
『まめで四角でやわらかで』で主演を務める柳葉敏郎
『SHOGUN 将軍』、『侍タイムスリッパー』など、時代劇が世界的に評価される中、「時代劇専門チャンネル」を運営する日本映画放送とKDDIが共同制作した、新しいスタイルのドラマ『まめで四角でやわらかで』が評判になっている。その秘密は、隙間時間にスマホで気軽に楽しめる超ショートサイズということ、さらに横型ドラマと縦型ドラマがクロスオーバーする、史上初の時代劇プロジェクトという点だ。
『まめで四角でやわらかで』は、ウルバノヴィチ香苗氏の同名の人気コミックを初映像化したもの。現在、時代劇専門チャンネル公式YouTubeで4話ごとの総集編が配信中だ。江戸の長屋に暮らす元大工の喜兵衛(柳葉敏郎)一家や、寺子屋の萩ノ輔先生(本島純政)と子どもたちの日々を、「煤払い」「雪見酒」「手習い」などをテーマに、各話約3分で描く。あたたかい人の暮らしやふれあいに、ほっこりすると評判だ。
さらに、『いつだって究極の選択』などの縦型ドラマを手がけるQREATIONがプロジェクトに参画。『まめで四角でやわらかで』と世界観を共有した縦型スピンオフドラマ『江戸にログインしました。』も作品公式YouTube、Instagram、TikTokで楽しめるようになっている。2月25日時点で、各種SNSでの合計再生回数がスピンオフを合わせて3500万回を記録しているという。
前代未聞のショート時代劇で、主人公の喜兵衛を演じる柳葉敏郎に、作品への思いを聞いた。
――主演オファーがあったときの感想は?
柳葉「やるしかない! と思いました。僕らの世代は、現場でドキドキしたいんです。誰もやってないショート時代劇をやるんですから、最高のドキドキですよ。自分は、二番煎じが大嫌いだし」
――各話約3分という長さを聞いて、どう思いましたか?
柳葉「世の中のことって、通りすがりに接することがいっぱいですよね。この作品は、そんな通りがかりに、『あ、きれいだな』『人って優しいよな』と、ふと感じるような作品だと思います。3分という、あっという間に過ぎていく時間にほっとできたり、偶然の出会いがあったり。時間の大切さみたいな要素も含まれているような気がしていますね。ただ、演者としては、原作にあった言葉とか、それに付随した動きとかを撮影中にやってみたくなるんですよ。それが時間が決まっているから、カットされちゃうんだな(笑)」
――『鬼平犯科帳』の堀場優監督をはじめ、京都の時代劇スタッフが参加していますが、現場はどうでしたか?
柳葉「撮影初日は『七輪』というテーマをはじめ、5話をまとめて撮影したんです。まだ慣れてなかったし、何がなんだかわからなくてたいへんだったところもあったけど、それが演者だけじゃなくて、スタッフのみなさん含め、いい緊張感につながるんですよ。それが初日だったから、あとが楽しくて楽しくて仕方がなかった。あれが初日でよかったなと、心から思いましたね」
――ところてん、梅干しを使った料理など、出てくる江戸の料理もおいしそうでした。
柳葉「本当においしいんですよ。京都のスタッフさんの愛情ですね。現場には、あちこちに愛情が転がっています」
――喜兵衛さんが転ぶシーンもありました。
柳葉「あれはアドリブです。短いドラマですから、その中で何をやるか。これはもう役者の性なんですよ。何かをやりたい、というね」
――喜兵衛さんは、口うるさい女将さんに用事を言いつけられたり、同じ長屋に住むお茅(大原優乃)とにこにこしたり、子どもたちと遊んだり、気のいい人柄がよく出ていますよね。
柳葉「喜兵衛の人柄がいいんじゃなくて、まわりのみんながいいんですよ。まわりがいいから、喜兵衛がいられるんです。第1話のテーマだった、長屋総出の『煤払い』のときは、屋根を修理するために、屋根の上に登りました。大工さんのかっこよさっていうのもあるんだけど、釘を打つのは難しい。喜兵衛は元大工の設定だけど、やっぱり元大工の手つきじゃなかったんだよね。僕はDIYをやるので、余計に感じたんですよ。それだけは反省してます」
――大原さんと萩ノ輔役の本島純政さんは時代劇初挑戦でしたね。
柳葉「本島さんは、緊張してたな。でも、彼の持っている穏やかさに、俺が乗っかっちゃえと思ったんです。役者って、どこかで共演者と火花を散らしたいところがあるんですけど、それを僕はいっさい、なくしてみました」
――大家である長兵衛役の小野武彦さんとも将棋を指したり、お盆で亡き人を偲んだり、いい場面が多いです。
柳葉「小野さんとは『踊る大捜査線』をはじめ、もう何度もお仕事させていただいて、遠い遠い親戚の人みたいになってる感じですね。本当に穏やかな人で、小野さんとのところはもう全部、おんぶに抱っこでした」
――縦型スピンオフドラマ『江戸にログインしました。』のほうでは、令和から江戸時代にタイムスリップしたお咲(田仲埜愛)、勘太(植村颯太)、お菊(相塲星音)が、喜兵衛さんの噂話をしたり、柳葉さんと呼び鈴押しゲームをしたりと、縦型ならではの自由さが楽しいです。みなさんの仕草がかわいくて、早く続きが見たいという反響がたくさん届いてますね。
柳葉「みんな魅力的ですよ。僕はとにかく『縦型』っていうのが初めてで、撮影があっという間に終わって、正直言うと『僕は何をやったんだろう?』と思ったほどでした。その後、いろんな知り合いから『あれ、おもしろかったね』って言われて。よくわからないまま背中を押されて、自然な気持ちでやったのがよかったのかな。でも、もう1回、経験したいなあ。今度はちゃんと理解したうえで(笑)」
――ファンも横型好きと縦型好きがクロスしているようです。
柳葉「それが、この作品の大きな魅力だと思います。横型でも縦型でも、見てくれる人たちが、この物語のその奥がどうなっているのかとか、この気持ちの発端は何なんだろうとか、人としての心や興味を感じてもらえるんだと思います。我々もすごく勉強させてもらってますよ」
――柳葉さんにとって、時代劇のおもしろさは?
柳葉「冒険と挑戦ですよね。年表にないことをやることの楽しさというか。僕は『天下を獲った男・豊臣秀吉』(TBS系)で、尊敬する秀吉を演じさせてもらったとき、『こんな秀吉であってほしい』というアイデアを提案させてもらったこともありました。時代劇はなんでもアリで、もっともっとおもしろくできるはず。これからも、いろいろやってみたいですね」
(取材・文/ペリー荻野)
※本格時代劇ショートドラマ「まめで四角でやわらかで」
作品公式YouTubeにて絶賛配信中
https://www.youtube.com/@mamede.shikakude
時代劇専門チャンネル公式YouTubeにて総集編(4話ごと)を配信中
https://www.youtube.com/channel/UCAjsa9G-kKlyunF8XIOnWAA
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