
2012年から「民宿宮良」を経営するSHINOBUこと宮良忍さん
「うちは、 “ヘンタイ” が集まる宿なんですよ」
そう語るのは元DA PUMPのSHINOBUこと宮良忍さん(45)。2012年から沖縄県小浜島の実家である「民宿宮良」を経営している。
「お客さんは、それぞれ強いこだわりを持った個性的な大人たち。僕はあえて彼らを、最高の誉め言葉として “ヘンタイ” と呼んでるんです。おかげさまで予約の大半はリピーターで埋まっています」
2006年に芸能界を引退した後も、しばらくは都内の沖縄料理店などで音楽活動を継続していたが、宮良さんの上京1カ月前に亡くなった実母が始め、父や継母が営んできた民宿は2011年ごろから諸事情で休業がちになった。
「親父が出勤できなくなって、東京にいる僕に電話がかかってくるようになり、さすがにヤバいな、と。自分のルーツはあくまで島にあるし、宿を継ぐことは当然のことに思えました。10周年の節目には、クラファンで4000万円近く寄付していただき、憧れだったフィンランド製のクルーザーを購入しました」
自慢の船を駆り、朝に夕にと客を海へ案内。そこで経営スタイルも大きく変えた。
「当初は、自分で朝晩の食事を用意していたんですが、今は朝食だけ。調理スタッフを雇えばいい……とはいえ、僕は人を使うのも、人に使われるのも苦手なんで(笑)。だから、近所の居酒屋を紹介して夕食はそこで堪能してもらい、21時からは皆で酒やつまみを持ち寄っての “ゆんたく(語り合い)” 。僕が島や海の情報を伝えるだけでなく、前泊組が後から来たお客さんと感想を分かち合うなど、そんな交流が喜ばれています」
小浜島は、宮良さんがヒロインの同級生・与那原誠役でレギュラー出演した、NHKの連続テレビ小説『ちゅらさん』の舞台でもある。ドラマの放送前から大規模リゾート施設の開発が進み、今では島の面積の約5分の1を占める。民宿は徐々に減っているが、客にマリンスポーツのアテンドまでする民宿宮良への支持は根強い。
「最盛期は春先から10月までの泳げる時期ですが、冬の小浜ならではの楽しみもありますよ。冬場は、マンタと呼ばれるイトマキエイが餌のプランクトンを求めて水面近くに多く現われるので、潜らなくても出会えるんです」
【民宿 宮良】
沖縄県八重山郡竹富町小浜36-1
取材/文・鈴木隆祐
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