10月17日、コント日本一を決める大会『キングオブコント2026』(TBS系)の決勝戦が開催されます。今年のファイナリストの顔ぶれは以下の通りです。
相性はいいよね、ヤッホイ、ダウ90000が初の決勝進出。さらに2021年にはトリオでファイナリストとなったジェラードンが、コンビでは初の決勝進出を果たしました。
そのほか、ニッポンの社長は2年ぶり6回目、や団は5年連続5回目、蛙亭は3年ぶり3回目、ななまがりは10年ぶり2回目、ザ・マミィは5年ぶり2回目、元祖いちごちゃんが2年連続2回目となります。
過去に18回開催された歴史あるこの大会において、非常に興味深いデータがありました。これまでキングオブコントの歴史を振り返ると、通算2回以上決勝進出を果たして優勝をつかみ取った歴代王者は8組であるのに対し、決勝戦に初進出でそのままストレートに優勝を掴み取ったコンビ・トリオは歴代で10組を数えます。
複数回決勝に進んで経験を重ねた組が優勝するより、初出場の勢いそのままに頂点へ駆け上がる組のほうが多いのです。今大会で言えば、初出場の3組、相性はいいよね、ヤッホイ、ダウ90000に大きなチャンスが眠っていると言えます。
なぜ、初出場の優勝が多いのでしょうか。その理由は、何と言ってもフレッシュで勢いがあることに加え、その時点で自分たちが持つ「一番強いネタ2本」を出し惜しみなく決勝の舞台にぶつけられるからです。
逆に、一度決勝の舞台を踏みながら優勝を逃してしまうと、翌年以降はまた新たに「一番強いネタを2本作る」という高いハードルを課されることになります。王者の座がいかに険しい道であるかを物語る話です。
そんな「初出場の爆発力と強さ」を体現したのが、2012年に決勝へ初進出し、そのままの勢いで頂点に立ったバイきんぐです。筆者は以前、当時芸歴16年で悲願の優勝を果たした小峠英二さんと西村瑞樹さんに話を聞いています。
バイきんぐと言えば、優勝して世に出るまでに16年かかった苦労人として知られています。そうした暗黒時代を抜け出したのは『キングオブコント2012』で優勝する4年ほど前。そのころから結果が出始めたのだといいます。
小峠「優勝前の4年間は、2カ月に1回、新ネタを6本書き下ろすライブをやってたんです。6本あるので、いろんなパターンのネタを作ったんですよ。そのうちお客さんが求めているネタがわかって、今の西村がボケで僕がツッコむネタばかり作るようになって、転がりだしました」
キングオブコント対策については、次のように語ってくれました。
小峠「僕は、『キングオブコント』の決勝でやる2本のネタが、同じテイストじゃないとダメだと思います。しかも2本とも強いネタじゃないと。1本目が面白くて、お客さんがなんとなく『あ~こういうコンビなんだ』と思って、2本目にボケとツッコミを入れ替えたり、急にリズムネタを始めたら、僕はコケるパターンかと思いますね」
西村「M-1も1本目と2本目のネタが同じほうがいいイメージが強いです」
確かに、小峠さんが言うパターンはありました。それはチョコレートプラネットとロッチです。1本目めちゃくちウケて、みんなが優勝だと思っていたら急に2本目がスベる。この現象を起こしている2組の共通点は、1本目と2本目でボケとツッコミの役割を逆にしていました。
小峠さんが、決勝前夜にあえて普段どおり夜勤のバイトを入れていたという話も興味深かったです。
小峠「普段と同じ生活をしようと思って。バイトをずっとやっていたから、前日休むんじゃなくて、普通にバイトをやって普通のリズムで普段どおりで行こうと思って」
変にリズムを変えたら平常心が保てず、「緊張するかもしれない」という考えからそうしたと言います。
小峠「でも、バイトの人は、僕が出勤したことにビックリしてましたけどね」
その行動が功を奏したのか、決勝当日の心境について次のように明かしてくれました。
小峠「高ぶりはありましたが、『うわ~、どうしよう?』って感じの緊張はなかったです」
そして、見事につかみ取った優勝で、バイきんぐの芸人人生は一変しました。
小峠「キングオブコントの打ち上げ中に、マネージャーさんの電話が鳴りやまない感じでした。『笑っていいとも!』(フジテレビ系)が入った、明日『アッコにおまかせ!』(TBS系)が入ったと聞いて、すげぇなと思いました」
西村「優勝前は、月給が平均で1万とか2万だったんで」
小峠「2万あったら、ちょっと嬉しいなって感じで。それが最初24万になって、50万とかになって、倍、倍、倍……でも24万円のときが一番うれしかったですね(笑)。僕は『お笑いで飯を食う』というのが目標だったので、『やっとこれでお笑いだけで飯を食える』と思いましたから」
西村「僕は優勝賞金500万円をもらったときが一番うれしかったです。でも、借金を返したり、滞納していた税金を払ったりしたら、すぐになくなりましたけど。ただ優勝賞金で2人とも時計を買いました。バナナマンさんから『お前ら、優勝賞金で記念に時計を買ったほうがいいよ』って言われて。それで80万円の時計を買いました」
小峠「僕は130万ぐらいですかね」
苦節を経て手に入れた栄光と、そこから人生を切り開いたバイきんぐの足跡を見てもわかるように、キングオブコントという舞台は一瞬にして人生を変える力を秘めています。
はたして、今年の『キングオブコント2026』ではどのようなドラマが生まれ、どの組が新たな歴史の扉を開くのでしょうか。10月17日の決戦に注目です。
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