
「デビュー前はボイトレをしたことがない」というYU-KIの告白に相川もびっくり(写真・福田ヨシツグ)
2024年2月18日、メジャーデビュー30周年を締めくくる記念ライブ『TRF 30th Anniversary Live at 日本武道館』を開催したTRF。
2026年11月2日に開催する『30th Anniversary ROCK KINGDOM TOUR 2026-FINAL-』の会場として日本武道館を選んだ相川七瀬。
時代を彩る2人のディーバ、TRFのボーカリストYU-KIと相川の「BIG BANG対談」後編は、2人の関係性からスタートです。
――YU-KIさんは対談前編で、相川さんのことを「同じ時代を駈け抜けてきたアーティスト」とおっしゃっていましたが、相川さんから見たYU-KIさんはどんな存在ですか?
相川 もう大先輩ですよ。大阪でアルバイトをしていたとき、 FM802(大阪で人気の民放FMラジオ局)で、しょっちゅうTRFの『EZ DO DANCE』が流れていて。デビューしたときは、すでに音楽シーンの先頭を走っていて、見上げるだけの存在でしたからね。つねにTRFは目標でした。
YU-KI(以下、Y) お褒めいただき、ありがとうございます(笑)。
相川 今年、私が30周年イヤーの締めくくりを武道館でやりたいと思ったのは、お客さんの熱を含めた、TRFのエネルギッシュでパワフルな武道館ライブを観たからです。あのステージを観ていなかったら、がんばろうと思えなかったかもしれません。
Y TRFにとっても私個人にとっても、30周年はちょっと別物でしたね。ハッピーなことも、すごく苦しんだこともたくさんあるなかで、まわりに支えられて30年続けてこられたことに感謝するのは当然のことですけど、それとは別に「尊い」感じがしました。
――「尊い」ですか?
Y それまでとは、感じることのベクトルとか温度感とかが変わってきているんですけど、それを言葉や理屈じゃなくて本能で感じ取っている部分があって。頭のなかに出てきたのが、「尊い」という感情でした。
相川 私は、自分が30年やってこられたということに驚いています。
Y 30周年を迎えられるというのは、簡単なことではないと思うよ。2年前だったかな、フェスで七ちゃんと会って、「もうすぐ30年なんです」と聞いたときに、 “がんばって!” と心のなかで応援していました。
相川 えっ!? あの会話を覚えていてくれたんですか?
Y もちろん。あのときは迷っている感じだったけど、好奇心が旺盛で、いろんなアイデアを持っている七ちゃんだったら、自分がやりたいことと、ファンが望んでいることをバランスよくやっていくんだろうなと思いながら聞いていました。
相川 めちゃくちゃうれしいです。
Y プレッシャーを感じたり、苦しんだりもするんだろうけど、七ちゃんなら自分が納得するものをやり遂げる。相川七瀬は、そんな安心感のあるアーティストですから。
相川 あのとき、YU-KIさんが「大丈夫だよ」と声をかけてくれて。「いつでも私も駈けつけるから」と言ってくれた姿も、カッコよくて。30周年に向けて “よし、行くぞ!” と思えたのは、本当にあの日のYU-KIさんとの会話のおかげです。
Y それともうひとつ、まわりへの感謝は言うまでもないんだけど、30年続けてきた自分のこともちゃんと褒めてあげてほしい。自分のなかでだけでいいんです。自分を褒めてあげるというのは、大事なことだと思います。
相川 最近、「心のセルフケア」を大事にしていて――。
――「心のセルフケア」ですか?
相川 YU-KIさんがいま言ってくれた、「自分で自分を褒めてあげる」というのもそうですし、「自分の機嫌を自分で取る」みたいなことを大事にしているんですよ。
Y それはすごく大事。自分の機嫌は、自分で取るものです(笑)。
相川 前にPUFFYの(吉村)由美ちゃんと、歌に登場する主人公のキャラクター設定や歌い方について、奥田(民生)さんはほとんど何も言わないと話していたんですけど、小室さんもそうなんですよね?
Y 小室さんは、そもそもそういうオーダーをあまり出さないほうで。「お願い」と言われたこともないですね。織田(哲郎)さんは違うの?
相川 歌詞を渡されて、主人公像を自分なりに読み取るんですけど、織田さんが「ここはこういう感じでいこうぜ、頼むな」というディレクションはあります。
Y そうなんだね。
相川 それが自分が思っているものとズレがなかったので、疑問に感じないままきたんですけど。小室さんは、もう少し指示を出しているのかなと思っていました。
Y なんなら、もうちょっと言っていただいてもかまいませんが……という感じだったかな(笑)。
相川 YU-KIさんのほうから、「ここはどうなんですか?」みたいに聞きにいったことはあるんですか?
