
「清志郎は飛び抜けていて、最高にカッコつけていた」と語るChar(写真・木村哲夫)
――2009年の突然の別れから17年。デビュー55周年の記念ドキュメンタリー映画が10月2日に公開されるなど、今なお唯一無二の存在感を放つ「忌野清志郎」。彼と深い親交を結んだ著名人たちに、その素顔や言葉の美学を、思い出深い「清志郎の一曲」とともに紐解いてもらった。
<Charの選んだ一曲>
『かくれんぼ』
1986年に発売された、忌野清志郎とJohnny,Louis & Charのシングル『S.F.』カップリング曲。「2人だけでスタジオに入って、レコーディングしたんだよ。清志郎をイメージして書いた曲だし、ボーカルが清志郎じゃなければ生まれなかった。それは間違いないね」。
“忌野清志郎とJohnny,Louis&Char”(JL&C)名義で制作されたOVA『県立地球防衛軍』の主題歌『S.F.』。Charは、そのシングルのB面に収録された『かくれんぼ』を、「清志郎の一曲」に選んだ。
「歌詞に“オニ”が出てくるんだけど、鬼には、かわいい鬼と怖い鬼という2つのイメージがある。清志郎は、その両方を持っているように感じたんだよね。ぱっと浮かんで、一瞬でできた曲だった。俺が歌うよりも、清志郎のあの声で歌うことで、わらべ歌や童謡のような趣が生まれて、彼の純情さがにじみ出てくる。本人はすごくイノセントで、純粋。その反動で尖っているときもあったけどね」
1979年の秋、仲井戸“CHABO”麗市が清志郎さんのバンドに正式加入すると聞いたCharは、パチンコ店の上階にあったライブハウス「渋谷屋根裏」へ足を運んだ。
「初めて観たときは、とにかく新鮮で、一発で気に入ったよ。2人に共通するルーツがブルースとR&Bだということも、すぐにわかった。なかでも清志郎は飛び抜けていて、最高にカッコつけていた。『こいつら、すごいな』って圧倒されたね。どこか、ローリング・ストーンズのキース・リチャーズとミック・ジャガーに通じるものがあった。それからはもう、追っかけのように何度もライブへ足を運んだよ」
同年、CharはJL&Cの全国ツアーで、RCサクセションをオープニングアクトに起用した。
「みんなにRCを観てもらいたいと思ったからね。ロックで、ファンキーで、日本語で魅せるエンターテインメント。ありそうでなかったバンドだった。別の言い方をすれば、『新しいし、これは売れるな』と(笑)」
ツアーファイナルの日本武道館まで行動をともにしたが、彼らとかわす言葉は多くなかったという。
「あまりしゃべらないんだ。よくも悪くも俺たちもしゃべらないから、『お先に』『いってらっしゃい』『お疲れさまでした』くらい。清志郎が俺たちの楽屋に来たこともあったけど、ルイズルイス加部とジョニー吉長は、グループ・サウンズ時代からのあこがれの存在だったから、少し気を遣っていたのかもしれないね。楽屋では素の清志郎が、ステージに出るまでの間に『あの清志郎』へ変わっていく。その様子がおもしろかった。準備体操やストレッチをして、『よっしゃ』って出ていくんだ」
別のフェスで共演した際には、RCサクセションのライブに対する厳しい姿勢を目の当たりにした。
「RCはライブのあと、全員でひとつの部屋に集まって、映像を最初から見返しながらダメ出しをしていた。『ここはタイミングが違うんじゃないか』とかね。スタッフに聞いたら、毎回やっていると。俺たちは、終わった直後だろうが1カ月後だろうが、観たくない。『こうすればよかった』なんて、あるに決まっているからね。『すごいね、あのバンド』って、みんなで言っていたよ」
■「どん底から引き上げてくれたのはCharさんなんだよ」
清志郎さんのワードセンスにも惹かれたという。
「清志郎の歌は、イケイケのロックンロールもいいけど、真骨頂はバラード。そして、その歌詞だね。ボキャブラリーがすごい。『ボスしけてるぜ』という、上司を皮肉った歌があるけど、『ケチだな』ではなくて、“しけてる”という言葉のチョイスがいいよね。そういうところに俺は惹かれたのかもしれない。辛辣な言葉を使ったり、尖った態度を見せることもあったけど、実際は壊れやすい心の持ち主で、いろんなことに敏感な人だったんじゃないかな」
出会ったころから最後まで、2人の距離感は変わらなかった。
「あいつは俺のことを『Charさん』って呼ぶんだよね。俺より4歳上なのに。『“さん”はやめてよ』って言うと、『いや、売れない俺たちをどん底から引き上げてくれたのはCharさんなんだよ。足を向けて寝られないんだよ』とか言うんだ。独特の冗談なんだけどね」
Charは70歳の節目に日本武道館でライブをおこない、西慎嗣、奥田民生、佐藤タイジとともに『かくれんぼ』を披露した。
「清志郎に『まーだだよ』って、上で待たれている感じがあるわけですよ。アンサーソングとして、『みっけ』という新曲を書くのもいいかもしれないね」
ちゃー
1955年6月16日生まれ 東京都出身 1976年『NAVY BLUE』でソロデビューし、『気絶するほど悩ましい』などを発表。2026年12月11日、東京国際フォーラムで「Char 50th Anniversary 伝説の響演」を開催予定
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