
STU48森末妃奈
「都会に住んでいないとアイドルになれない」そう諦めかけていた少女が、STU48の誕生によって、人生が変わる。「自分は『選ばれない側の人間』なのかなと思っていた」と語る彼女が、いかにして意識を変え、自らの武器を見つけ出したのか。その軌跡に迫る。
好奇心とアイドル
2002年6月20日。STU48の3期生である森末妃奈は、岡山県で生まれた。
子供のころの彼女は、好奇心旺盛だったそうだ。
「海と山に囲まれて育ちました。あと年子の兄がいるので、兄とその友達に混じって一緒に山登りしたりとか、川でザリガニを捕まえたり、よく両親や友達に『怖いものないよね』と言われていました。とにかく元気な子供でした。なんか自分で言うのって恥ずかしいですね」
そんな岡山県の元気な少女がアイドルに出会ったのは、小学校2年生ごろのことだった。
「アイドルの入口はやっぱりAKB48さんで、いつどのテレビを観ても出演されていました。ものすごくキラキラ見えましたし、憧れていました」
しかし、自分がテレビの中にいるアイドルになることについては、現実味が無かった。
「『都会に住んでいないとアイドルにはなれない』という認識が私の中にありました。『スカウト』という言葉は知っていましたけれど、それも都会の話で、『都会にはスカウトというシステムがあって、それでみんなアイドルになっているんだ』というイメージで。『こんな田舎に住んでいたら、そんな機会はないだろうな』と思いながら過ごしていました」
3年間チャンスを待ち続けた
「機会」が訪れたのは、2017年のことだった。
瀬戸内海と瀬戸内地方の7県を舞台に活動するSTU48の誕生がアナウンスされる。その中には、森末妃奈の住んでいる岡山県も含まれていた。
「その時はまだ応募方法もわからなかったので受けていないのですが、自分の中でSTU48というグループに、運命的なものを感じました」
1期生のオーディションこそ逃してしまったが、2019年に行われた2期生のオーディションでは最終選考まで彼女は残った。
「ファン投票という特殊なオーディションで、本名も公開だったこともあり、『すでにアイドルになった気分』という感じでした。でも今考えると、その時はまだ素の自分は出せていなかったのかなと思います。そこを出せずにいたのでファンの方の心にも、本当の意味で刺さらなかったのかな、と思います」
不合格から約3年後、2022年に3期生のオーディションを受けることになる。そこには、ある覚悟があった。
「まずは『2期生オーディションの時より素を出そう』と思いました。あとは、本当に『アイドルではなく、STU48になる』ためにこの時を待っていたので、そのことをオーディションの審査員の方にもファンの皆さんにも『私は2期生オーディションを落ちた時からどこも受けず、この3期生オーディションが来るのを待っていました』ということを強く伝えました」
約3年間、浮気をせずにSTU48を見つめ続けて機会を待っていたのだ。
そして、ついに森末妃奈は、STU48に合格する。
「もう本当に嬉しかった。の一言です。その時は『怖い』とか『不安』とか何もなく、ただただ嬉しい、という感覚でした」
グラビアとバラエティ
2023年の4月にSTU48の3期生としてお披露目され、翌年の12月に正規メンバーとして昇格する。14名が合格した3期生も、気づけば6人になっている(2026年8月現在)。
「卒業メンバーが出て、3期の人数が少なくなってきて、初めて3期みんなで話すようになってきたという感じです」
これから森末妃奈はどう活動していくのか。STU48の公式サイトにかかれている「密かな野望」には、「瀬戸内のグラビアNo.1」と「バラエティで爪痕を残す」と書かれている。少し意外な感じもしたが、そこには深い考えがあった。
「3期生の中で最年長メンバーだからできることってなんだろうな、と考えた時に水着グラビアが浮かびました。もとから気になるお仕事でしたし、加入当初から『セクシーお姉さん』みたいな呼ばれ方もしていた、ということもあります。そういう形でファンの方に名前を覚えてもらえれば、という願望もありました。STU48はあまり水着グラビアをやらないこともあり、先輩方に続いて私がやることで『その風潮を変えてやるぞ』みたいな野望もありました。
バラエティについては今年、初めて書きました。3年間活動して、徐々にお仕事も素でできる部分が増えてきました。その中で『今のSTU48にあまりいないキャラだね』と言われることが多かったんです。いま、広島のRCCさんで『アルコ&ピースとSTU48の一発当てたい』という番組があるのですが、番組に呼んでいただく機会が増えていることもあり、番組名にちなんで一発狙って、爪痕を残したいなと思いました」
