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藤井フミヤが通算113回目の武道館ライブ…『ギザギザハートの子守唄』で客席が群舞のような一体感【360度ステージの「熱狂」ルポ】

芸能 記事投稿日:2026.11.03 17:30 最終更新日:2026.11.03 17:39

藤井フミヤが通算113回目の武道館ライブ…『ギザギザハートの子守唄』で客席が群舞のような一体感【360度ステージの「熱狂」ルポ】

武道館ライブをおこなった藤井フミヤ「藤井フミヤ ARENA LIVE 2026 360°」より

 

「どっちが前だっけ?」
「こっちー!」

 

 藤井フミヤと観客の掛け合いは、360度のセンターステージならではのお約束だ。フミヤの視線を求め、全方位から「こっちが正面だ」とばかりに歓声が飛ぶ。ボケるフミヤにツッコむファン。この独特の間合いが、フミヤとファンの関係性の濃密さを物語っている。

 

 2026年10月18日、日本武道館。東阪アリーナライブ「藤井フミヤ ARENA LIVE 2026 360°」の最終日、オープニングを飾ったのは、チェッカーズの12枚目のシングル『NANA』(作詞:藤井郁弥、作曲:藤井尚之)だった。

 

 デビューは1983年。提供曲でヒット曲を連発していたチェッカーズが、自らの手で未来を切り拓くべく世に問うた勝負作だ。『NANA』のリリースから40年。尚之のサックスが響き渡ると、客席の誰もが一瞬にして10代、20代の頃へと引き戻される。「歌はタイムマシンみたいなもの」と、かつてフミヤが口にしていた言葉が、目の前の熱気と重なり合う。

 

【M1~M4】
『NANA』『I Love you, SAYONARA』『NEXT GENERATION』『Friends and Dream』

 

 360度のステージは、楽しい仕掛けに満ちている。どの座席からでも距離が近く感じられるうえ、フミヤは “どっちも前” なので、歌は全方位へ向かう。

 

 通常なら舞台袖に隠されているはずの楽器類も、ステージ下を取り囲むように並ぶ。尚之がサックスからギターへと持ち替えるたび、スタッフがステージへ上がる様子までもが視界に入る。

 

 バンドの配置も変則的だ。客席側へ正面を向けて立つのは、サックスの尚之、ベースの山田 “Anthony” サトシ、ギターの沢頭たかしの3人。一方、キーボードの櫻田泰啓とドラムの大島賢治は内側を向く。互いに背を向け、アイコンタクトも取りにくいなかで、長年培った耳と肌の感覚、そして信頼関係でグルーヴを揃えていく。百戦錬磨のアンサンブルだ。

 

 例によって、フミヤが立つセンターサークルに置かれているのはマイクスタンドのみで、歌詞を確認するプロンプターは見当たらない。新曲を含めて、歌詞をすべて体に入れて立つというボーカリストとしての “覚悟” が静かに伝わってくる。

 

 話をライブに戻そう。チェッカーズ中期のヒット曲が続いたあと、ステージは弟の尚之とのユニット、F-BLOODのブロックへ。お笑いコンビの猿岩石に提供した国民的ヒット曲『白い雲のように』が流れると、『進め!電波少年』(日本テレビ系)のユーラシア大陸横断ヒッチハイクで、ベトナムの公園で死にそうになっていた有吉弘行と森脇和成の姿が目に浮かんできた。

 

 後年、紅白歌合戦で司会者となった有吉が、フミヤと同じ舞台に立ってこの歌を歌うことになるのだから、人生はわからない。

 

【M5~M8】
『白い雲のように』『天気模様』(新曲)『「I」』『SHOOTING STAR』

 

 続いて、ソロのバラードのブロックへ。代表曲『Another Orion』では、頭上に吊るされた巨大なミラーボールに反射した無数の光の粒が、武道館の内壁を満天の星空へと変えた。フミヤの歌声は、高音になるほど太く、力強さを増していく。

