【食堂のおばちゃんの人生相談】53歳・団体職員のお悩み

「食堂のおばちゃん」として働きながら執筆活動をし、小説『月下上海』で松本清張賞を受賞した作家・山口恵以子。テレビでも活躍する山口先生が、世の迷える男性たちのお悩みに答える！

【お悩み／トロタクさん（53）団体職員】
　結婚して20年。子供には恵まれませんでしたが、それなりに幸せです。次の結婚記念日には、結婚式を挙げたホテルでディナーをと考えていますが、妻へのプレゼントが思いつきません。今まで、あまりそういう経験がなくて……。

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【山口先生のお答え】
　まあ、なんて素晴らしいご夫婦でしょう。お便りを読んで、こちらまで心が温まってきました。結婚記念日のディナーで、奥さんにはトロタクさんの愛情と感謝の気持ちが、痛いように伝わるはずです。感激なさいますよ。

　私は奥さんの好みも人柄も存じ上げないので、プレゼントに何が相応しいかはわかりません。ただ、ディナーの席で手渡すのに一番相応しいプレゼントは、“妻への感謝状” ではないでしょうか。

　これまで20年間の思いを込めて、是非手紙を書いてください。特別なことを書く必要はありません。毎朝の味噌汁が美味いとか、〇年前のトラブルの際に自分を励ましてくれた感謝は今も忘れないとか、×年前に二人で出かけた△旅行は楽しかったね、とか。

　手紙の最後には「20年の感謝を込めて、君にプレゼントを捧げようと思ったのだが、何を買ったら喜んでもらえるか、考えれば考えるほどわからなくなってしまった。だから、君がじっくり考えてください。そして欲しいものが決まったら、次の休みに二人で買いに行きましょう。僕も今から楽しみにしています」と添えてください。

　奥さんはきっと目を潤ませるはずです。どうぞ末永くお幸せに。

やまぐちえいこ
1958年、東京都生まれ。早稲田大学文学部卒。就職した宝飾会社が倒産し、派遣の仕事をしながら松竹シナリオ研究所基礎科修了。丸の内新聞事業協同組合（東京都千代田区）の社員食堂に12年間勤務し、2014年に退職。2013年6月に『月下上海』が松本清張賞を受賞。『食堂メッシタ』『食堂のおばちゃん』シリーズ、そして最新刊『夜の塩』（徳間書店）が発売中