芸能・女子アナインタビュー

兒玉遥 SNSでの辛らつな言葉で「心が限界に」…新著で明かしたうつ病との闘い、二度の休業経て現在は女優業にも邁進

インタビュー
記事投稿日:2025.10.04 06:00 最終更新日:2025.10.04 07:34
出典元: 週刊FLASH 2025年10月14日号
著者: 『FLASH』編集部
兒玉遥 SNSでの辛らつな言葉で「心が限界に」…新著で明かしたうつ病との闘い、二度の休業経て現在は女優業にも邁進

将来の夢は「NHK大河ドラマ出演」という兒玉(写真・福田ヨシツグ)

 

「中学生のころの私は、学級委員を務めるなどよく言えば “超真面目な優等生”。違う言い方をすれば “陰キャのガリ勉” だったので、アイドルになると決めたときも、クラスのみんなが “えっ!? あの兒玉さんが?” という感じでした」

 

 AKB48、SKE48、NMB48に続いて2011年10月に誕生したHKT48の1期生で、デビュー時からセンター的存在だった兒玉遥(29)の旅立ちを、周囲は不安の眼差しで見つめていた。

 

「当時は女子バスケットボール部に入っていて、下手は下手なりに一生懸命頑張っていたんですけど、顧問の先生にオーディションに受かったと報告したときも、『芸能界なんて、あんたにできるとね?』と止められて……(苦笑)」

 

 歌にもダンスにも自信がない。胸を張れるのは頑張ることーー。不安と焦燥のなか、それでも兒玉は前だけを見つめて走り続けた。

 

「徹夜でダンスの練習をしたり、衣装がかわいく見えるようにもっと痩せなきゃと、無理なダイエットをしたり……振り返ると、自信がないからよけいに自分を追い込んでいたような気がします」

 

 そんな兒玉に寄り添ってくれたのが母の優しさと、バスケ部の顧問の先生からプレゼントされた金子みすゞの童謡集『このみちをゆこうよ』だったという。

 

「母校を訪ねるという企画の取材でお会いしたときに先生からいただいたんですけど、少しは認めてもらえたのかなと思うと嬉しくて、家に帰ってすぐに読みました」

 

“移動の際のお供にしてください。これは、あなたに贈る詩です” という手紙が添えられた童謡集には、26歳の若さで亡くなった金子みすゞが残した約500編の詩の中から、60編が収められている。

 

「そのときの自分の体調や心の状態によって好きな詩は変わるし、受け止め方も変わりますが、どの詩にも優しさが溢れていて “頑張ろう!” という気にさせてくれるんです」

 

 そんな兒玉の努力と比例するように、周囲の期待と評価はジリジリと上がっていった。シングル曲を歌うメンバーを決める「AKB48選抜総選挙」で37位(2013年)、21位(2014年)、17位(2015年)とポジションを上げ、2016年に開催された「AKB48 45thシングル選抜総選挙」では9位にランクアップし、初めて16人の選抜メンバーに選ばれた。

 

「本当なら嬉しいはずなのに、このころは眠れない日が続き、体が重く感じたり、わけもなく悲しくなり涙が出てくるようになって……」

 

 そのとき、すでに兒玉の心は悲鳴を上げていた。そして追い打ちをかけるように、その “事件” が起こった。

 

 2016年の『第67回NHK紅白歌合戦』内でおこなわれた「AKB48夢の紅白選抜」。16位から順に発表され、残るは1位と2位のみ。誰もが固唾を飲んで見守るなか、兒玉がセンターに移動した。

 

「あのときは頭の中がぼーっとして、事前に『上位に入っていると思った人はステージ中央に行くように』と言うスタッフの言葉だけを覚えていて……。体が中央に向かって動いていたんですよね」

 

 結果は29位。号泣する兒玉に対して、SNS上で辛辣な言葉の攻撃が始まった。

 

「グサグサと突き刺さる言葉のすべてを真正面から受け止めてしまって……心が折れ、限界を超えてしまいました」

 

 一度めは休養からわずか2カ月で復帰したために回復しきれておらず、8カ月後に二度めの休養を余儀なくされた。

 

「生きる力が限りなくゼロまで落ち込んで、あるのは絶望感だけ……最後は悲しいとか悔しいとかの感情も抜け落ちて、ただの無でした」

 

 そこから時間をかけてゆっくり半歩ずつ、なんとかもう一度歩き出す勇気を取り戻せたのは、カウンセラーの言葉と、 “何があっても遥は私が守る” と抱きしめてくれた母の強い決意、そして時々ページを開いた金子みすゞの童謡集だった。

 

「性格や考え方は簡単には変えられないといいますが、変えられます。私は変わりました。別人になった感じです」

 

 笑顔で話してくれた兒玉が、 “同じうつ病で悩んでいる人のために少しでも役に立てれば” という思いで綴った書籍『1割の不死蝶 うつを卒業した元アイドルの730日』が9月19日に発売された。

 

「この本はうつ病で苦しんだ記録ではなく、光の差す方向に向かって歩んだ記録です」

 

 2019年6月にHKT48を卒業し、女優として芸能界での活動を再開。2024年には、NHK連続テレビ小説『おむすび』にも出演した兒玉が、これから進む道はーー。

 

「大河ドラマに出てみたいという思いはありますが、これからはやりたいことをのんびりと、元気にゆっくりと、です」

 

こだまはるか
1996年9月19日生まれ 福岡県出身 2011年にHKT48のメンバーとしてデビュー。「AKB48選抜総選挙」では9位。HKT48ではセンターポジションをまかされるなど中心メンバーとして活躍。うつ病のため二度の休養期間を経て2019年に女優として芸能界に復帰。今年9月に書籍『1割の不死蝶 うつを卒業した元アイドルの730日』(KADOKAWA)を発売

 

写真・福田ヨシツグ 取材&文・工藤晋

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