
繁華街を歩く阿部寛
今夜放送の第24話(第2シーズン第14話)で最終話を迎える堺雅人主演の日曜劇場『VIVANT』(TBS系)。
第2シーズンの世帯視聴率(ビデオリサーチ調べ、関東地区)は全話15%以上をキープしており、さすがの貫禄。さらに、最終話1話前となる先週の第23話は、世帯視聴率が第2シーズン最高タイ記録の18.8%、個人視聴率は第2シーズン最高の12.3%を叩き出し、クライマックスに向けて盛り上がっている。
特に先週の放送で衝撃だったのがラスト10秒。
敵組織「シンシー」のリュウ・ミンシュエン(堺雅人/1人3役)に、公安の野崎守(阿部寛)が銃で胸を撃たれてしまうシーンで幕を下ろしたのだ。
本作の準主役・野崎が死亡したのではないかと思わせるショッキングな展開だった。……だが、放送後のSNSなどでは “野崎はどうせ死んでいない”、“阿部寛を退場させるわけがない” といった冷めた声も少なくない。
不謹慎な表現に聞こえるかもしれないが、筆者は正直、「さすがにちゃんと死んでいてほしい」と思ったぐらいだ。
■もう “死んだ死んだ詐欺” はうんざり
死んでいてほしいと思ったのは、野崎守というキャラや阿部寛という役者が嫌いだからではない。個人的にはむしろ、主人公の別班・乃木憂助(堺)より野崎のほうが好きだし、阿部寛のことは日本で一番かっこいい60代だと思っている。
それでも、さすがに野崎は死んでいたほうがいいと感じたのは、もちろん相応の理由がある。『VIVANT』をここまで観てきた視聴者なら意味はわかると思うが、もう “死んだ死んだ詐欺” はうんざりだからだ。
このドラマでは、死んだかと思われていたキャラの死が偽装で、実は生きていましたという手法が何度も何度も使われているのである。
まずは第1シーズン。
最終話で、テントのリーダーで乃木の父親でもあるノゴーン・ベキ(役所広司)を、乃木が自らの手で葬ったかのようにして終幕していたが、乃木は銃で急所を外しており、第2シーズンで生きていることが明かされた。
中盤回でも乃木は同様の手法で、裏切って仲間の別班員4人を銃で撃ち殺したかと思わせておいて、急所を外して生かしていた。
■主人公の仲間で本当に亡くなったのは
続いて第2シーズン。
やはり死の偽装は常套手段となっており、公安を裏切って射殺されたと思われた新庄浩太郎(竜星涼)も、生きていて前線復帰。今シーズンから登場したリュウ・ミンシュエンは、第1シーズンではもう亡くなっていると語られていたが、その死も偽装だった。
野崎の仲間・ドラム(富栄ドラム)の場合は偽装ではないが、銃弾を6発も腹に受けて死亡したと思われたが、奇跡的に生還し、現在はもう元気いっぱいだ。
主人公の仲間で本当に亡くなったのは、シンシーの拷問で命を落とした別班・和田貢(平山祐介)ぐらいか。
ただ、忌憚なく言うと、和田はそこまで重要なキャラではなかった。第1シーズンで新キャラとして登場したかと思ったらわりとすぐに乃木に撃たれて戦線離脱しているし、第2シーズンではシンシーに捕まってずっと拷問を受けていただけ。別班としてかっこいい活躍が描かれるといった見せ場はなく、視聴者の思い入れもそこまで強くない。
また、和田を演じた平山は、いぶし銀のバイプレイヤーとして売れっ子の俳優ではあるが、当然ながら、役所広司・阿部寛クラスの名優と比較すると人気・知名度は低い。だから、和田が殉職したことは、そこまでショッキングではなかったのだ。
■これ以上チープな手法を乱用しないで
ここまで “死んだと思われていたキャラが生きていた” という展開を多用するドラマはかなり珍しいし、さすがにもう飽き飽き。
たしかに、人気キャラの死という衝撃展開は視聴者を引きつけるし、そのキャラが実は生きていたならば、また視聴者を引きつけるだろう。しかし、社会現象を巻き起こすほどの大ヒットとなっている『VIVANT』に、もうこれ以上、素人でも思いつくようなチープな手法を乱用しないでもらいたいのだ。
これが、野崎が生きていたら、ゲンナリして萎えてしまう理由である。
リュウと野崎は裏で結託しているという考察は根強いので、もしそうなら野崎は死なないだろう。また、阿部演じる準主役を退場させるわけがないと推理する視聴者も少なくない。
それゆえ、野崎が本当に死亡したらかなりショッキングだし、きれいごとだけでは語れない別班や公安の国防の戦いにリアリティが増すというものだ。
『VIVANT』というビッグプロジェクトにおいて、野崎守=阿部寛がとてつもなく大きな存在だからこそ、食傷気味の手法で安易に復活させるなんてことはせず、きちんと死を描くほうがドラマ制作陣としても英断だと思うのだが……。
はたして野崎の生死は? 今夜放送の最終回を刮目して待ちたい。
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