「食堂のおばちゃん」として働きながら執筆活動をし、小説『月下上海』で松本清張賞を受賞した作家・山口恵以子。テレビでも活躍する山口先生が、世の迷える男性たちのお悩みに答える!
【お悩み/中肉中背さん(41)会社員】
最近、電車で私の隣の席が空いても、誰も座らないことが増えたような気がする。加齢臭なのか、少し太ったせいなのか。気にしすぎでしょうか? やはり女性は、不潔な感じの男性の隣には座らないものなのでしょうか?
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【山口先生のお答え】
そうなんですか? 私なんか、電車で座席が空いたら絶対に座りますけどね。これは私がおばちゃんだからじゃなくて、若い頃からそうです。
絶対座れない狭い隙間でも、無理矢理お尻をねじ込んで、隣の男性がたまりかねて席を譲ってくれたこともありましたっけ。何しろ私、生まれながらのおばちゃん体質で、小学生の頃から荷物を持つとき「どっこいしょ~のすけ!」と気合い入れてました。
それで、あなたのお悩みですが、気にしすぎだと思います。原因はあなたではなく、現代人に「潔癖症」が増えたからです。隣に座らないどころか、吊革に掴まれない人もいるんですよ。それどころか、レストランのカトラリーケースに入れてあるナイフやフォークが使えない人までいて、だったら外食するなっつーの。
ただ、男女に限らず、明らかに不潔で異臭の漂う人の隣には座らないでしょうが、それは一般人とはレベルの違う話です。あなたのよく利用する電車は何線ですか? そんなに隣席が空いているなら、今度私が座らせてもらいますわ。おほほ!
やまぐちえいこ
1958年、東京都生まれ。早稲田大学文学部卒。就職した宝飾会社が倒産し、派遣の仕事をしながら松竹シナリオ研究所基礎科修了。丸の内新聞事業協同組合(東京都千代田区)の社員食堂に12年間勤務し、2014年に退職。2013年6月に『月下上海』が松本清張賞を受賞。『食堂メッシタ』『食堂のおばちゃん』シリーズ、そして最新刊『夜の塩』(徳間書店)が発売中