
坂口健太郎
フジが巨額を投じたビッグプロジェクトだというのに、視聴率は低空飛行で、TVerの配信再生数も飛び抜けて高いわけでもなく、散々な状態になっている。
10月27日(火)に第4話が放送された坂口健太郎主演の『kiDnap GAME』(フジテレビ系)。
本作はフジテレビが香港・韓国の制作会社と組んだ海外共同製作作品。東京、ソウル、台北、シンガポール、バンコク、那覇、マニラという7都市を舞台に展開される、スケールの大きい連続ドラマとなっている。
しかし、視聴率(ビデオリサーチ調べ、関東地区)は第1話から第4話まで、世帯視聴率が4.7%、4.3%、3.1%、3.5%、個人視聴率が2.6%、2.6%、1.7%、2.0%と推移。
TVerのお気に入り登録数は52.5万(11月1日現在)で、第1話のTVer再生数は200万を突破しているとのこと。健闘はしているが飛び抜けて高いわけではなく、フジの注力具合から考えると、とてもじゃないが成功とは言いがたい。
どうしてここまでコケてしまっているのか? 原因を探ってみたい。
■多少はストーリーの展開が変化したが…
アジア7都市で同時多発誘拐事件が発生し、主人公の刑事(坂口)の妻が東京でさらわれてしまう。そして各都市で誘拐された人質の家族や恋人が、愛する者を救出するために命懸けのゲーム「kiDnap GAME」に強制参加させられる。参加者には指令が与えられ、クリアすれば自身の人質は助かるものの、ほかの人質は殺されてしまうというルールだ。
参加者7名のうち第2話と第3話でそれぞれ1名が脱落しており、人質2名が命を落としている状態。
さすがに毎回1名脱落&1名死亡という法則が続くわけではなく、第4話は脱落者も死者も出なかったため、多少はストーリー展開に変化が見られた。
また、これまでは参加者がそれぞれ単独で行動していたものの、第4話で主人公の刑事がソウルに渡り、参加者の医師(イ・ジュンギ)と初対面。
医師は人質に取られた愛娘を助けるために、自殺をして「kiDnap GAME」を終わらせようとしていたが、刑事が間一髪で阻止。そして刑事の説得により協力していくことになり、第4話ラストは2人が台北に向かうところで幕を下ろした。
■目の肥えた視聴者が引き込まれないワケ
第4話で主人公が東京からソウルへ渡り、続く第5話では台北が舞台になるようなので、いよいよアジア各都市を巻き込んだスケールの大きさが活かされる展開になってきている。さらにここからは、刑事と医師のバディもののテイストも加わりそう。
中盤回である第4話で物語のフェーズが変わったわけだ。だが、正直言うと、“それがどうした?” というレベルの変化でしかない。
そもそもアジア各都市で事件が起こっているのだから、主人公が各国を飛び回る展開になるのは想定の範囲内だし、準主役の韓国医師と共闘する展開になるのも想定内。変化があったのは間違いないが、驚きはなかった。
ここまで低調だと、起爆剤となるような激的なゲームチェンジが必要ではないか。たとえば、早々に「kiDnap GAME」をクリアする者が現れてゲーム終了後に衝撃展開が待っているとか、ゲーム首謀者の正体が明かされるもさらなる巨悪が現れて主人公と首謀者が共闘するとか。
いずれにしても予定調和をぶっ壊す、視聴者の想像の斜め上をいくようなフェーズに入っていかないと、目の肥えた視聴者は引き込まれないだろうし、このままずるずると低空飛行のまま最終話を迎えることになりかねない。
■主人公も準主役も平凡すぎて深みがない
また第4話には、このビッグプロジェクトドラマがコケてしまっている原因が凝縮されているようなシーンがあった。それは主人公の刑事が韓国人医師の自殺を食い止め、説得する場面。
主人公と準主役の初対面となるため、この回のクライマックスだったのだろうが、主人公のセリフが薄っぺらい正義感を並べているだけで、とてもチープに感じられてしまった。
「もちろん救いたい! でも沙織は、妻はきっと言う。君みたいな人(韓国医師)をこんなゲームで死なせちゃだめだって」
「君は、誰よりも人の、命の大切さをわかってる! だから自分の命をかけてでも、娘を助けようとしてる。誰も傷つけずに殺さずに、戦ってる」
「もう……誰も死なせたくないんだ! 妻も、君の娘も。必ず、君と娘を無事に再会させる。みんなも助ける! だから君の力を貸してくれ」
これは主人公の刑事が医師に放ったセリフである。
ドラマ制作陣はこのシーンを見せ場として視聴者を感動させたかったのだろうが、こんなきれいごとの正論をなんのひねりもなく主人公にしゃべらせている時点で、一事が万事でこの作品の底が知れるというもの。
なんだったら、ふだんはこういうきれいごとばかり言うキャラが、精神的に追い込まれて、ぶっ壊れてしまうぐらいの極限状態のスリルを描いてくれないと……。
さらに言うと、刑事と医師はテンプレどおりの正義漢キャラと温厚誠実キャラで、平凡すぎて深みもない。ありがちなキャラ造形で既視感ありまくりのこの主人公と準主役で、胸を打つような会話劇が繰り広げられるわけがないのだ。
今夜の放送は第5話。そろそろ本当に視聴者を驚かせる衝撃展開や、大人の涙腺を刺激する感動展開でもないと、浮上できないまま回を重ねて、ぬるっと最終話を迎えかねない。
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