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少年隊・植草克秀、井上ヨシマサと“還暦ユニット”結成! 中山美穂さんの名曲から始まった33年の縁と“新たな挑戦”

インタビュー 記事投稿日:2026.09.19 06:00 最終更新日:2026.09.19 06:00

少年隊・植草克秀、井上ヨシマサと“還暦ユニット”結成! 中山美穂さんの名曲から始まった33年の縁と“新たな挑戦”

ともに還暦を迎えた植草克秀と井上ヨシマサは、プライベートでゴルフや食事を楽しむ関係が続いている(写真・木村哲夫)

 

 少年隊の植草克秀と、音楽プロデューサーの井上ヨシマサが新ユニット「ROX66」を結成し、1stミニアルバム『SIDE BY SIDE』をリリースした。近年、植草はソロコンサートやディナーショーのほか、演出家としても活躍。一方、井上は小泉今日子、光GENJI、AKB48など、数多くのヒット曲を生み出してきた。日本の音楽界でキャリアを積み上げてきた2人が、還暦を迎えてタッグを組んだ理由とは? その答えに迫る、60分超のロングインタビュー。話は33年前の出会いから始まった――。

 

植草 ニシキ(錦織一清)が、中山美穂さんのシングル『Rosa』(作曲・井上ヨシマサ)のテープを持ってきて、「すげえ個性的なメロディで、頭に残ってしょうがないんだよ」って言ってて。俺も聴いて、「これがいいんじゃない? この頭に残るのがすごいんだよ」と。あのころはキャッチーなフレーズや歌詞の曲が多かったけど、この不協和音のような音は何なんだろうって、2人のなかですごく引っかかってたんだよね。

 

井上 当時、美穂ちゃんとも話をしていたんだよね。「この曲、少年隊に響くといいね」って(笑)。*ウソです。

 

植草 僕ら(少年隊)は、「用意されたものに乗っかるだけではダメだ」というグループで、コンセプト作りの段階からメンバーも参加していたんです。だから、この『Rosa』を作った人に会ってみようと。レコード会社を移籍するタイミングで、初めて会うことになりました。

 

井上 俺のスタジオに来てくれたとき、「イエー!」っていう、テレビでふだん見ている“カッちゃんスマイル”ではなかったね。その姿を見て、少年隊の3人がクリエイティブにしっかり参加しているのがわかった。「いい曲書いてくださいねー」で終わるんじゃなくて、「まずは曲についての打ち合わせを」って始まった。ただ、3人のコンセンサスが取れてるようで、みんなそれぞれにわがままを言う。遠慮がないもんね。みんな個性が強くて、「俺はこれがいい」とかやり合って。そうしてでき上がったものは、『お好み焼き』という曲に収まっています。「醤油」「ソース」「ケチャップ」「マヨネーズ」だとか、みんな楽しんで歌ってくれたよね。

 

植草 すごく異質な曲だったよね。遊び心もあるし、若かったこともあって、ちょっと反抗するような「俺たちは違うものでいくよ」っていう感じがすごく出ていた。その後、一緒にゴルフへ行くようになって、友達みたいによくしゃべるようになった。

 

井上 共通の知り合いがいて、そこで「おー!」って再会したんだよね。

 

植草 僕の後輩が主演のミュージカルを、彼が全音楽を担当したというので、観に行ってね。ヨシマサが曲の解説をしてくれるんだけど、「作曲家ってすごいな」って感心した。

 

井上 えええ。なにそれ。そうだったの?

