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赤塚不二夫に横山やすし…「アルコール依存症」の悲しき末路

ライフ・マネー 投稿日:2020.06.21 20:00FLASH編集部

赤塚不二夫に横山やすし…「アルコール依存症」の悲しき末路

 

 数多くの臓器のなかで、なぜこうも肝臓だけがアルコールと密接に関係しているといわれるのか? 酒の飲み過ぎが原因でで悲しい末路をたどった、4人の有名人の事例に学ぼう。

 

 以下で紹介する4人は、酒がもとで体を壊したり、社会的信用を失ったりした。肝臓専門医の浅部伸一医師は、「皆さん、いずれもアルコール依存症だった可能性が大きいと思います」と語る。 (以下敬称略)

 

 

●事例(1)赤塚不二夫
『天才バカボン』などで知られる「ギャグマンガの王様」は、若いころならウイスキーのボトル2本、60歳を迎えても焼酎のボトル2本を1日で開けた。
 肝臓を壊し入院しても、退院するとまた飲み始めるという悪循環を繰り返した。2008年8月2日死去(享年72)。

 

「晩年、急性硬膜下血腫で入院したとのこと。血を固める凝固因子は肝臓で作られるので、肝臓が悪くなると、頭を打った程度でも血が止まらなくなるんです」(浅部医師、以下同)。

 

 

●事例(2)中川昭一
 何度も断酒を誓ったがやめられず、財務大臣として出席したG7の会議後の記者会見では、ろれつの回らない姿を見せ、大臣を辞任。
 2009年10月3日に死去(享年56)後、血中からアルコールが検出され、酒と睡眠薬を飲んだ結果の急性心筋梗塞の可能性が指摘された。

 

「睡眠薬を処方された原因はアルコール依存症が考えられます。依存症になると眠れなくなり、うつ状態にもなります」

 

 

●事例(3)春一番
 アントニオ猪木のものまねで知られるピン芸人は、16歳から毎晩、飲んでいた。テレビ番組の企画で「γ-GTP1500」という異常値を出し、栄養失調とアルコール性膵炎の診断も受けていた。酒を飲んで就寝後に体調が急変し、帰らぬ人に。2014年7月3日死去(享年47)。

 

「アルコール依存が進んで、酒以外を口にしなくなると、肝臓を再生させる栄養素が摂れず、普通は10年以上かかる肝硬変に5年以内で進行することも」

 

 

●事例(4)横山やすし
 仕事をすっぽかすなど、酒でのトラブルは数知れずの「伝説の漫才師」。アルコール性肝硬変を患い、腹水が溜まって緊急入院したこともあるが、じつは「水割り2杯でベロベロになっていた」との証言もある。1996年1月21日死去(享年51)。

 

「もともと、酒に強い体質ではなかったんだと思います。医師の立場なら、絶対に酒をやめさせる状態ですが、彼に忠告できる人はいなかったのでしょうね」

 

 4人のエピソードから、「もしかしたら自分も依存症では……」という不安を抱える人も多いかもしれない。アルコール依存症の専門医である久里浜医療センター院長の樋口進医師が、WHOの基準をもとにアルコール依存症の自己診断基準を解説してくれた。以下で紹介しよう。

 

・仕事中も頭から酒のことが離れず、飲みたいという強い欲求がある

 

・これくらいで酒をやめようと思っても、やめられず、飲酒のコントロールがきかない

 

・酒が切れると手が震えたり、幻覚が見えたりするなどの禁断症状(離脱症状)が出る

 

・たくさん飲まなければ酔えなくなってしまっており、以前の酒の量では満足できなくなっている

 

・飲酒が生活の中心になり、酒のために本来の生活を犠牲にしてしまう。また、二日酔いから回復するまでに一日以上かかる

 

・肝臓が悪くなっている、家庭内で不和が起きているなど、酒を飲むことでなんらかの問題が生じているにもかかわらず、飲酒を続ける

 

 これらのうち3項目以上が1カ月以上、同時に生じていたか、あるいは1カ月未満でも、過去12カ月以内に繰り返し同時に生じた場合、アルコール依存症と診断される。

 

あさべしんいち
『酒好き医師が教える最高の飲み方』などを監修

 

(週刊FLASH 2020年6月16日号)

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