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【食堂のおばちゃんの人生相談】46歳・公務員のお悩み
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2020.11.02 11:00 最終更新日:2020.11.02 11:00
「食堂のおばちゃん」として働きながら執筆活動をし、小説『月下上海』で松本清張賞を受賞した作家・山口恵以子。テレビでも活躍する山口先生が、世の迷える男性たちのお悩みに答える!
【お悩み/匿名希望(46)公務員】
お小遣いの範囲内で、こっそり風俗通いしていたが、昨年末にお気に入りの女のコが出来てしまった。店に行く回数が増え、借金までして、シングルマザーの彼女に貢いでいる。妻と娘がいるし、このままではいけないとわかっているのだが、どうにも止まらない。山口先生、私を叱ってください。
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【山口先生のお答え】
つまり、あなたは彼女の虜になっちゃったわけですね。私がお酒に溺れているのと同じようなもんでしょうか。そして、ご自身でもいけないとわかっているのにどうしようもない。
私も缶酎ハイ2本で止めなきゃいけないとわかっていても、ついついコンビニに走って酒を買い込んでしまうこともあるので、あなたの気持ちは痛いほどわかりますよ。こうなるといくら他人に非難されたって、止められないんですよね。ひどい目に遭って、泣く泣く諦めるしかないんです。
それに、風俗の女性に入れあげるのは日本文化の伝統かもしれません。源義経は白拍子の静御前の虜になったし、近松門左衛門の「曾根崎心中」「心中天網島」は切羽詰まって遊女と心中する話、落語には「品川心中」もありますね。
客も遊女も「あくまで商取引であって恋愛ではない」と割り切っているはずなのに、江戸時代、吉原もその他の岡場所も、心中事件は後を絶たなかったそうです。
日本人というのは男も女も何と純粋で美しい心を持っているのかと、私はそっちに感動してしまいます。娼婦と心中する男が物語になるほどいっぱい現れた国は、他にはないんじゃないでしょうか。とは言え、あなたには奥さんと小学生の娘さんがいるそうなので、やはり現状はまずいですね。
私はスポーツジムに通い始めてから、少し深酒が減りました。午前中ジムに行くために、早起きと早寝を無理矢理しているからです。だから、あなたにも彼女の代りになる存在が必要だと思います。
やまぐちえいこ
1958年、東京都生まれ。早稲田大学文学部卒。就職した宝飾会社が倒産し、派遣の仕事をしながら松竹シナリオ研究所基礎科修了。丸の内新聞事業協同組合(東京都千代田区)の社員食堂に12年間勤務し、2014年に退職。2013年6月に『月下上海』が松本清張賞を受賞。『食堂メッシタ』『食堂のおばちゃん』シリーズ、そして最新刊『夜の塩』(徳間書店)が発売中