 

【M9~M12】
『DO NOT』『TRUE LOVE』『Another Orion』『Go the Distance』

 

 尚之のサックスソロを中心に、バンドメンバーの演奏を楽しむインスト曲『FINAL LAP』では、アシッドジャズ風のグルーヴに乗せて、大人のサウンドを聴かせる。この間にフミヤは、グレーのスリーピースから、ブルゾンと細身の黒パンツに着替える。そして、チェッカーズのデビュー曲『ギザギザハートの子守唄』が始まる。鋭さと甘さをブレンドした声は、1980年代の不良の味がする。

 

 観客はフミヤの振りに合わせ、阿吽の呼吸で同じポーズを返す。フミヤが右を指せば、客席全体が右を指す。3番の「仲間がバイクで〜」のくだりでフミヤが身を屈めると、観客も腰を落とした。客席全体が群舞のように動き、一体感があった。

 

【M13~M17】
『FINAL LAP』『ギザギザハートの子守唄』『あの娘とスキャンダル』『ジュリアに傷心』『星屑のステージ』

 

 当時ヒットチャートを駆け上がった名曲たちが惜しみなく繰り出され、興奮とともに感動の波が押し寄せる。フミヤの抜群のリズム感と正確なピッチは、楽曲の魅力を最大限に引き出していく。ファンはその歌声に酔いしれ、熱狂した。

 

 大歓声の余韻を受け止めながら、フミヤが笑顔で語り始めた。

 

「昭和の匂いがプンプンしてきましたね。あの頃の君らは可愛かった……。今も可愛いです。真っ暗で何にも見えませんけど。でも、心で感じるものはあの頃と何も変わってない」

 

 フミヤは、会場の笑いを誘い、心を掴むのが上手い。

 

「最後のブロックになります。一番盛り上がるのは、やっぱりロックンロール。世の中にはいろんなロックがあるけれど、本当のロックンロールは楽しく踊れる、騒げる。基本を忘れちゃいけない。女の子をナンパするために、一緒に踊るために作られたんです。最後、ロックンロールで盛り上がろうぜ! Yeah! Yeah! Yeah! Come on!」

 

【M18~M21】
『タイムマシーン』『I LOVE IT! ドーナッツ!』『WE ARE ミーハー』『ココロ』

 

 鳴り止まぬ拍手、歓声。地響きのような「アンコール」。暗転したステージに、再び光が灯る。

 

 ファンが自作した紙飛行機を飛ばす時間だ。色もサイズもさまざまで、イラストやフミヤへのメッセージが書き込まれた、世界にひとつだけの紙飛行機たちが、一斉にフミヤをめがけて放たれる。高く遠く、緩やかな放物線を描いて降り注ぐ。

 

 フミヤにとって日本武道館は、チェッカーズの解散ライブをはじめ、数々のツアーファイナルを飾ってきた特別な場所だ。重ねてきた公演数は、ソロで60本、チェッカーズ、F-BLOODを合わせれば113本におよぶ。

 

「人生はここまで生きてくると、短いなって感じがしますけど。あと何回この場所で、武道館でライブができるかわかりませんが、やったときは来てねっていう話です。人生の中でほんの2時間ぐらいですが、ここに一緒にいられたこと、本当に感謝します。みんなの人生の2時間と俺の2時間が、同じ場所で。それでは、今日はありがとう」

 

【M22~M24】
『エンジェル』『紙飛行機』『未完成タワー』

 

 歌い終えたフミヤは、会場に手を振りながら花道を歩いて去っていく……と思いきや、突然走り出して、もう一度センターステージへ。

 

「バンザイ! バンザイ! バンザイ! じゃあな!」

 

 最後、武道館に響いたのは、フミヤとオーディエンスによる万歳三唱だった。

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出典元: SmartFLASH

著者: 『FLASH』編集部

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