
冠ポッドキャスト番組Audibleオリジナル『有田脳』(配信中)収録中の有田哲平(写真・福田ヨシツグ)
「理想だけで、やりたい番組を作ることはできないっすね」
冠ポッドキャスト番組Audibleオリジナル『有田脳』(配信中)の取材で、くりぃむしちゅー・有田哲平はこう切り出した。同番組は、50音順に選ばれるひらがな1文字から始まる言葉が書かれた3枚のカードをランダムに引いて、出たお題について即興でトークするという内容だ。
有田は単独でも『全力!脱力タイムズ』(フジテレビ系)、『有田哲平とコスられない街』(TBS系)の2番組でメインを張る大御所芸人だ。それが自身が力を入れている番組の取材で「やりたい番組を作ることはできない」とは……いったい、何が起こったのか。
「いや~、大御所ではないですよ。若手でもないですから、自分では中堅という気持ちですけどね」
有田は苦笑いしつつ、「どっかトガっていた」と言う30代のころの自分を振り返った。
「20代、30代で、プロレス好きだから解説やらせてくれとか、本書かせてくれとか言っても、今なら『お前はどんだけ語れんだよ』って思いますよね。この歳になって、やっと解説の座につくことができましたからね。こうなったから “プロレス” を温かく包んで観られる。当時は予定調和な試合を観ると、『こんなんでいいんすか?』とか言い出しちゃってた。でも、今は “許せる” んです」
解説という “裏方” に関わったことで、見えてきたものがあったという。
「裏での選手やスタッフさんの苦労とか見たりするんですよ。別に、プロレスのカラクリとかそういうことじゃなくてね。
そういうことを知ると、ただ批判するだけじゃダメだなと思ったりするんです。ネットの若い人たちは、すぐに『つまんねえ』『今日の試合おもしろくない』とか言い出すけど、僕らは間違ってると思っても、これにはいろいろ事情があるんだろうなと考えることができるんですよ。そういうのが、自分が50代になって思うことかな」
これはプロレスに限った話ではなく、有田の主戦場であるバラエティでも同じだった。
「40代のころに(制作側と)ガッツリ一緒に番組を作るみたいなのをやりすぎちゃったんですよ。そうすると、ホントに苦労がわかりますね。ヘンな話、カネだ、政治だ、人間関係だ……そんなことも絡んでくる。
自分がプロデューサーに『こうしたい』と掛け合ったりすることもできるようになりました。できますが、どうしても “越えられない壁” があったり、難しい。
テレビを観ていると簡単にできそうじゃんって思うんですよ。僕も若いころ、そう思っていた。『なんでここでこの人、出さねえんだ』とか、『なんでこいつ出してんだ?』とか。
でもね、そこに至るまではいろんな裏事情があるんですよ。トラブルがあったり、しがらみがあって、それでもなんとかいちばんいい形になるように、みんなが努力をしているんですよ」
■“音声” は50代に合うメディア
ガッツリと裏方に関わることで視野が広がったという。
「若いころはロケ番組やっていても、早く帰りたいとしか思っていなかった(爆笑)。それにロケで飯を食って、『美味しい』ってコメントすることなんて、絶対したくなかったですしね。
料理してくれた人もいるのに、そのお店を番組に出すために努力している人もいるのに……ひと言も『美味しい』って言わないんですからね。そんなの、爪痕になんかならないのに、それをわからずにやってましたね。
いまはね、人として当たり前のことをやってますよ。普通のことをやっているだけです。『美味しい』って言わないほうが “おもしろい” でしょ? みたいなことじゃなくてね。
50代になると、読者の方もそうでしょうけど、ある程度の立場になってる方もいるじゃないですか。若いころなら上に突っかかっていったりするんだけど、いつからかね、下をまとめなきゃいけなくなる。現場のスタッフも、ほとんど歳下ですからね」
だが、有田はただ丸くなったわけではない。新しい挑戦を2022年から始めた。それがポッドキャスト『有田脳』だ。
