
インタビューに答えた甲斐心愛(中)、中村舞(左)、原田清花(左)
STU48の14枚目となるシングル「冬服に着替えたら」が10月7日にリリースされた。16ミリフィルムで撮影されたミュージックビデオの魅力から、個性が光るカップリング曲、さらには4.5期生オーディションへの思いまで。新センターの甲斐心愛、前作センターの中村舞、フロントを務める原田清花の3人に、新曲の魅力と変わり続けるSTU48の「変わらない大切なもの」を語ってもらった。
■懐かしさと新しさ〜ミュージックビデオ〜
STU48の新曲「冬服に着替えたら」のミュージックビデオは、これまでの作品と違い、16ミリフィルムを用いて撮影された。映像の仕上がりに、センターの甲斐心愛は『儚さ』を感じたという。
「フィルムの映像から感じる儚さ、『これはもしかして、自分の記憶なのかな?』と思ってしまうような仕上がりでした。
ミュージックビデオのシーンでは、制服から衣装に変わる瞬間が、本当に魔法のようにキラキラしていて、お気に入りです。
16ミリフィルムは撮影の回数が限られていました。2番のサビで一人で踊るところもありましたが、ワンテイクで撮りました。ドキドキしましたが、リハーサルをして一発で決めたので、『えっ、これで終わりなの?』と言ってしまいました(笑)」
撮影回数が限られるという緊張する環境でも、その緊張を受け止め一発で決められるところが、甲斐心愛のセンターたる所以だろう。
前作「好きすぎて泣く」でセンターを務めた中村舞が「冬服に着替えたら」のミュージックビデオを観た時に感じたのは、「いつもと違う」新しさだった。
「出来上がったミュージックビデオを見ると、サイドに黒い隙間があったんです。16ミリフィルムだから、縦横比がいつもと違って横に黒い隙間があったんですよ。いつもなら画面全部が映像なのに。まずそこが『いつもと違う』と思いました。
映像の質感が新しく、しかも、過去のエモい記憶という感じがしました。令和にこんな映像を見ることができて新鮮でしたし、今回、いろんなロケ地で撮ったわけではなく、スタジオのセットで撮ったんですが、それさえも、淡い昔の記憶の感じを表現するのに成功していると思いました」
先ほどの甲斐心愛の言葉にも出たが、16ミリフィルムは撮影時の制限がある。また、中村舞の言葉にもあるように、画面の比率も普段見慣れているサイズより狭い。しかし、その画面サイズの制約さえもラストの大サビで一気にフルサイズに変えることで、甲斐心愛の言葉を借りるならば、「魔法」をかけることに成功している。ミュージックビデオを監督した和田昇監督の名演出だ。ミュージックビデオの演出や手法に続き、今作でフロントメンバーを務める原田清花は、完成した映像全体の『エモーショナルな雰囲気』に心を奪われたという。
「出来上がるまで想像がつきませんでした。完成した作品を見ると、メンバー1人ずつがピックアップされるポイントがあって、素敵だなと思って見ていました。映像の画質もエモーショナルな雰囲気で、大好きです」
■意外な共通点〜注目の選抜メンバー〜
「冬服に着替えたら」で注目する選抜メンバーを3人に尋ねたところ、思わぬ共通点が生まれた。まずは、センターの甲斐心愛からだ。
「濵田響です。見えないところで、ちゃんと準備してくる子です。『ヤバいヤバい』って焦っているんですが、それだけパフォーマンスを大事にしていることが伝わってきます。あと、表情も『ここでこうしよう』というのを絶対考えながらステージに立っているメンバーです。初めての選抜なんですけれど、すごく刺激を受けています」
続いて、中村舞の選抜注目メンバーは2人になった。
「私は研究生の島田さやかちゃんと、曽我部あこちゃんに、是非、注目していただきたいです。
二人とも研究生ですが、本当に研究生と思えないくらい、必死に食らい付いています。選抜に入ったら、いろいろと覚えないといけないこともきっと多いと思うんです、出演するステージの数も増えますし。他の選抜メンバーはある程度いろんなことを基礎として知っていたり、覚えられていたりすることもあるけれど、新しく覚えないといけないことがたくさんあるのに、全然見劣りしない。