 

植草 これを言うとまた調子に乗るから、言いたくないんだけど(笑)。すごく尊敬するところがあるんだよ。もちろん、ダメなところもあるけどね。「そこにはこだわるのに、こっちにはこだわらないのかよ!」とか。ゴルフへ行っても、キャディさんが怒るくらいマイペースに違うことやったりするし(笑)。

 

井上 カッちゃんはほんとによくしゃべる。俺は隣ですごく気を遣ってるのに。

 

植草 お互いにしゃべるのが好きだからね。だからこそ、話を止める役割も必要なんだよ。俺は、お互いのいいところがわかっていればいいと思っていて。それは少年隊の3人でやっていたときも同じで、2人のいいところを引き出そうとか、ここは俺がバカになろうとか、俯瞰して見てた。いまは2人の番だとか、ここは俺が前に出るよ、とかね。

 

井上 音だけじゃなく、アーティストとしてどう立ち振る舞うかまで、ずっと考えながらやってきたってことだよね。これは勝てねえわ。撮影にもまだ慣れていない俺は音作り専門だから、ほかのことはカッちゃんに聞けば、経験をもとにすぐ教えてくれる。そこが頼もしいよね。

 

植草 俺らは、作曲家の先生が作ってくれた曲に踊りをつけたり、見せ方を考えたりしていく。そうやって、曲の魅力を10倍、20倍にしていこうという気持ちがあるんだよ。昔、筒美京平先生が仕上がりを見にきてくれたときも、「この曲がこんなんなっちゃったの?」って、驚かせたりがっかりさせたりしたこともあったかもしれないけど、そうやって楽しんでもらえるのがうれしかったんだよね。

 

井上 作曲家としては、曲が発売されてテレビで披露されるころに、最初に描いていたものとぜんぜん違うものになってしまわないよう、デモの段階で、芯になるテーマをしっかり入れておかなきゃダメだと思っていたんだよね。テーマさえしっかりしていれば、アレンジが多少、変わっても、伝えたい思いは残る。最初に思い描いた色が、何万人、何百万人という伝言ゲームを経ても、最後までちゃんと残っていることが大事なんだよ。

 

植草 そういう時代だったからこそ、よかったんだよね。大先生である船山(基紀)さんや馬飼野(康二)さんのすばらしいアレンジを知っているからこそ、いま、俺らにできることがある。音楽って、シンプルなものほどじつは難しくなっていくから。そんな経験値を持った俺らが、2人のなかで「何がいちばんいいのか」「どんな感じになるのか」と話し合いながら作っていくのが、本当に楽しいんだよね。

 

井上 今回、最初に書いたのは、ミニアルバム3曲めの『君は僕のもの』。以前、カッちゃんのライブにゲスト出演して、俺が書いた少年隊の『EXCUSE』を一緒に歌ったら、カッちゃんファンのみなさんがものすごく温かく迎えてくれたんだよね。「ヨシマサ、めちゃくちゃウケてるじゃん!」って感じで、盛り上がって。それがきっかけ。その後、俺のXにも、カッちゃんのファンがコメントを書き込んでくれるようになって、すっかり勘違いしちゃって(笑)。その状況を歌にしたんだよ。「俺、モテてんじゃん!」って思って、口説き始めるんだけど、じつはカッちゃんの友達だからチヤホヤされていただけで……。いざ口説き落とそうとしたら、「そういうつもりじゃないんですけど。あなたと話してたら、カッちゃんと話せると思ってたのに」って、結局、カッちゃんに戻っちゃう。そんな“勘違い男”の曲ができた。もともとは、カッちゃんの次のライブに呼ばれたら一緒に披露しようと思って書いたんだよね。

 

植草 その曲が送られてきて、聴いてみたら「最高じゃん!」って思ってさ(笑)。「なるほど、そういう意味があってこんな歌詞にしたのね」っていう楽しみ方もあるし、もう“最高”以上の言葉が見当たらなかった。だから、「1曲だけじゃなくて、ミニアルバムくらい作ってみちゃう?」って返事をしたわけ。

 

井上 カッちゃんは冗談で言ったのかもしれないけど、「それなら」と思って、2週間で3曲作って送ってみた。1966年生まれの俺たちがいま感じていることや、身のまわりで起きていること、考えていることを、等身大の言葉で表現できたら最高だと思ってます。

 

