあって『さよなら~』にないものとは

芸能 記事投稿日:2026.09.08 11:00 最終更新日:2026.09.08 11:05

小池栄子『さよならノワール』良質でおもしろいのに「視聴率」大コケ中!『VIVANT』『Tシャツ~』にあって『さよなら~』にないものとは

小池栄子

 

 視聴率は “低値安定” で大コケしているが、やっぱりおもしろい。小池栄子主演の『さよならノワール』(フジテレビ系)のことだ。

 

 まずは、第1話から先週放送の第9話までの視聴率(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を追ってみよう。

 

 世帯視聴率は3.1%、2.7%、2.9%、3.1%、2.9%、2.3%、2.5%、2.6%、2.7%と推移。
 個人視聴率は1.8%、1.5%、1.7%、1.7%、1.5%、1.3%、1.4%、1.3%、1.4%と推移。

 

 いくらTVerなどの配信で視聴する層が増えたとはいえ、ゴールデン・プライム帯の連続ドラマで世帯2%台・個人1%台でうろうろしているという状況は、コケていると言わざるをえない。

 

 しかし、個人的な感想を言わせていただくと「良質でおもしろいドラマ」だと思うし、低視聴率ながらSNSなどネットの口コミで酷評やバッシングは少なく、おもしろいと評している視聴者が多い印象である。

 

■おもしろいドラマがヒットするとは限らない

 

 警視庁 西池袋署に新設された「犯罪被害者支援室」所属の元刑事・黒木(小池)が、犯罪被害者や遺族らに寄り添い、再び人生を歩み出すために支援していくという警察ヒューマンドラマ。

 

 先週の第9話で描かれたのは、仲間の刑事・鴨居(岡山天音)が過去の事件と向き合うエピソード。

 

 9歳少女が誘拐される事件が発生したのだが、犯人は20年前にも同様の事件を起こしており、しかも当時の少女は逃げようとしてベランダから飛び降りて亡くなってしまっていた。実は、その20年前の被害少女の兄が鴨居で、黒木たち犯罪被害者支援室は、犯人へ復讐するおそれのある鴨居を、被害者遺族として支援していくという展開だった。

 

 昨年、自身が主演した連ドラ『ひらやすみ』(NHK)をヒットさせている岡山天音は、さすがの演技巧者っぷりで、刑事であり被害者遺族でもあるという難役の感情を繊細に表現。また、彼とコンビを組む刑事を演じる味方良介や、20年前の事件にも関与していた精神科医を演じる岡部たかしも、バイプレイヤーとして抑えた渋い演技でいい味を出していた。

 

 とにかく先週放送回も相変わらず硬派な作りで、質のいいエンターテインメントに昇華されていたと思う。けれど、いい主演俳優、いいキャスト陣、いい脚本、いい演出が揃っていてもヒットせず。

 

 ヒットしている作品はおもしろいドラマであることは間違いないが、おもしろいドラマがヒットするとは限らないのだ。この良作が不発のまま終わりそうだという状況に、改めて “ヒットさせる” ことの難しさを深く考えさせられる。

 

■『さよなら~』にはなにが足りていないのか?

 

 俳優陣も脚本・演出も申し分ない『さよならノワール』には、なにが足りていないのか?

 

 まず作品の設定上、仕方のないことなのだが、『さよならノワール』は警察ドラマでありながら主人公は刑事ではないので展開が地味だし、被害者や遺族にスポットが当たるため、全般的にストーリーが暗い。またそのテイストに合わせているため、画面全体がどんよりと暗い色調になっている。

 

 要するに、派手さがない、華がない、明るさがないのだ。

 

 ライバルとなる今クールのヒット作と比較すると、さらに “足りないもの” が見えてきた。

 

 今クールはもともと大本命だった日曜劇場『VIVANT』第2シーズン(TBS系)が視聴率や配信再生数においてぶっちぎりトップ。有名脚本家の最新作として注目を集めていた金曜ドラマ『Tシャツが乾くまで』(TBS系)も、不倫疑惑によって考察要素が多く、配信再生数でヒットしている。

 

『さよならノワール』に『VIVANT』のようなダイナミックな映像がないのはもちろんなのだが、映像ということなら『Tシャツが乾くまで』もいっさい派手さがなく、なんだったら『さよならノワール』よりも淡々としていて地味なシーンばかり。それでも大ヒットしている。

 

『VIVANT』と『Tシャツが乾くまで』に共通しているのは、よくも悪くも視聴者の心をぶんぶん振り回してくるストーリーだ。視聴者の想像の斜め上をいく展開がたびたびぶっ込まれたり、謎が謎を呼んで考察熱に拍車がかかったりして、観ている人々の感情を揺さぶりまくる。

 

 感情の波の上下がとても大きく、それが中毒的な刺激になり、没入する視聴者が続出しているのではないか。

 

■心が揺さぶられるような感覚が薄い

 

 対する『さよならノワール』はどうか。

 

 提示されるテーマは重く深いのだが、“ずどんっ!” と衝撃的に示されるわけではなく、そのテーマ性をゆるやかにじっくりと視聴者の心に浸透させるようなストーリーの描き方がされている。だから、ショッキングに心がぶんぶん揺さぶられるような感覚は薄い。ストーリーを追っていて「いま、どうなってるんだ!?」「この先、どうなるんだ!?」という感覚があまりないのだ。

 

 たとえるなら、『VIVANT』と『Tシャツが乾くまで』はめらめらと燃えさかる赤い炎で、『さよならノワール』は高温ながら静かに淡々と燃えている青い炎。テレビの連続ドラマとしてより多くの人を惹きつけるのは、赤い炎ということなのかもしれない。

 

 ただ、放送するテレビ局やドラマ枠によって、そもそもの注目度の差もある。

 

“たられば” の話になるが、もし『さよならノワール』が民放局一のブランド力を誇るドラマ枠「日曜劇場」で放送されていたなら、もともと作品自体の質はいいわけだから、高視聴率を連発して大絶賛されていた可能性もあるだろう。

 

――今夜の放送は第10話。最終話も近い。せめてこの終盤で少しでも巻き返して、最終話のクライマックスで世間も盛り上がってくれればと思うが、はたして……。

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出典元: SmartFLASH

著者: 堺屋大地

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