『後ろでいいや』から『目立ちたい』へ
実は、アイドル活動とスタイル維持についてのある悩みがあった。
「地元では可愛いと思っていましたが(苦笑)アイドルになってみて、本当に周囲に可愛い子が多くて、やっぱり『選ばれる子』というのは次元が違うというか、自分は『選ばれない側の人間なのかな』と思うことはありました。
同期の活躍を見ていても『私はそっち側ではないかもしれない』とも思いました。選抜外のメンバーは、やはり選抜のお仕事がない、イコールお休み。お休みで何をするか、というと私の中では『食べる』という方向になってしまい、負の連鎖に陥ったことがあります」
そんな彼女に転機が訪れる。
2026年1月30日に放送された『沸騰ワード10』で、タレントのRIKACOと全く同じ生活を3週間続けると、人はどれほど変われるのかを検証する企画「RIKACO HOUSE」に参加したのだ。この企画で、体重、体脂肪、腹囲の減量に成功する。
「痩せたことにより、いっそう『目立ちたい』と思うようになりました。以前は、自分に自信がなく、自信がない時ってやっぱり後ろ向きな考えになり、いろいろなフェスで少人数の参加メンバーに選ばれた時も、『後ろでいいや』みたいな感じだったんです。体型だけではなく、ビジュアル的にも…全てにおいて自信がありませんでした。けれど、ダイエット企画に参加して、体重が数値的に落ちたとともに、内面的にもすごく自分に自信がつきました。RIKACOさんはカメラが回っていない時に『顔は可愛いんだから、親に感謝しなさい!顔は可愛いんだから!』とずっと言ってくださっていたんです。その言葉は私の頭の中で今でも再生されています」
自分を変えてくれたRIKACOの言葉は、彼女にとって自信につながるものになった。そして、彼女にとっての転機がもう一つ訪れる。
「爪痕」の残し方と新しい自分
2026年5月30日。東京 Kanadevia Hallで行われたSTU48の9周年コンサート『STU48 9th Anniversary Concert THE STU SHOW 〜Sailing〜』で、14枚目のシングルの選抜に選ばれたのだ。この時、彼女は「しっかり結果を出して爪痕を残してSTU48に貢献できるように」と語っていた。あの時の「爪痕」とは、具体的にどういうものをイメージしていたのだろう。
「まずはSTU48の歌をとにかく広げたいです。『今の世の中に流行る!』というような曲とは違うのかな、とも思うんです。でも、その中でどうにかして曲の良さを伝えたいんです。それがまだわからなくて…。
もう一つは、とにかく一つ一つのお仕事を丁寧に、全力でやっていきたい、という気持ちが強いです。その中で、『森末妃奈』っていう存在を残して、知ってもらうことが、グループへの貢献にもつながるんじゃないかとは思っています。チャンスを逃さないように、まだ知らない人にも知っていただけるように、と思っています。その結果がグループへの貢献にもつながるのかなと。簡単な話ではないですけど」
知らない人たちへ森末妃奈という存在を残す。それが、STU48の入口にもなる。
「今回の水着グラビアもその1つだと思っています。水着グラビアが決まる以前からですがパーソナルジムで重点的に二の腕と腰回りはお願いして鍛えていました。ポーズについても研究しました」
撮影時に新しい自分を作っていくヒントもあったようだ。
「撮影中にみなさんが『脚長い』って言ってくださったことです。今まで言われたことなかったんですが、『え、本当に?』って思いました。もしこれが本当なら、もっと鍛えて、武器にしていきたいですね。」
森末妃奈が、楽曲や自分の存在を広めていく入口になるための武器が1つ生まれたかも知れない。
自分のことを「選ばれない側の人間」と感じ、負の連鎖に陥った彼女を変えたのは、努力の末に勝ち取った肉体の変化だった。そして、変わったのは肉体だけでなく内面もだ。自分の武器を見つけた彼女は、自信を胸にこれからSTU48を外の世界に広げていくために進んで行く。
プロフィール
もりすえ ひめな
24歳 2002年6月20日生まれ。岡山県出身。2023年4月にSTU48の3期生としてデビュー。2026年10月7日発売の14thシングルで初の選抜メンバー入り。特技は「球技スポーツ」。そのほか最新情報は、公式X(@_HIMENA_48)、公式Instagram(@stu48_himena_)にて。
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