植草 俺からすると、そこから「次はこんなふうにしよう」って、また違うイメージが湧いてきて、これはおもしろくなるぞ、と。ヨシマサは曲を作ってくるのがとにかく早いし、バリエーションが豊富だから楽しくて、ノリもよかったよね。

 

井上 純粋に、ROX66用の曲作りが楽しいんだよね。

 

植草 俺さ、この2人でいることのおもしろさを、ファンのみんなにも分かってもらいたいんだよね。でも、ただおもしろいだけじゃダメで。作曲家の先生とはいえ、やっぱりかっこいいところも見せなきゃいけない。だって、この人は俺にかっこいい曲を書いて、俺のかっこいいところを引き出そうとしてくれているわけだから。俺も自分の役割として、ヨシマサをかっこよく見せなきゃいけないんだよ。

 

井上 写真撮影のときとか、カッちゃんが横から小声でアドバイスをくれるんだよね。「もうちょっと遠くを見たほうがいいよ」とか、ほんと助かるよ。

 

植草 ずっと裏方の作曲家だったんだから、それはしょうがないよ。でも、カメラマンさんに「右向いてください」って言われたとき、思いっきり右を向いちゃって、カメラのフレームから完全に外れちゃうことがあるんだよね。

 

井上 しょうがないじゃない、俺の視界はピアノの鍵盤の幅しかないんだから。

 

■カッちゃんは声そのものに存在感がある

 

井上 「ROX66」のサウンドは、最新でも最古でもなく、そのとき自分たちが好きだと思える音で構成しています。音作りが先行するのではなく、まず歌詞のテーマがあって、その世界観にふさわしい音を探していくことが大事だと思っているんです。だから、でき上がったアルバムはかなりカラフル。ジャズのテイストがあったり、タップダンスを取り入れたりもしています。

 

植草 やっぱり作曲家なだけあって、自分の曲のいいところをわかっているから、歌い方のディレクションを聞くだけで「なるほど、ここはこういうふうにしたいんだな」って意図がすぐわかるんだよね。

 

井上 「こんなふうに歌ってほしい」という気持ちは、どの曲にもあるからね。そこは表現の“核”の部分なので、人にまかせてしまうと、ときどき「平均的な大きさ」に収まってしまうことがある。「普通はこれくらいだろう」って。でも、僕は普通のものを作りたいわけじゃないから。

 

植草 すごく新鮮だったのは、いままでみたいにディレクターさんではなく、作曲家自身が直接、歌のディレクションをしてくれたこと。これは、なかなかないこと。

 

井上 歌入れは俺が担当しました。余裕のないスケジュールのなかで、カッちゃんをひたすら待ってね。カッちゃんは声そのものに存在感があるから、譜面どおりじゃなくてもよく聴こえちゃうんです。「カッちゃん、こっちこっち!」ってディレクションするんだけど、想定外のトライが、かえっていい結果を生むこともあるんだよね。

 

植草 自分なりの表現方法があるから、「こうやって注意されたらこう直そう」とか「それができるんだったらいっそこういこう」みたいに、アレンジしちゃうんだよ。それで「想像してないことやるよね」って言われたりするんだけど、ダメなときはちゃんと「ダメだ、できないねー」って言ってくれる。そういうのがありがたいんだよね。

 

井上 すごいなと思うのは、カッちゃんの、一瞬で入り込む集中力ね。ただ、俺が冗談を言ってもぜんぜん笑ってくれないときがある。それは直してほしい。

 

植草 だって、このノリだからね? ちゃんと集中してやらなきゃいけないときだったら「ちょっと待って!」ってなるでしょう。「ここだけはちゃんとやらせてくれ!」って思っているときでも、ヨシマサはボケかましてくるからさ。

 

井上 わかった。お互いに言いたいことはそこだね。俺は「真剣なときに、俺のギャグを無視するのはやめてくれ」で、カッちゃんは「真剣なときは、まじめにやらせてくれ」と(笑)。

 