今回、初選抜で3列目にいるんですけれど、もっともっと前に出てきてもいいくらい良いパフォーマンスをすると思うので、注目してみていただきたいです」
最後に、原田清花の注目メンバーは、3期生のあのメンバーだ。
「森末妃奈ちゃんです。初選抜で本人はたくさん緊張していると思うんですけれど、客観的に見たら、『本当に初選抜か?』という程しっかりしています。ビジュアルもとても目を引くので、是非、注目してほしいです」
奇しくも、初選抜の4人が3人の注目メンバーとなった。選ばれるまでの努力はもちろん、初選抜でもそのパフォーマンスで、仲間の目を惹くメンバーがいる層の厚さが、今のSTU48の強みの一つかもしれない。
■思い入れのある一曲〜カップリング曲〜
「冬服に着替えたら」にはカップリング曲が4曲ある。それぞれの推し曲はなんだろうか。まず、原田清花は同期と歌う曲を推し曲として挙げた。
「『18歳最強説』です。題名を聞いた時は、『え?どんな曲なんだろう。18歳のメンバーはもう誰もいないけど大丈夫かな(笑)』と思っていたんです。曲が届いて、歌詞を聞いたら、本当にステキな楽曲で。18歳の時の自分の気持ちを忘れずに、一緒に進んでいくような歌詞です。
『僕らの春夏秋冬』以来、2曲目の2期生の楽曲をいただいて、同期とも嬉しいねと話しました。ダンスの振りも『僕らの春夏秋冬』のダンスの振りが入っていて、その時の気持ちもたくさん思い出せる楽曲になっているので、凄くおすすめです」
ちなみに、「僕らの春夏秋冬」は2020年1月29日にリリースされた「無謀な夢は覚めることがない」のカップリング曲として収録されている。6年以上の時間を経て生まれた2期生の楽曲だ。
続いて、甲斐心愛のおすすめ曲は、あるジャンルを連想させる楽曲だった。
「『君を名前で呼んだ日』です。最後のサビの終わり方が、めっちゃ可愛くて。STU48にこんなプリティーな曲が(笑)。可愛い曲は『恋は仮病中』とか、今までにもあったんですけれど、それとはまた違うアニメっぽい可愛い曲がきました!」
この「アニメっぽさ」の背景には、クリエイターの存在がある。「君を名前で呼んだ日」の作曲を担当した永塚健登は、「ゆるキャン△」シリーズのオープニング曲など、多くのアニメ楽曲の作曲もしている。グループの可愛さを豊かにしていく一曲だろう。
最後に中村舞が選んだカップリング曲は、パフォーマンスに定評がある彼女ならではの視点で選んだあの曲だ。
「私は『逢おう空』です。まだ1回しか披露してないんですが、YouTubeの公式チャンネルにはアップされているので、見てほしいです。
『逢おう空』は、最初見た時のインパクトが本当に強くて。ダンス選抜の楽曲なので、みんなダンスキレキレで、特にセンターの岡村梨央ちゃんは、歌唱もすごくて。ヘッドセットを付けて、バキバキに踊っていたんです。それがすごく印象に残っていて『これぞプロの集団!』という感じで、心惹かれるものがありました」
この『逢おう空』は、STU48のグループ内でオーディションが行われ、最終まで残った5人が歌う楽曲だ。そして、ダンスだけでなくそれぞれの歌唱力も魅力的なユニットにもなっている。
ここまで挙げた3曲に、2期生の内海里音がセンターを務める王道アイドル曲「茜色のラブレター」が加わる。同期の絆、可愛さ、パフォーマンス力、そして、王道曲とSTU48の魅力を拡張していくカップリング曲が並ぶことになった。表題曲の「冬服に着替えたら」も加えると幅広い層に届きそうなシングルになったといえるだろう。
■10月7日に感じた変化と安心〜リリース日イベント〜
「冬服に着替えたら」は、既に全国でリリースイベントを行っている。発売日当日である10月7日にも広島県の広島駅南口地下広場でリリースイベントが行われた。このイベントは、平日の18時30分というファンだけでなく多くの通行人もいる中での開催だった。中村舞にはこのイベントで気付いた変化があった。