Y 音楽的なこと……「ここはブレスがないので無理です」と、言いにいったことはあります。
相川 なるほど。
Y 小室さんは、シンセ(シンセサイザー)か鼻歌でメロディを作るので、ブレスがあるとかないとかは気にされていないんじゃないかなあ? しかも私の場合、決め打ちで高いキーで設定されるので、キー合わせをしたこともないですし(苦笑)。
相川 え、え、え、えっ。キー合わせをしたことがない?
Y ないです。
相川 それって、 “高いキーも当然出ますよね” というのが前提なんですか!?
Y たぶん小室さんのなかでは、そうだったんでしょうね。もともと、私はボーカルの人ではないので、ボイストレーニングをしたこともないし、キー合わせと言われても知らなかった人間で。歌を歌いだしたのは、デビューが決まってからですから(苦笑)。
相川 衝撃的な事実です。
Y 当時は、事務所のスタッフも素人に近かったし、TRFはエイベックス第1号のアーティストなので、わからないことを聞ける先輩もいなかったんですよね。
相川 すごいですね。
Y たぶんですけど、小室さんのなかでは、先にこれくらいのキーとピッチ感がほしいというのがあって、それに合わせてキーを設定しているので、「このキーは出る?」と聞かれたことは一度もないです。
相川 レコーディングしていて、「このキーはさすがに出ない、無理……」ということはなかったんですか?
Y それが……なかったんですよね。発声方法も知らないから、とにかく全力で一生懸命に声を出していたら、たまたま出た……という感じです(笑)。
相川 これ、マジですごい話です(笑)。ちょっと言葉が出ないです。
Y 笑い話になりますけど、当時はお弁当が出たら、満腹になるまで食べないと声が出ないものだと思い込んでいましたから。それくらいの素人でした(笑)。
相川 それでTRFの歌を完璧に歌っていたというのは、私から見たら超人です。
Y 当然、失敗の連続でしたよ。恥ずかしいことかもしれないけど、失敗に失敗を重ねたからこそいまがあるんだと思っています。そう思わないと、やってられなかったというのもあるんですけどね(苦笑)。
相川 バンドやグループの人に同じことを聞いているんですけど、YU-KIさんにとってメンバーはどういう存在ですか?
Y TRFは結成時にはもうみんな大人だったので、初期のころから一緒にご飯を食べに行くということもなくて。でも、そのつかず離れずの適度な距離感が逆によかったんじゃないかと思います。
――知らないことがあるから、刺激し合える?
Y 刺激し合うことでそれぞれの役割が確立し、それを理解し合い、お互いにリスペクトできる関係性を築けたことが、ここまで長くやってこられた大きな要因だと思います。
――最後にお2人に伺いたいのですが、35周年、40周年に向けて考えていることがあったら教えてください。
Y そんなに先のことを聞きます?
相川 はははははっ。気持ちはわかりますけど、ちょっと気が早すぎます(笑)。
Y そうですね……。うまいとか下手とかじゃなくて、心が伝わってくる人……声もそうだし、表情もそうだし、立ち居振舞いもそうですけど、それが伝わってくる人は、先輩、後輩にかかわらず尊敬しますし、35周年、40周年、私自身もそこへ近づけたらなと思っています。
相川 先を走っていて、その経験を惜しみなくシェアしてくれる先輩がいるというのは心強いし、自分もがんばろう、まだまだ大丈夫だと励みにもなります。先輩と同じ歳になったとき、同じようにやれている自分を想像しながら、全力で走り続けたいと思います。
YU-KI(ゆーき)
1966年12月19日生まれ 愛媛県出身 1992年、小室哲哉プロデュースのボーカル・ダンサー・DJという日本初のユニット形態「trf」(現在はTRF)を結成。1993年2月『GOING 2 DANCE』でデビュー。2ndシングル『EZ DO DANCE』をはじめ、デビューから2年でCD総売上枚数が1000万枚を突破。1995年には、『Overnight Sensation~時代はあなたに委ねてる~』で、第37回日本レコード大賞を受賞。2024年2月18日、30周年を締めくくる記念ライブ、TRF 30th Anniversary Live at 日本武道館『past and future.』を開催
あいかわななせ
1975年2月16日生まれ 大阪府出身 1995年『夢見る少女じゃいられない』でデビュー。その後もヒット曲を数多く世に送り出す。2024年に國學院大學神道文化学部卒業。2026年、同大学院博士前期課程修了。2026年11月2日、30周年ツアーファイナルとして日本武道館でのライブが決定。現在、相川七瀬30周年を記念したオールタイムベストアルバム『Rock‘N’Roll Journey~30th Anniversary Best~』が発売中!
写真・福田ヨシツグ
取材&文・工藤 晋
ヘアメイク・室岡洋希(YU-KI)、久保フユミ(相川)
スタイリスト・二瓶句実子(YU-KI)
衣装・beautiful people(Tシャツ・YU-KI)
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