「僕も『なんなの? ポッドキャストって』と思っていたんですよ。テレビの世界で働いている僕が言うのもなんですけど、夜7時にお茶の間に集まって、家族で観るみたいなことが、いまは減っていますよね。ポッドキャストって、いつでも聞ける音声メディアだから、そういう意味でも使いやすいと思うんですよ」
ラジオと同じく “音声” だからこその魅力があるという。
「音声だけのメディアは1回聞くとハマっちゃうものなんですよ。しかも、楽しみ方がいろいろある。僕は夜、寝る前にダラダラ聞いたりすることが多いんですけど、毎週楽しんで聞くことも、一気聞きもできる。僕と同年代には合うメディアだと思います。
じつは、僕は映像がしんどくなってきたりするんです(笑)。YouTubeを観るときに、画面を暗くして音声だけで聞いてることがあるんですよ。そのほうが疲れない。
40、50、60代の人たちって、絶対ラジオを通ってきてるじゃないですか。ぜひ一度『有田脳』でチャレンジしてもらいたいですね。笑えるか笑えないか、タメになるかならないか、なんて関係ない。どんどん深みにハマっていって、また次も聞きたいって必ず思いますよ」
有田の爪は、まだ尖っている。
■“新相棒” 小澤アナが番組最大の秘密に迫る
ここからは『有田脳』の新シーズンからアシスタントに就任した小澤陽子アナ(34)が、取材に参加。番組名にまつわる “ある秘密” が明らかに……。
有田 僕のファン、オールナイトニッポンのころから追いかけてくれてるようなファンは、ほとんどオッサンなんですよ(笑)。なので、小澤さんの声には癒やされると思いますよ。
小澤 だといいんですけど……。
有田 前のアシスタントは長年おつき合いのある後輩(コトブキツカサ)だったので、小澤さんになって新鮮な気持ちでできると思います。
小澤 お互いに気を使わないですもんね。
有田 恥ずかしいでしょ。親とかにさ、新鮮な話なんかできないじゃん。
小澤 確かに!
有田 まあ親といえば、僕の歳で小澤さんの娘さんと同級生くらいの子供がいるのもお恥ずかしい話なんですけどね。自分の娘が結婚するころは70……死んでんな(爆笑)。
小澤 長生きしてください。
有田 遺影だな、遺影。結婚式を海外で挙げたいとか言われたら行けないもん、俺。
小澤 健康寿命を延ばしましょう。でも、こうやって有田さんとお子さんや、家庭の話を仕事場でしたことはないので、ここだとオープンにお話しできるのが嬉しいです。
有田 前任者のコトブキは、家庭がうまくいってなかったんですよ。だから、こっちが「こないだ、家族とUSJに行った」みたいな話をしても、あんま喜んで聞いてくんなかったんですね。小澤さんの家庭が壊れない限り、笑顔で聞いてくれるかなとは思いますね。
小澤 壊れないように気をつけます。頑張ります!
――収録で、小澤アナは有田さんの当意即妙の “アドリブ力” に感銘を受けたそうですが……。
小澤 いつもどれだけ “考えて” 生きておられるのかって。今日の収録のテンポを体験すると、(有田は)よく言葉が出てくるなって……。
有田 何回かギブアップってときはあったよ。だって、50音を4周めになってるわけでしょ(※)。この番組は “即興” なので、トークは僕の脳からダイレクトに出てくるものしかない。だから『有田脳』なんですよ。
小澤 そのまま脳を見せる抵抗とか、恥ずかしさってないんですか?
有田 最初は嫌だと思ったけど、こんだけ長くやっていると、そんなこと言ってらんない(笑)。毎回、ネタがなくなってくると……ホントに脳の中をこう、なんか(頭を指先でかきむしるようにしながら)削ぎ落とすようなことになるんです、脳トレですよ。
だから、番組名を『有田脳』ってよくつけたなと思いますよ。脳みそを使っている自覚はあります。終わった後、めっちゃ腹減るんで。
■Audibleオリジナル『有田脳』(配信中)
https://www.audible.co.jp/podcast/B0CRYKTVL5
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