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出口治明氏が実現!ライフネット生命の「副業応援体制」30代社員3人の働き方は?
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2020.12.02 11:00 最終更新日:2020.12.02 11:00
「働き方改革の旗手」として、ビジネス界の注目を集めているライフネット生命。夢のような条件がそろう職場だが、同社の働き方改革を推し進めてきたのが、創業者の出口治明氏(72)だ。
「日本企業を弱体化させた最大の問題点は、長時間労働です。人は楽しいほど頑張れるのに、トップが『24時間、仕事のことを考えろ』なんていってたら、煮詰まって新しいアイデアなんて生まれませんよ。
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そこでライフネット生命では、仕事を『無くす、減らす、代用する』ことで長時間労働を減らしてきました。
『副業』もOKです。むしろ副業によって、本業以外の勉強ができるし、それによって新しい発想も生まれます。ゴールドマン・サックスのトップであるデイビッド・ソロモン氏は、経営者だけでなくDJとしての顔も持っています。これこそ『副業が役に立つ』という、なによりの証拠でしょう」
本来なら「本業に差しさわりが出る」などと、いい顔をされない副業だが、同社では副業を認めるどころか「複業」と呼んで応援の立場を取っている。そのため、社員約160人のうちの1割が、なんらかの「複業」の申請をしているという。経営企画部の花谷航太郎さん(30)も、そのひとりだ。
「健康になるための知識や、たんぱく質への正しい理解を深める啓蒙活動をおこなう、『一般社団法人 日本プロテイン協会』という団体に携わっています。ここは『プロテインマイスター』という資格の認定制度を主催している団体で、私はそこで、運営の全般的なサポートをしています。
マイスターの資格は2019年に立ち上げたばかりで、試験を受けてくれる人をいかに増やすか、プロモーションを考えたり、ウェブサイトの改善案を作成したり、お客様への対応などもしています」
生命保険業界とは、まったく畑違いの業界だ。だが花谷さんは、だからこそ意味があるという。
「当社のコンセプトは、『翼は2つあるから、高く飛べる』です。保険業界の中だけにいると、業界の常識にとらわれてしまって、斬新なアイデアも出にくくなってしまいます。
そこで、『もっと自分の仕事の幅を広げたい』と思ったんです。一回、ほかの業界で経験を積んでみることで、新しい発想を取り入れられるんじゃないか、と」(花谷さん、以下同)
本業では、広報を担当。実際に「二足のわらじ」を経験して得たものは?
「生命保険は、『人生で2番めに高い買い物』と言われることもあります。それに比べ、プロテインという分野は、まったくの別物です。
それでも、プロモーションの方法などは、保険の世界にも生かせるんじゃないかと思っています。たとえばプロテインのPRにはSNSの媒体を積極的に活用していますが、生命保険でもそういう媒体の活用方法としてこんな工夫ができそうとか、いろいろ考えるのが楽しいんです」
本業と副業が重なると忙しそうだが、「副業は1日1時間」と、自分の中でルールを決めているという。
「副業は、在宅での作業が中心です。家に帰って、子供を寝かしつけてからの1時間だけをあてています。副業によって本業に影響が出てしまっては元も子もないので、時間の上限を決めているんです。
そのため、副業の目的は収入ではありませんし、そんなに大きいものではありません。僕にとって “複業” のメリットはむしろ、違った業界で経験を積む、ということのほうが大きかったですね」
「人事総務部長代行」として、ライフネット生命では「働き方改革」を推進しながら、自身も副業に励んでいるのが、篠原広高さん(36)だ。新卒で採用支援の会社に就職した篠原さんは、そこで得た知識を生かして独立。人事や就職に関する仕事をしていたなかで、自身の転職を考えるようになった。
「新宿で、就活中の学生の相談に乗る『就活カフェ』を運営していたことがあったんです。就職した元学生が休日にやってきてくれたんですが、そのなかで、仕事の話をポジティブに話す人は2割程度。6割は『会社ってこんなものでしょ』と冷めた感じになっていて、残りの2割は『本当に厳しいです』と。
そして、就職から1年たつと『休職中』『離職した』という人も少なくありませんでした。何に困ったのかと聞くと、多くの人が『上司との相性』と答えたんです。
就活支援では、組織で働く人に直接、関与はできません。そこで、『みずから企業の人事になって、中から働く人のための仕事をしたい』と思ったんです」
しかし、そのとき篠原さんは、大学でキャリア教育の講師も担当していた。年間の授業計画がすでに決まっているため、転職先には、大学での仕事も認めてくれることを希望していた。
「この会社が『副業大賛成』というスタンスだったことが、入社を後押ししました。大学の講師の仕事について相談したら、『まったく問題ない、相乗効果もあるからむしろ続けてほしい』という返事をもらったんです。
大学での仕事は、今も続けています。もっとも、今はオンラインで、キャンパスには行けていないですけどね」(篠原さん)
働く人たちが、自分らしく働けるサポートをしたい――。篠原さんは、奮闘している。