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藤井聡太七段に屋敷九段が忠告「タイトルを獲った後が地獄」

ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2020.07.09 06:00 最終更新日:2020.07.09 06:00

藤井聡太七段に屋敷九段が忠告「タイトルを獲った後が地獄」

7月2日、王位七番勝負の第1局で、木村王位に勝利した藤井七段

 

 藤井聡太七段(17)の勢いが止まらない。6月4日、棋聖戦挑戦者決定戦に勝ち、最年少タイトル挑戦記録を31年ぶりに更新。挑んだ棋聖戦で、渡辺明三冠(36)を相手に連勝しただけでなく、7月1日からおこなわれた王位戦でも、木村一基王位(47)に先勝。

 

 史上最年少でのタイトル獲得どころか、「最年少での二冠獲得」までが視界に入ってきている。このまま最強棋士の座へ駆け上がるのか--。

 

 

「タイトルを獲ったあとからが、大変なんです」
 現在の最年少タイトル記録保持者である屋敷伸之九段(48)は言う。

 

 屋敷九段は、藤井七段でも4年かかった奨励会(プロ棋士になるための養成機関)を、わずか2年10カ月で卒業した天才。だが、18歳6カ月という史上最年少でのタイトル獲得後は、C級1組からB級2組への昇級に14年かかるなど、長いトンネルに入った。

 

「タイトル保持者は、イベントやセレモニーでは、一番手で迎えられます。心地よさはありましたが、居心地の悪さもありましたね。10代なのに、大先生たちの上座に座ることが多くなりますから……。(将棋の)勉強時間は、かなり減りました」(屋敷九段、以下同)

 

 収入も賞金だけでなく、対局料がタイトル保持者待遇で上がる。

 

「当時、段位は駆け出しの五段でしたので、年収は10倍にはいかないにしても、だいぶ跳ね上がりました。藤井七段は心配ないと思いますが……当時の私は、ちょっとした満足感で気の緩みも出ていたかもしれないですね」

 

 天才同士がしのぎを削る将棋の世界では、“緩み” から生まれるわずかな “しくじり” が、どん底の地獄へつながる。

 

「いまは禁酒中ですが、若いころはけっこう飲みました。『20代のころにお酒とボートレースを控えていたら、もっとタイトルを獲れていたのでは』と、よく言われます(笑)。

 

 でも、将棋の勉強だけしていても、25歳のときにもう一度タイトルを獲れたとは限りません。それはわからないです」

 

 高校生棋士・藤井七段の場合、酒はないが……。

 

「藤井七段は、バレンタインデーに段ボールいっぱいのチョコが届くと聞きました。タイトルを獲ったら、すごいことになりますよ。

 

 恋愛は、誰でも一度は通る道ですが、将棋との比重の置き方が難しいですよね。自分も、浮ついた気持ちで対局に行ったことがあったような……。恋愛したりすると、ずっと将棋のことを考えて煮詰まっていられなくなる。バランスの取り方が難しいのです。

 

 羽生善治九段や渡辺明三冠など、長く頂点にいる棋士は、そういったものを乗り越え、将棋の本質とは何かを常に探究している人たちです。おそらく藤井七段も、そこを目指しているはずです」

 

 終わりがない探究者の道は、頂点を獲った瞬間から始まる。

 


写真・時事通信

 

(週刊FLASH 2020年7月21日号)

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