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山下達郎も惚れた画力、鈴木英人40年の軌跡

ライフ・マネー 投稿日:2020.09.29 16:00FLASH編集部

山下達郎も惚れた画力、鈴木英人40年の軌跡

鈴木英人

 

【Theme(1)SEA】
 鈴木作品と切っても切れない関係にあるのが海。だが、“作品”として描き始めたのは、アメリカから日本に帰ってきてからだという。

 

「逗子の海を見て、『いいな』と思って描いたのがきっかけです」(鈴木、以下同)

 

 

●『此処より永遠に』(2019)
「国道134号線の逗子の海と、僕の愛車の『ポルシェ356スピードスター』です。この車なら、その場になくても描けます。ポルシェは、一時期12台持っていました」

 

 

●『いつか海に帰る』(2016)
「ハワイのオアフ島。住宅街が岸壁にあって、そこから見下ろした真横に波がきてる風景。サーファーは、こんな大きな波に乗るんです。サーフィン? 僕はしません。見るのが好きです」

 

【Theme(2)Car】

 

 1980年代の作品から、たびたび登場するフォード・シボレーなどの“アメ車”。ポルシェを複数台所有したこともあるだけに、“車好き”が理由と思いきやそうではない。

 

「アメリカの景色の特徴って、車と看板。だから、風景の中にアメ車があることはあるけど、それは風景として描いたんです」

 

 

●『ブリッカーストリート グロッサリー』(2000)
「ニューヨークの文房具屋か食料品店ですね。僕のふだんの色使いとは違うけど、人気があります。『こんなのを描くんだ』と驚かれました」

 

【Theme(3)Signboard】
 作品の代表的なモチーフのひとつが看板。構図に看板を巧みに取り入れ、“街の空気感”を表現している。

 

「看板には、その国の文化があります。規制が厳しいから、ヨーロッパには、あまり看板がない。その点、アメリカは下町へ行くと看板がたくさんある。それが、おしゃれなんですね」

 

 

●『ショア クラブ』(1993)
「フロリダにあるショアクラブ。ほぼ、そのままの風景です。隣にはホテルがあって、いつもここを通って取材に出かけていた、思い出の場所」

 

【Theme(4)Music】
 さまざまなアーティストのLPやCDジャケットへのイラスト提供など、音楽関連の仕事も多かった。とくに雑誌『FM STATION』(1998年休刊)のカバー画は、創刊から7年間、描き続けた。

 

「表紙と一緒に、付録のカセット・インデックスの絵も手がけて、けっこうな量をこなしました。でも僕の技法では、描こうと思ったら、すぐに描けたんですよ」

 

 

●『ミュージックブリーズ』(1986)
「雑誌『FM STATION』の表紙になったもの。音楽に関係するものを描いてくれ、と言われて。ギターは、学生のころに少し弾いていました」

 

 

●『FOR YOU』山下達郎(1982)
 山下達郎の6枚めのアルバム。オリコン1位作品。「英人さんのイラストが好きだった」という山下が依頼した。同作からのシングルカット『LOVELAND, ISLAND』のジャケットも、鈴木が担当した。

 

すずきえいじん
1948年7月6日生まれ 福岡県出身 1971年ごろより広告デザインを手がけ、デザイナー、アートディレクターを経て、1980年にイラストレーターとしてデビュー。『FM STATION』『野性時代』『ポパイ』などの雑誌カバーイラストレーション、大手企業の広告キャンペーン、商品パッケージなどを担当

 

※「鈴木英人の世界展」が、2020年9月30日から10月5日まで大丸福岡天神店にて、10月20日から25日まで仙台三越にて、12月16日から30日までそごう横浜店にて開催。
※本文中一部敬称略

 

(週刊FLASH 2020年9月29日・10月6日号)

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