
『VIVANT』のロケをする堺雅人
11月1日放送の堺雅人主演の日曜劇場『VIVANT』(TBS系)第23話。番組冒頭、黒い背景に白い文字で《このドラマはフィクションです》《実在する人物・団体・事件・歴史的事象とは一切関係ありません》《劇中に登場する国や地域に関する描写は創作上の設定で暴力や国家間の対立を助長する意図は一切ありません》とのテロップが表示された。
背景にあるのは、劇中に登場する中国系の秘密組織「シンシー」の描写をめぐる騒動だ。自衛隊の秘密組織「別班」のメンバーが拷問を受ける場面などに中国から批判が上がり、エンターテインメント作品の演出が政治的な問題として取り沙汰されている。
「ドラマは最終回に向けて、登場人物の正体や伏線に視聴者の関心が集まっています。それだけに、冒頭から作品外の論争を意識させる説明が入ったことで、物語に集中したい視聴者が戸惑うのもわかります。ただ、制作側には、創作として楽しんでほしいという意図をあらためて伝える必要があったのでしょう」(テレビ局関係者)
中国では、『VIVANT』への批判が高まっている。10月下旬から、CCTV(中国中央電視台)が「旧日本軍の加害行為を中国人に転嫁している」「中国脅威論をあおっている」などと指摘。その後、共産党系の「環球時報」なども批判を始め、サンリオは『VIVANT』とのコラボを中止すると発表。
コラボ中止を受け、中国外務省の副報道局長は、29日の記者会見で、「このドラマは、文化作品を通じて中国を中傷し、反中感情をまき散らす勢力が日本に一貫して存在することを改めて示している」などと話し、批判を続けている。
こうした流れのなか、TBSの龍宝正峰社長は、28日の定例会見で、特定の国を敵視しているのではないか、暴力描写が過剰ではないかといった意見が届いていると説明。一方で、作品は完全なフィクションであり、特定の国家をおとしめたり、国家間の対立をあおったりする意図はないとの立場を示していた。
社長の説明に続き、放送画面でも改めて創作であることを強調したのが今回のテロップというわけだが、こうした一連の動きに対し、Xには不満や残念がる声が寄せられている。
《フィクションにいちいちリアルを持ち込むなよ》
《せっかくの素晴らしい作品なのに、余計な騒動で注目がそれてしまうのは残念》
だが、国内でも、政治家による問題提起が続いている。立憲民主党の小西洋之参院議員は、10月31日のXで、
《放送法ではテレビ局自らが番組基準を定め遵守することを求めています。TBSが採用する民放連基準はその文言からして、特定の国を敵視し敵意を煽る等の番組を禁止していると思われます。いずれにしても、TBSはVIVANTへの批判や疑問に対し、民放連基準との整合性の根拠を具体的に説明する責務を負います》
と、TBSに民放連の放送基準と劇中描写との整合性について、具体的な説明を求めた。なお、小西議員は、総務省の官僚時代、放送法を担当したことがあるという。
「11月1日には中国国防省も『VIVANT』について『侵略を美化』などと批判しています。国内の議員による問題提起と中国側の主張は分けて考える必要がありますが、ドラマの演出が国家間の問題にまで広がる状況は、制作現場にとって大きな重圧になるでしょう」(前出・テレビ局関係者)
最終回を前に、人気ドラマの話題が政治的な論争に覆われてしまっているようだ。
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