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目指せアリリンガル!九大准教授が「アリとの会話術」を解明中

ライフ・マネー 投稿日:2020.08.22 06:00FLASH編集部

目指せアリリンガル!九大准教授が「アリとの会話術」を解明中

村上先生の子供のころの愛読書はもちろん『ファーブル昆虫記』

 

「まずは、これらの音を聞き比べてみてください」
 アリの描かれたTシャツを着た男性が、そう言ってパソコンを開いた。菌食アリの行動生態などを長年研究し、「アリ先生」と呼ばれる、「九州大学持続可能な社会のための決断科学センター」准教授の村上貴弘先生だ。

 

 

「ドロドロドロドロ……」
「キュッキュッ、キュッキュッ……」

 

 素人が聞いても、2つは明らかに違う音だ。

 

「最初の音は、ハキリアリが大好きな葉っぱを切っているときに発する声です。2つめは、あまり好きではない葉っぱを切っているときに発する声です。

 

 葉っぱのクオリティを査定して、仲間に伝えているのではないかと考えられます」(村上先生・以下同)

 

 続いて聞かせてくれたのは、敵が襲ってきたときに女王アリだけが発する声。

 

「ザッザッ、ザッザッ……」

 

 巣にいる働きアリたちは、この音を聞くと、みんな動かなくなってしまうという。

 

「動かなくなった働きアリたちを盾にして、その隙に女王アリが逃げる。そういう恐ろしい音なんですよ」

 

 村上先生が目下、取り組んでいるのは、「アリ語」の研究だ。中南米に生息するハキリアリは、文字どおり葉っぱを切って巣に運び、キノコを栽培して幼虫の餌にしている。

 

 複雑な社会を作るこのアリが、音声でコミュニケーションを取っていることに興味を持ち、先生はアリ語の音声解析と辞書作りを開始。2020年7月には、その奮闘ぶりをつづった『アリ語で寝言を言いました』(扶桑社)を上梓した。

 

 師匠の東正剛・北海道大学名誉教授から、「アリはしゃべるぞ」と言われて興味を持ち、独自に調査を始めたのが研究のきっかけだという。

 

「最初は2012年9月。ハキリアリが、『キョキュキュキュ』『キュッキュキュキュキュ』などと、音声を発しているのに気づきました。

 

 明らかに、個体間で『しゃべっている』という感じで、発見したときは『ヤバい世界を覗いてしまった』と思いました。と同時に、とてつもなくおもしろい研究テーマを見つけた、とも」

 

 そこで村上先生は、ハキリアリの音声を、自作の録音装置で数十時間かけ録音。研究室や自宅で、ひたすら聞き取った。発せられた音声を数えるため「正」の字を書いていく、根気のいる作業だ。

 

「もっともおしゃべりだったアリは、15分で7000回もしゃべっていました。それだけで解析に1カ月くらいかかり、もう勘弁してくれと(苦笑)」

 

 ちなみにハキリアリに限らず、多くのアリには胸部と腹部の間に「腹柄節」という器官があり、そこから音声を出しているそうだ。

 

「辞書も文法書もない言語を研究する、言語学者のようなものです。未知の言語を話す人と交流して、ひとつの言葉に対して意味を類推し、仮説を立てて検証していく。でも僕の場合は、相手が人間じゃなくアリですからね」

 

 論文執筆中のため、詳細は明かせないが、アリ語の「アルファベット」のようなものも、わかってきたという。

 

「現在のところ、統計的に有意な15パターンほどの声が確認されています。しかし、『なんとなく15くらいあるかな』というのがわかってきた程度で、『それぞれの声を組み合わせると、何かの意味になるか』などといったところまでは、まだ到達していません」

 

 村上先生が、将来的に目指すものとは?

 

「ハキリアリは農業害虫で、農薬で駆除しています。もしコミュニケーションを取れれば、そこを平和的に解決できないか、と僕は思っているんです。

 

 そして、『アリリンガル』を開発したい。たとえば働きアリはすべてメスで、オスは繁殖期にのみ生まれ、交尾のために精子を運ぶだけで、お役御免となるんです。オスのアリに、『それって、どんな気持ち?』って聞いてみたいです(笑)。

 

 何十年かかるかはわかりませんが、ハキリアリの発する音の研究は、そのためのチャレンジなんです」

 

 アリに「アリがとう」と言える日が、実際に来るかもしれない!

 

【アリ先生が教える「アリ語会話帳」】
・「好きな葉がある」=「ドロドロドロドロ……」
・「あまり好きではない葉がある」=「キュッキュッ、キュッキュッ……」
・「敵が来た!」=「ギャ!」
・「巣が敵に襲撃された!」=「ザッザッ、ザッザッ……」(女王アリが出す音)
※あくまで研究中のもの

 

写真・繁昌良司

 

(週刊FLASH 2020年9月1日号)

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