
松岡茉優が主演を務めるドラマ『ダウンタイム』(写真・公式Instagramより)
松岡茉優が主演を務めるNetflixドラマ『ダウンタイム』が大ヒットしている。同作は華やかな美容外科業界の裏側をドラマティックに描いた作品だ。
「さまざまな事情を抱え、美容整形をおこなおうとする患者や、手術のイップスに悩む医師など、業界の表と裏を生々しく描いた作品です。整形手術を受けたことを公言する芸能人が増えるなか、美容外科業界はまさに身近なものになりつつあります。
憧れや恐れ、偏見など様々な愛憎を描いた作品として女性を中心に大人気となっています」(芸能記者)
同作の舞台は、松岡演じる医師・沼田文が働く「遠山美容外科クリニック」。もちろん同クリニックは架空のものだが、読み方がほぼ同じ「当山美容形成外科」というクリニックが実在し、ファンの間で注目が集まっているという。
「『ダウンタイム』にはイケメン医師として間宮祥太朗さんが登場します。そして沖縄に実在する『当山美容形成外科』は病院名が同じ読みというだけでなく、間宮さんに取らないほどのイケメン医師がいるとして、一部ネット上で話題になっています」(同前)
ドラマの影響で現実の「当山美容形成外科」に訪れる患者も増えているのだろうか。同クリニックのイケメン医師・藤本アベリーノ氏に聞いた。
「じつは直接『ダウンタイムを見た』と言って来院される方はまだおらず、ドラマの影響で予約が増えているというわけではないんですよ(笑)。
ただ、SNSやホームページを見て来院される方はちょっとずつ増えています、まあ微増といった感覚ですね。当院の院長は国内に数少ないヒアルロン酸注入の指導医でもあります。ドラマをきっかけに『医療としての安心感』を求めて来院される患者さんは、今後増えていくかもしれません」(藤本氏。以下同)
最前線で活躍するプロの目に、ドラマはどう映っているのだろうか。
「手術の描写は本物に近く、医療スタッフの間でも『出来が良い』と話題になりました。逆に一番あり得ないと感じたのは、第1話の『ボトックスシャンパンタワー』ですね。公共の場で注射を打つのは衛生面や安全面から絶対にNGです。ボトックスは過剰投与すると全身に影響が出る危険性がありますから」
劇中ではいきなり来院し「今すぐ手術してほしい」と要求する患者も登場するが、現実には難しいという。
「当日契約へ誘導する大手クリニックは、実際に一部存在するようです。しかし、鼻整形やフェイスリフトなどの施術を予約なしで当日に受けるというケースはほとんどないですね。ダウンタイムの終了が大切な予定に間に合わないこともあるため、まずは術後の経過などを正しく理解していただく必要があります」
間宮が演じたようなビジュアルが優れる医師は、実際に業界で有利なのだろうか。
「SNS集客の領域では最大の武器になります。現在、初期研修後に外科経験などを積まず、直接美容外科医になる『直美(チョクビ)』と呼ばれる若手医師が増えており、業界内にとどまらず社会問題にもなっています。外科的能力がゼロのままルックスとSNSに頼る医師は実在するので、劇中の姿を見て『こういう人、いるいる〜』と思いましたね」
さらに、同業者だからこそ知る悪質な手口についても警鐘を鳴らす。
「1万〜3万円の格安費用を謳う広告で集客し、来院すると『あなたには50万円の施術が必要』と高額契約に誘導する手口があるとよく聞きます。そういったクリニックでは『月々1万円で済む』と医療ローンを勧めますが、実際は高金利で5〜7年も支払いが続きます。即決せず、必ず複数のクリニックで判断してもらった上で見積もりを取ることが大切です」
美容整形で避けて通れない「ダウンタイム」については、一般の患者は甘く見がちだという。
「腫れや内出血が引くまで3カ月〜半年かかることもあります。しかもダウンタイム中は『何もしない時間』ではなく、圧迫や冷却など『積極的にやるべきこと』があるケースもあります。劇中では取っ組み合いの喧嘩をして鼻のプロテーゼが飛び出すシーンがありましたが、あれも実は『あるある』です。鼻の皮膚は非常に薄いので、下から力が加わると突き抜けることがあります」
甘いマスクとは裏腹に、美容医療のリアルを真摯に語ってくれた藤本氏。ドラマをきっかけに、正しい知識を持つ人が増えることを願うばかりだ。
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