植草 俺、初めてヨシマサのライブを観に行ったとき、なかなか歌わずにずーっとしゃべってたから「トークショーやってんの?」って思ったんだよ。それをレコーディングのときにもやるからね。まあ、一緒になってしゃべっちゃう俺も悪いんだけど……。そこは反省している。

 

井上 だよね。そこはちゃんと原稿に書いておいてくださいね。

 

植草 レコーディングの時間を4~5時間取ったのに、ちゃんと歌ったのは2時間とかのときもあったよね。

 

井上 いや、1時間。

 

植草 あとの4時間は、ずーっとしゃべってた。

 

井上 2曲めの『Last Dance』という曲はジャズのナンバーで、歌の入りがすごく重要なんだけど、カッちゃんの声が入った瞬間、ハスキーで風通しのいい出だしになったんだよ。ほんとは俺が出だしを歌いたかったんだけど、譲りました。俺、何曲も譲ったんだよね。ミックスの前に、「ヨシマサから始まる曲ばかりにするなよ」って言われて。俺はそうしたかったんだけど、やめました(笑)。歌割りを決める基準は、やっぱりその曲、そのフレーズが求めている声かどうか。どちらが歌うのが適任かは、有名無名に関係なく、フレーズそのものが決めると思っているんです。結果的には、カッちゃんの歌い出しが多いんだけどね。

 

植草 俺、思ったの。この人は、ちゃんと認めてくれるところは認めてくれるんだなって。

 

井上 もちろん、2人の声の音量やバランスはいろいろ試しました。不思議とお互いの声がぶつからず、うまく溶け合うので、すごくやりやすかった。俺がハモりに回ってみたりもしましたね。

 

■「ROX66」は、2人ともがフロントマンのユニット

 

植草 これからは、いままでと違う「表に出るヨシマサ」を見せていこうよって言ってるんだよね。すぐバンドのメンバーみたいな、後ろの立ち位置にいようとするから。

 

井上 俺は別に、カッちゃんの横でピアノを弾いている、裏方みたいな立ち位置でもよかったんだけどね。あるじゃん、そういうユニットも。

 

植草 いやいや、一緒に前に出ていこうよ。

 

井上 曲によっては振り付けもあるしね。やったことないことをやってみよう、という気持ちはあるんだけど。カッちゃんはパッとすぐできるけど、俺は「スミマセン、ちょっとずつにしましょうよ」ってお願いしている状態。

 

植草 お互いのいいところも悪いところも合体して、いいものになっていけばいいんだよ。今回、100点満点の大満足のアルバムができたと自負しています。あとはライブで、みんなに一緒に歌って楽しんでもらえればいちばんいいね。

 

井上 このユニットは、長くやっていきたいと思っています。カッちゃんを拘束するのではなく、ふだんは自由にやってもらって、「またやりたいね」っていうタイミングで、僕がまた曲を作るというようにね。今回、ボツになった曲もまだあるし。

 

植草 また新しい曲を書いてもらわないとね。

 

井上 でも、俺にとってライブはアウェーだからなぁ……。

 

植草 みんな「ROX66」を観に来るわけだから、そんなに心配することないんだよ。自分をちゃんとアピールして、いつもどおり、好きなことをやればいいんだって!(笑)

 

植草克秀
1985年、錦織一清、東山紀之とともに、少年隊のメンバーとして『仮面舞踏会』でレコードデビュー。2020年に退所。ソロコンサートツアーやディナーショーを開催。演出家としても活動中。

 

井上ヨシマサ
作曲家として、荻野目洋子、小泉今日子、郷ひろみほか、多くのアーティストに楽曲を提供。AKB48『Everyday、カチューシャ』『RIVER』『Beginner』ほか、代表曲を手がける。2026年10月1日、ライブ「植草ヨシマサ 着地点は御座いません」をKT Zepp Yokohama(神奈川県)にて開催予定。チケット発売中。

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出典元: SmartFLASH

著者: 『FLASH』編集部

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