「私も思ったし、スタッフの方もチラッと言っていたんですけれど、女の子が普段より来ていたように思いました。女性エリアがあるんですけど、そこに人が結構いたという感覚があります。みんなが真似したくなるような可愛い振り付けだし、可愛い曲なので、今回のシングルで女性ファンも増やしていけたらいいなとすごく思いました」
たしかに、通勤電車を思わせる振り付けなど、可愛さや真似したくなる要素が楽曲の中にある。
原田清花もこの日、感じた変化があった。
「平日の夕方だったんですが、平日っていうことを忘れちゃうくらい、たくさんの方が来てくださいました。学生の子や、『初めてSTU48に来ました』という方もいて。学校終わりに来てくださることは、なかなか無いことなので嬉しいなって思いました」
女性や学生。平日の夕方に行うこのイベントは、STU48に普段触れない人や気になっていたが、なかなか行く機会が無かった人が新たに足を運ぶきっかけとなった。
こうした新たなファン層との出会いがあった昼のイベントに対し、夜には真逆の濃密な空間が広がっていた。この日の22時45分からは、甲斐心愛がSTU48広島劇場(広島クラブクアトロ)でソロイベントを行っている。
「来てくれた人たちは、もう精鋭隊みたいな(笑)、ずっと応援してくださっている方々でした。自分が一番、ホッとする人たちが集まってくださいましたね。岡田あずみちゃんも久留島優果ちゃんもゲストとして出演してくれたんですけれど、全体として家族みたいな空間ですね、って言われるくらい(笑)、ほんまに温かい空気感のイベントでした」
ちなみに、この日の甲斐心愛は、リリースイベント前に広島4局にてテレビ出演を行い、さらに、このソロイベントの後には、RCCラジオ「STU48のちりめんパーティー」の公開収録も行っている(番組収録は23時30分ごろから)。無尽蔵なバイタリティで楽曲を様々なところへ届ける姿勢も、彼女がセンターとして活躍している秘密のひとつかもしれない。
■新しい仲間へ〜4.5期生オーディション〜
現在、「STU48 × TGC SETOUCHI GIRLS AUDITION 2027」として4.5期生の募集が始まっている。ここ数年、アイドルグループの追加メンバー募集のオーディションが話題になることがあるが、48グループに関しては、継続的に追加メンバーオーディションを繰り返している。中村舞が、今、STU48に来てほしいメンバーについて、丁寧に言葉を選びながら語ってくれた。
「今、いっぱいアイドルがいる時代です。色んなアイドルがいる中で、ずっと続いている48グループがあります。48グループにリスペクトがある、そういう熱い気持ちの子が、STU48に来てくれたらなと思います。グループを愛してくれて、自分自身も主体的に取り組んでくれる、そんな姿勢があるような子が良いです。
STU48は他のアイドルと違って、やっぱりSTU48の色があると思っています。加入したらその後、いろんな場所に行ったり、地域に密着した活動だったり、瀬戸内に関連するお仕事がたくさんあると思うんです。その分、忍耐力がすごく大事だなとも思います。
いざ入ってみて、『表に見えている部分とやっぱり違った、なんかやっぱり大変だ』と思うこともたくさんあるので、それを耐え抜ける、瀬戸内を愛せる人にSTU48に入ってもらえたらいいなと思います」
原田清花は、取材前日にオーディション応募者に偶然にも出会っている。
「昨日、リリースイベントが倉敷であったんですけれど、その時に『オーディション受けます!』という子も来てくれていました。ちょっと、感動しました。そんな風にSTU48を好きでいてくれて、一緒にステージに立ちたいと思ってくれている子に出会えたらいいな、と思っています」
■変わり続けるもの・変わらないもの〜STU48の楽曲と「冬服に着替えたら」〜
