
自慢のコレクション部屋に立つなべやかん。この部屋のほかに、さらに3部屋がコレクションで埋まる(写真・木村哲夫)
フィギュアやCD、鉄道模型など、大切にしていたコレクションを、遺族に二束三文で売り飛ばされないためにやっておくべきこととは――。コレクターが直面する“終活”のリアル。日本有数のキャラクターグッズの収集家として知られるお笑いタレント・なべやかん(55)に聞くと……。
やかんがその道に足を踏み入れたのは、小学5年生のころだった。
「下北沢の玩具店に怪獣ソフビが並んでいて。本当はメカゴジラがほしかったんだけど置いていなくて、仕方なくゴジラを買ったのがきっかけでした。ゴジラやラドン、ガイガンをそろえておけば、いつかメカゴジラを手に入れて並べたときに映えるだろうと。そんな感じで増えていきました」
怪獣ブースカやウルトラマンシリーズほか、45年で3000体以上を蒐集。それにとどまらず、撮影に使用されたゴジラの着ぐるみの頭部をはじめ、映画『ジュラシック・パーク』の杖、『猿の惑星』のヘルメットとマスク、実写版『進撃の巨人』の調査兵団の衣装や立体機動装置など、コレクションのジャンルは広がり続けている。
「マニアがほしがるレアな品は、山ほどありますよ。ソフビ1体、漫画1冊が100万円なんてことも珍しくない。蒐集をやめようと思ったことは何度もあります。キリがありませんから。でも『こんなカラーが存在したのか!』と、新しい発見があると、ほしくなるのが性。終わりは見えません。まるで終身刑みたいなものです(笑)。総額で1億円は軽く超えています」
少年時代の熱量をそのままに、43歳で結婚した後も、情熱は衰えることがない。
「コレクション部屋は、自分にとってパワースポットなんですが、その一方でストレスを感じることもあります。『あぁ、あれが足りない、これも欲しい』って。近々、実際の撮影で使われたガメラの甲羅が届く予定なんですが、『まだ送らないでくれ』ってお願いしています。置き場所を確保していないので(苦笑)。減らしたい気持ちはあるけど、棚に空きができると落ち着かなくなって、何かで埋めなきゃと思ってしまうんです」
今回、カメラが入った部屋とは別に、実家には2部屋を埋め尽くすほどのコレクションが積み上げられている。さらに、展示会のためにハイエース1台分を貸与していて、そのほか倉庫に保管している品も少なくないという。
「5年ほど前から、整理しなければと思っています。ただ、コレクションの手放し方が難しいんです。中心となる高額アイテムを売ってしまうと、周辺だけが残って全体の価値が落ちてしまう。そこが踏み出せない理由ですね」
では“終活”についてはどう考えているのか。
「どこかにコレクションルームを設けて、全部を1カ所にまとめたいですね。ギャラリーのような空間にもしたい。それが無理なら、最終的には妻がひとつひとつ、売ってくれればいい。その売却益で生活してもらえたら、それはそれでいいかなと思っています」
「デジタル遺品を考える会」代表で、“私物の行方”について調査を続ける古田雄介氏に、やかんのコレクションについて、アドバイスしてもらった。
「やかんさんの理想でいえば、資料館に管理を委ねる『寄託』をするのがベターかと思います。寄贈でなく寄託であれば、所有権はやかんさんのままですから。海外の美術館ではよくある手法で、国内でもその動きは広がっています。ただ、日本国内の美術館や博物館は、よほどコンセプトが合致しないと寄託を受けつけてくれません。とはいえ、これだけのコレクションなので、検討する価値はあると思います」
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