
1st写真集を発売を機に、これまでの歩みを語った内海里音
STU48の内海里音が、1st写真集をリリースした。5年間の活動でシングル選抜メンバーを2度経験し、グループの中心メンバー入りを視野に入れた今、ターニングポイントを迎えた彼女の人となりと心の機微に迫る。
▪️自己肯定感が低かった
STU48の2期生として加入した内海里音は、盛り塩の習慣があるという。
発売中の1st写真集「ハートのGPS」の刊行が決まってからは「今まではスーパーに売っている粗塩だったんですけど、ほんとにすごい京都の神社から清められたお塩を取り寄せるようになりました」と語る。
そして、「運気が良くなってきたな、って思うようになりました。前向きに行動すると意識が高まって、いい方向に進む気がします。もっといいお塩を買えるように頑張らなきゃ。少し貪欲になった気がします」とポジティブだ。
しかし、彼女はSTU48になる前は「自己肯定感が低かった」と語る。
▪️これは里音の挑戦だと思うけん 〜岡山〜
内海里音は2002年11月5日に岡山県に生まれる。
「私が生まれたところは、車の音も一つもしない静かな街の中で、虫が鳴き続ける音とか都会で生活していたら聞こえない貴重な音がたくさん聴けます。それから、空気も夜空もとっても綺麗。たくさんの星も見られます」
内海は、子供の頃の自分を「落ち着きのない元気な子供」と評する。
「とにかく可愛いものが大好き。ブリブリの可愛いお洋服が大好きで、プリキュアのコスプレをさせてもらったり、姉が二人いるのですが姉のおもちゃを奪ってしまい、『私はプリキュアなんだ』とか言ったりして。
可愛いものが好きというのは、アイドルになった今も変わらないです。両親も可愛がってくれました、過保護なくらい。でも、性格はネガティブな部分もありました」
そんな彼女には二つの夢があった。
「幼い頃からテレビが大好きで、ずっとテレビを観ていて。 NHKの子供番組を見ている時に、子役の子たちが活躍していて。同じ世代なのに、こんなにテレビで活躍していてすごいなって思っていました。小学校の頃にAKB48が流行り始めて、歌番組で活動してるのを見たら、もう可愛くて。『いいなぁ』っ観ているうちに『アイドルになりたいなぁ!』という気持ちに変化していきました。
それとは別に私には美容師という夢もありました。幼い頃から両親にもそう話していました。美容師のいとこがいて、私も髪の毛を実際に切ってもらったことがあったんです。人のことをすごく可愛くするヘアアレンジに憧れました。『可愛いもの」という点でアイドルとは共通しているかもしれません」
そんな中、彼女は中学生の時にSTU48と出会う。
「渡辺麻友さんが『瀬戸内に48グループができる』ということで、オーディションの告知にいらっしゃって。船もできる、と聞いて。すごいな、いいなと思いました。岡山も瀬戸内だし、自分も岡山県民やしな、って。でも、その時は美容師を目指そう、と思っていました。
高校2年生になって進路を考える頃に、2期生のオーディションがあると知ったんです。それが気になって、STU48のことを色々調べるようになりました。船の上でライブするってめっちゃかっこいいな、と思って楽曲も聴くようになりました。私、気になったらとことん調べちゃう性格なんです。執着と言ってもいいくらい。で、調べて調べて、オーディション期間の最後に応募しました」
美容師という夢を捨ててのアイドル挑戦。家族はどう思っていたのだろうか。
「アイドルになりたい、ということは家族にも話したことがなかったので、相談した時はびっくりしていました。けど『頑張れ』っていう前向きな気持ちで応援してくれて。実際にメンバーになることができて広島に出て行くことになった時は寂しそうでした。
父は特に過保護なくらい可愛がってくれていたので(笑)。『離れるのは寂しいけど、これは里音の挑戦だと思うけん、背中を押すよ』と言ってもらいました」
