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トランプと金正恩がボクシングを…世界の「インチキ玩具」事情

ライフ・マネー 投稿日:2020.10.26 11:00FLASH編集部

トランプと金正恩がボクシングを…世界の「インチキ玩具」事情

 

 海外に行くと、日本のキャラクターを使用しているのに、どことなく “怪しい” おもちゃが売られている。版権を無視した、そんな「インチキおもちゃ」をコレクションしているのが、いんちき番長さんだ。

 

「うさんくさいシチュエーションや外見を持った、C級以下の品物を、『インチキ』ととらえています。どこかで見たようなで見たことがない、でも我々の心を捕まえる “何か” がある……これが僕の考える『インチキ』なおもちゃですね」

 

 

 自宅には、壁一面におもちゃが飾られた書斎と、さまざまな国の言語が書かれた箱が天井までうずたかく積み重ねられた部屋が3つ。まさに、コレクターの要塞である。

 

「コレクション歴は約30年。中学のころ『トランスフォーマー』にハマったんですが、その後、香港で『トランスフォーマー』っぽいけど違う、謎の商品を見つけたんです。見たことないものを発見し、一気に引きずり込まれました」

 

 最近は、コロナ禍で海外に買いに行けないのが悩みだという。

 

「現地の友達が送るって言ってくれるんですが、現物を現地で発見したときの喜びには変えられないと思います。個人的に注目してるのは、ヨーロッパの古いインチキおもちゃです。

 

 イタリアやフランスで、『UFOロボ グレンダイザー』が超高視聴率だったのは有名ですが、日本のアニメがよく放送されていました。当時は版権を取って放映していたんで、正規品の『超合金(動くロボットフィギュア)』が売られていたんですが、向こうは何度も、再放送を繰り返すんです。

 

 そのうちに版権が切れて正規品が販売できなくなる、でも需要はあるから、勝手にいろんなロボットを混ぜて偽物を作って売り始める。顔は『鋼鉄ジーグ』だけど、体は『グロイザーX』とかね(笑)。あとは、『未来ロボ ダルタニアス』と『バトルフィーバーJ』のロボットが混ざってて、一緒に『電子戦隊デンジマン』の戦艦がついてくるとか……フリーダムなんです。

 

 それらはだいたい、2万円から3万円で買えます。基本ニセモノですから、コレクション価値はないに等しいんですが、古いものはマニアがいますんで、高く売れることもあります」

 

 世界的なコンプライアンス重視傾向により、インチキおもちゃは減ってきているというが……。

 

「やっぱり多いのは、中国製。中国では、ウルトラマンの色を塗り替えてスパイダーマンにしちゃったり、おもちゃの宇宙服を青と白に塗り直して “ドラえもんふう” にしたりと、ヤバいものは、まだまだたくさんありますよ(笑)。今は変形がブームで、変形・合体系じゃないと売れないようです。

 

 面白かったのは、ドナルド・トランプと金正恩が殴り合う、ボクシングのおもちゃ。前に行ったときはあったのに、店の人に聞いても『知らない』って、なかったことにされてる(笑)。インチキおもちゃからは、玩具業界のトレンドの潮流に加えて、世界情勢まで見えてくるんです」

 

いんちきばんちょう
いんちき玩具研究家。アジアおもちゃコレクターユニット「アジアン玩具ジェネレーション」としてトークイベントを開催するなど活躍中。著書に『新版いんちきおもちゃ大図鑑』『同 第2集』『同 第3集』(パブリブ)、『ダガング』(アスペクト)など多数

 

(週刊FLASH 2020年10月13日号)

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