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武田双雲の症例に学ぶ「胆石症の治療」胆嚢の摘出を検討せよ
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2020.06.17 16:00 最終更新日:2020.06.17 16:00
「あまりの痛みに壁に頭をぶつけ、14時間のたうち回りました」
2011年8月に発症した書道家の武田双雲さん(44)を、七転八倒させた胆石。病院では、どんな検査、治療がおこなわれるのか。
「検査は、腹部超音波検査・CT・MRCP(磁気共鳴胆管膵管造影)が一般的です。患者さんへの身体的、経済的負担が少ない腹部超音波ですが、胆嚢結石はよく観察できても、総胆管結石は腸内の空気の影響で見えにくいことがあります。
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MRI装置で胆嚢・胆管・膵管を抽出して検査するMRCPは、胆管や胆嚢管の状態までよくわかります」(玉川医師)
武田さんは激痛に見舞われて「急性胆管炎」と診断を受けたが、痛みの感じ方は幅広い。
「激痛だけでなく、鈍い痛みだったり、痛みそのものがなかったり。『なんとなく痛い』や、『重い感じがする』と表現される患者さんもいらっしゃいます」(玉川医師、以下同)
日本人の10人に1人がもっているという胆石。無症状の場合も多く、定期的な超音波検査などで経過観察する。
「胆管炎などで痛みなどの症状が出ている場合、腹腔鏡下手術が第一の選択肢になります。胆嚢を結石ごと摘出するのです。結石だけを取り除いても、再発することが多く、再手術になるためです。炎症が強い患者さんなどには、最初から開腹手術を選択することもあります」
なお、玉川医師はこれまで1000例以上の同手術経験がある。武田さんも、最終的には胆嚢摘出を決断した。
「僕の場合、8月に内視鏡を口から胆管まで挿入して、総胆管結石を3個取り出す手術をしました。その後、油抜きの食事や東洋医学などで経過を見ていました。ですが、逆流性胃腸炎なども患い、体調もどんどん悪くなってきました。
先生のご助言もあり、2012年3月に腹腔鏡下手術で、胆石ができてしまった胆嚢を摘出しました。かなり腫れていたみたいで、手術時間は通常の3倍かかったそうです」(武田さん)
手術以外にはどんな治療の選択肢があるのだろう。
「胆汁酸製剤を内服する溶解療法や、体外衝撃波胆石破砕療法があります。しかし、どちらも胆石の消失率に限界があり、治療期間も長くなります。再発率も高いことから、現在は腹腔鏡下手術が主流です」(玉川医師)
胆嚢を摘出しても生活への影響はなく、国内で年10万人が手術を受けている。医師と相談し、適切な治療を選ぼう。
(週刊FLASH 2020年5月26日号)