2019年10月27日、第2期生オーディションの最終審査で、特別枠投票の5名中2位で合格者となり、同年12月3日、STU48の2期生として加入することが発表される。内海は住み慣れた岡山を離れ、広島へと拠点を移す。
「一人暮らしをするっていうことには不安が沢山ありました。たとえば、1人でトイレいけるかな、とか。でも、そんな沢山の不安と同じかそれ以上に、なんだか楽しみでした。アイドルという経験したことのない世界、どんな世界が待っているんだろうって、ワクワク感の方が勝っていました」
不安というネガティブな気持ちを抱えながらも、テレビで見た「可愛い」世界への期待を胸に彼女は広島に行く。
▪️真面目にやっとるけんっていうのを、みんなに言いたいよね 〜広島〜
「広島は家族旅行で行ったこともあったので『遠い場所』というイメージはありませんでした。岡山と似た景色もあったので、だからこそ『なんか行けるっしょ』みたいな気持ちで行けたのかなって。広島の人は温かいです。タクシーの運転手さんもが気さくに話しかけてくれる。『1人で岡山から広島に出てきたんです』と言ったら『可愛いけん、あげる』って、お好み焼き屋さんがジュースをサービスしてくれたり。
温かい街だと思いました。私、岡山に住んでいた時は、地域のおじいちゃん、おばあちゃんに登下校時に挨拶する習慣があって。でも、広島に来て、なんか挨拶しても、返してもらえない時もあって、ちょっと寂しい思いをしていたので、とても温かい気持ちになりました」
広島に来て、彼女の生活はアイドルとしての生活に変わっていく。
「岡山の時は。早く寝ていました。20時とか、本当に早寝だったんです。STU48のメンバーになって以降は、レッスンだったりメンバーと話をしたり、SNSをチェックしたり更新したり、としているうちに21時になり、22時になり…、と今は深夜1時になったりすることもあります。夜型になりました。アイドルの活動は朝からのものも多いので。それでも起きるのは得意になりました。学生時代は早起きが苦手だったんですけど、不思議ですね」
しかし、アイドル人生は「可愛い」だけでは通用しない。
「けっこう私は、上がり下がりの激しいアイドル活動を送っていたなと思っています。どちらかというと、こう…どん底の方が長かったので…。
ずっとグラビアで出演するのが目標で、3年くらい前に「Platinum FLASH」と「FLASH」で水着グラビアを撮影し、掲載していただきました(2022年4月)。その時は反響もいただいて、フォロワーさんも増えて。『選抜メンバー入りに近づいたかな』と思ったのですが、そんなに人生甘くなくて、選抜に入れず…。
自分の中ではけっこう頑張ったかな、というのがあったのですが、その頃は本当に『自分はダメだなぁ』と思って落ち込みました。その分、他に頑張っているメンバーもいるわけで、元気になった後もお仕事が減っていた時期があったんです」
それでも彼女は、諦めずに活動を続ける。やがて、2022年12月に岡山県警察、岡山県交通安全協会が作成する交通安全に関する動画に沖侑果と共に出演する依頼が来る。
「ただ、選抜に入りたい、またグラビアをやりたい、という気持ち、目標があったのでその後も頑張ってコツコツと努力し続けていました。
そうしたら大好きな地元の、岡山県警さんのお仕事をいただいて。あと、「新鮮市場 きむら」さんという岡山と香川のスーパーのCMにも出させていただいて。粘って、頑張った結果が積み重なって、やっと 11枚目シングルの選抜メンバーに初めて選んでいただくことができました。
その頃からモチベーションもばーっと上がってきて、2作連続で選抜に入ることができました。」
そして、ついに写真集のオファーが来る。
「ビックリしました。写真集を出せるとは思ってなかったんですよ。卒業までは正直無理だな。卒業までっていうか卒業しても無理だなって思った。(写真集は)誰でもさせるものではないので。マネージャーさんから『写真集出します』っていう連絡が来た時は涙が止まらなくて。夜に連絡が来たんですけれど、朝方 5時まで眠れないくらい驚いて、嬉しかったです」
