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低評価だった日本のロールプレイングゲーム、逆襲の一手

ライフ・マネー 投稿日:2020.10.02 16:00FLASH編集部

低評価だった日本のロールプレイングゲーム、逆襲の一手

 

 2010年、コンシューマゲーム業界で、ディベロッパーを営んでいたイメージエポックというゲーム会社が、パブリッシャーとして再出発しようとしていた。

 

 筆者は同社のマーケティング責任者として、パブリッシング事業の立ち上げにおけるプロモーションプランの作成を命じられた。

 

 

 ゲーム業界におけるディベロッパーとは、実際にゲーム開発を業務とする業態である。ディベロッパーのビジネスモデルの多くは請負型で、期間を定め、納品物のマイルストーンを定め、期日までに納品を行う。

 

 一方のパブリッシャーとは、ゲームを企画・販売することを業務とする業態である。任天堂やスクウェア・エニックスなど、一般の方にもよく知られている会社が多い。

 

 当時、日本のRPGは、海外(北米・欧州)のユーザーから、JRPGと呼ばれていた。JRPGとは、Japanese Role-Playing Gameの略称であるが、ここでのJRPGは蔑称である。自由度が低い一本道なシナリオ、低年齢な主人公、ターン制のバトルなど型にハマった古臭いRPGを指す言葉だった。

 

 ゲームメディアの記事や個人ブログなどを通して、海外ユーザーが我が国のRPGを揶揄してJRPGという蔑称を用いていることは、情報感度の高いユーザーを中心に知られていた。

 

 そういったユーザーの論調としては、「外国人には日本のRPGの良さはわからないんだ。外国のRPGなんて作りが粗くて遊べたものじゃない」など反発する意見が多かったように思う。

 

 同時に、外国のRPG(WRPGと呼ばれた)の良さを学び、JRPGも進歩しなければ、といった意見も見られた。いずれにせよ、国内RPGファンや業界人を中心に、忸怩たる思いが渦巻いていたのは間違いない。

 

 当時の筆者は、ここまでの分析結果を基に「この先どうすべきか?」を提案し、実施する立場にあった。

 

 私は、イメージエポック社が、コアなファンだけでなくRPGファンにとって無視できない存在となるために、JRPGの再定義を行う必要があると考えた。当時、蔑称として海外で使われていたJRPGという言葉をブランドの中核に持ってくることで、強い注目(と反発)をもとに、話題を最大化できるのではないか。それが「JRPG宣言」である。

 

「JRPG宣言」で実際に行った施策と、その順番について述べておこう。

 

(1)イベントタイトルの決定
 まず、蔑称だったJRPGをブランドの核に設定し、発表会の名前は「新作発表会 兼 JRPG宣言決起会」とした。単なる新作発表会や新ブランドの説明会にとどまらない、自社のコンセプトを前面に押し出したイベントタイトルにし、業界内での事前の話題性を高めた。

 

(2)メディアの設定
 つぎに、発表会を行うメディアを、ニコニコ生放送に設定した。当時としては、ゲームメディアでの発表を先行させたり、リアルイベントを中心に行うことが常識だった。しかし最大限の拡散と、ユーザー・流通双方に強い期待感を抱いてもらうために、自社が主催するイベント(及び生放送)での情報出しを優先し、ゲームメディアに関しては、後日の記事掲載とした。

 

(3)イベントへの招待(BtoC向け)
 実際にアプローチすべきは、すでに「イメージエポック」に愛着を持ってくれている人々である。彼らは「JRPG宣言」を肯定的にとらえ、情報拡散の発火点になってくれるだろうと考えた。そのため、イベントの開催発表時点で、観覧の希望者を募り、当選者に対しては、招待状を送付した。

 

(4)イベントへの招待(BtoB向け)
「JRPG宣言」が解決すべき課題としては、BtoCとBtoBの2要素があった。そのため、イメージエポックのファン層だけでなく流通関係者も会場に招待した。

 

(5)事前の宣伝
 イメージエポックのファンではないが、RPG好きのユーザーや新作タイトルや業界の動向に敏感な層にも事前にアプローチしておきたい。そこでイベント自体を話題化するための出稿として、ニコニコ動画でJRPGという(当時としては煽りの)キーワードを用いた動画広告を出稿し、当時ニコニコ動画に存在(滞留)していたイノベーティブなゲームユーザーに興味を持ってもらった。

 

 こうして、「新作発表会 兼 JRPG宣言決起会」を開催した。イベント会場ではBtoB向けパフォーマンスをおこない、イベント終了後には社長インタビューで、消費者や業界に向けての発信をおこなった。

 

 こうした順番で、話題の最大化を狙ったのが「JRPG宣言」であった。

 

 2010年11月24日、「JRPG宣言」はニコニコ生放送で放送された。パブリッシャー始めます宣言、でもあったため、流通関係者や既存のイメージエポックファン、メディア関係者、業界関係者などを含めて、600名ほどを招待したと記憶している。

 

 発表会の放送は、当時のニコニコ生放送としては破格の視聴者数を生み出し、ブランドの知名度は一挙に向上した。当時の業界人やゲームファン(特にRPGファン)は記憶に残っているかもしれない。パブリッシャーの実績がない会社ながらも、流通はイメージエポックの製品を仕入れてくれた。「JRPG宣言」は成功したと言っていい。

 

 この内容を非常にざっくりとまとめると、次のようなものだ。

 

「プロモーションを成功させるためには、『誰に』『何を』伝えるのかを整理し、『どのように』伝えるのかコミュニケーションプランを練り、伝える情報の順番に細心の注意を払い、毎回確認しながら施策を組み立てる必要がある」

 

 

 以上、小沼竜太氏の新刊『伝え方は「順番」がすべて 分単位のコミュニケーションが心を動かす』(光文社新書)をもとに再構成しました。『Fate/Grand Order』『ペルソナ』『真・女神転生』など数々の人気ゲームのPRに携わった「ゲームの宣伝屋」が初めて明かす「伝え方」の極意。

 

●『伝え方は「順番」がすべて』詳細はこちら

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