前々作「傷つくことが青春だ」、前作「好きすぎて泣く」、そして、今作「冬服に着替えたら」と近年のSTU48の楽曲を並べていくと、STU48の楽曲は初期の「暗闇」や「風を待つ」、あるいは「地平線を見ているか?」のような世界観とは違う新しいモードに入り始めた予感がする。
最後に「冬服に着替えたら」という楽曲を通して、STU48の楽曲の根底にあるものや可能性を聞いた。まず、原田清花は楽曲の根本の部分に目を向けた。
「切なさの中に、ちょっと可愛さがあったりして。そういうSTU48の根本のところは変わっていなくて、大切にしていきたいと思っています」
中村舞も同じく前提にあるものに注目した。
「根本的な部分は変わっていないです。今回はちょっと新しく挑戦したシングルなのかなと思っています。
でも、いつも前提としてSTU48の楽曲には『人の気持ちに寄り添う』というものがあると、すごく思っています」
センター甲斐心愛は、この楽曲の可能性について語ってくれた。
「いろんなシーンで、いろんな方に聴いていただきたいです。『冬服に着替えたら』は、『ザ・秋元先生の歌詞』です。満員電車とか、ポニーテール、駅のホームとか、そういう歌詞なので、ファンの皆さんの妄想力を掻き立てるというか(笑)私達とこんな恋してきたっけみたいな妄想です。
逆に、STU48を知らない世間の人、たとえば、現役の学生の子たちからしたら、同じ通学路や通学電車の中で、声をかけられないみたいな、もどかしさを感じている子もいるかもしれない。そういう子たちからの見解を聴きたい(笑)!
ちょうど、発売が秋なので季節感もぴったりの曲です。ファンの皆さんと楽しく一緒に夏を過ごしてきたので、その夏が終わる寂しさも気持ちをリンクさせて聴いていただきたいです」
STU48ファンだけでなく、この曲の主人公と同世代のリスナーが聴いた時にどんなことを感じるか。10月7日のリリースイベントに感じた手応えが、地元だけに留まらず全国に広がっていくか。
「切なさと可愛さ」、「人の気持ちに寄り添う」、そして、「広い世代のリスナーが気持ちをリンクして聴けること」。
メンバーたちが語った要素が「冬服に着替えたら」やSTU48の楽曲のこれからの可能性を考える上でのヒントになるかもしれない。
STU48という船は、来年いよいよ10周年という大きな港へ辿り着く。出会いと別れを繰り返す歴史の中で、変わっていくものもあれば、変わらず洗練されていくものもある。彼女たちはその「大切なもの」を胸に抱き、これからも進み続ける。
かい ここあ
2003年11月28日生まれ。広島県出身。趣味はカープ観戦と海外旅行。特技は外国人の人と話すこと、カープ選手のモノマネ。2017年STU48の1期生としてデビュー。2024年KLP48に移籍。2026年2月28日にKLP48としての活動を終了し、同年3月31日からSTU48に復帰。2nd写真集『おかえり太陽』が発売中。最新情報は公式X(@k_cocoa1128)、公式Instagram(@k_cocoa1128)まで。
なかむら まい
1999年4月4日生まれ。愛媛県出身。趣味はゾンビ、バレエ。特技はクリボーの顔の真似、どんな場所でも眠れる。2018年、『第3回AKB48グループ ドラフト会議』にてSTU48に第1順指名される。2nd写真集『舞風』が発売中。最新情報は、公式X(@stu48_question)、公式Instagram(@question_stu48)にて。
はらだ さやか
2001年6月19日生まれ。福岡県出身。趣味は漫画・アニメ・自然の中でのんびり。特技はイラストを描く・ロングスリープ。2019年12月にSTU48の2期生としてデビュー。最新情報は公式X(@hrdsyk_rin)、公式Instagram(@harada__sayaka)にて。
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