少しずつ頑張りが認められ、選抜入りや写真集の発売まで辿り着くことができた彼女のことをSTU48のメンバーたちはどう見ているのだろう。
「先輩、同期、後輩、みんな定型文か?というレベルで『面白い』って言われます。私、自分のキャラがわかんなくて…全部素なんですよ。でも、まあ、それが逆にいいのかなって思います。
先輩にも同期にも後輩にも中身まで掘って、こう見てくれた上で面白い、と思われているのであれば。普段、明るいんですけれど、悩む時はとことん悩むので、周りの人に相談はしないんです。けれど、そういう時だけは、高雄さやかちゃんに相談します。全部肯定してくれるし『真面目にやっとるけんっていうのを、みんなに言いたいよね』って言われました」
「可愛さ」、「面白さ」それは内海の持つ重要な要素だ。しかし、その奥にあるのは、今も自分のキャラを探りながら真面目に努力している等身大の20代の姿がある。
▪️STU48に新しい風を吹かせていければと思っています 〜東京〜
これからの目標を聞くと、「地上波のバラエティ番組に出たいです。面白いことが大好きで、芸人さんも好きなので」と答えてくれた。
彼女のこれからの活動には、東京も視野に入っているのだろうか?
「東京の魅力はお洋服!私の好きなお洋服の系統とかもたくさんあります。あとは、人がたくさんいること!人間観察が楽しいですね。私、人間観察大好きなんです。地元にいる時はそもそも知っている人ばかりなので(笑)。東京はファッションもお仕事も、生き方も幅が広いと思います。アイドルのお仕事でいろいろな人に出会えることによって、勉強になるなぁと思っています」
東京で触れたファッションについては、今回の写真集にも生かされている。
「私は自分の直感で服を選ぶことが多いんです。けれど一番大事にしているのは、骨格にあった服を意識すること。
写真集では大人っぽくするために、普段は短い丈のスカートが多いのをロングのものにしてもらったり、ノースリーブにしてみたりとかしています。さらに、私らしいブリブリの可愛らしさを出したくて、それを表現できる衣装を用意してもらいました。それから、自分のわがままで趣味のホラー映画を見ているカットもあるのですが、それも、普段かけているようなメガネを準備してもらいました。
自分にファッションの引き出しがあったことに驚きました。あまり自分を客観視することがなかったので、写真集を自分で見返してみて、自己肯定感がものすごく上がった気がします。自分が想像していた以上の表情を撮っていただきました。
自己肯定感、学生時代は低かったんですけど、STU48に入ってから上がって、さらに選抜や写真集発売でさらに上がった感じです」
▪️いいサイクルが回っている感じです
アイドルになり、一つ一つの達成を経て、彼女は自分を肯定できるようになった。
しかし、まだまだ道は険しい。
STU48でバラエティというと、同期の工藤理子というトップランナーがいる。
「りこち(工藤理子)はライバル、と思われがちなんですけどそんなことはなくて。お互いのモチベーションにつながっていると思います。りこちと一緒にSTU48に新しい風を吹かせていければと思っています!」
最後に、冒頭に登場した盛り塩について彼女のファンたちはしているのか、気になったので訪ねた。
「盛り塩は真似しないですね、ファンの皆さんは。でも、『里音ちゃんを待ち受けにしたら気になっていた先輩と付き合うことができた』、『受験合格した』というファンの方がいました。歩くパワースポットです(笑)。ファンの皆さんのおかげで私の方も明るくなって、いいサイクルが回っている感じです!」
彼女が発する前向きなパワーから来る「いいサイクル」は今も回り続けている。
岡山、広島、そして、東京、内海里音の心のGPSを動かしながら。
あなたの心のGPSは、今、内海里音に向かい始めていないだろうか。
※『内海里音 1st写真集 ハートのGPS』はKADOKAWAより発売中
写真・佐藤佑一