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平成初期の観光地みやげに「著作権意識の変化を見る」と収集家
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2020.10.19 16:00 最終更新日:2020.10.19 16:00
1980年代から1990年代にかけて日本全国の観光地に溢れていた雑貨みやげを、“ファンシー絵みやげ” という。山下メロさんは、2万点近いコレクションを持つ、この道の第一人者だ。
「小学生のころ、修学旅行先にあったみやげ店で普通に買ってたじゃないですか。それが10年前に、フリーマーケットで10円で売られているのに出合い、『今なら若い子にウケて流行るんじゃないか』と、軽い気持ちで買ったんです」
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もともと、1980年代のカルチャーが好きだったという。
「『注目してる人は、たくさんいるだろう』と思って、ネットで調べようとしたら……まず、これらの名称が分からない(笑)。自分で考えていろいろ検索したけど出てこないし、ツイッターでも誰も触れていない。
『誰でも知っていたものが、ネットに何も記録されてないことなんてあるんだ』と思って、ちょっと怖くなったんですよ。これは意識的に集めておかないと、残らない文化になると。集めていると、刻まれた若者の精神性や時代の空気感などがわかってきて、『これは民俗学的な資料になるな』と思いました」
2000年代初頭には、1980年代カルチャーに関する書籍も多く出たが、ファンシー絵みやげを取り上げたものは皆無だった。
「全国で流通していたものは真っ当なんですが、流通範囲が狭いものほど、いい加減なんです。個人で作ってみやげ店に卸していただけのものには、著作権を無視したものもあるんですよ。小ロット生産が多く、希少価値はありますが、金銭的な価値は、ほとんどないです(笑)。
昭和から平成にかけて変化していったコンプライアンス意識やヤンキー文化など、表立って語られてこなかった時代性が感じられるのも、ファンシー絵みやげのおもしろさですね」
やましためろ
平成レトロ研究家。これまでに調査したみやげ店は5000店を超え、“保護” したファンシー絵みやげは1万9000種を超える。著書に『ファンシー絵みやげ大百科 忘れられたバブル時代の観光地みやげ』(イースト・プレス)がある
(週刊FLASH 2020年10月13日号)