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【食堂のおばちゃんの人生相談】41歳・会社員のお悩み

ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2020.12.18 11:00 最終更新日:2020.12.30 10:19

「食堂のおばちゃん」として働きながら執筆活動をし、小説『月下上海』で松本清張賞を受賞した作家・山口恵以子。テレビでも活躍する山口先生が、世の迷える男性たちのお悩みに答える!

 

【お悩み/匿名希望(41)会社員】

 行きつけのスナックの女のコ(20代後半)と、いい仲になって1年ほど。最近は、「奥さんと離婚してくれないと、2人の仲をバラす」と迫られている。妻とは6年前にも、私の浮気が原因で離婚寸前までいったので、今度バレたら決定的だ。家のローンも2000万円残っているし(以下略)。助けてください!

 

 

【山口先生のお答え】

 出た! 史上最強のお悩み! ついに来ましたか。いつか来るんじゃないかと思ってましたよ。

 

 とにかく、あなたも含めた読者の皆さんに申し上げたいのは、浮気するなとは言いませんから、相手はお金で片の付く人にしなさい、ということです。脅かすわけじゃないですが、お金で片が付かないと命のやりとりになるんですよ。

 

 あなたの生まれる前に「大場助教授事件」という悲劇があって、立教大学の助教授が教え子と不倫関係になり、「奥さんと離婚して私と結婚して!」と迫られ、思いあまって教え子を殺し、奥さんと子供を道連れに一家心中した事件です。

 

 私の親の知人の小学校教師は同僚の女性教師と不倫関係になり「結婚してくれなくてもいいわ。その代わり、家族を捨てて私と一緒に暮らして。もしいやだと言ったら、あなたの子供を殺して私も死ぬわ」と迫られ、奥さんの方が恐怖のあまり子供を連れて逃げてしまい、泣く泣くその女性と同棲した......ということです。

 

 あなたは6年前にも浮気がバレて離婚騒動に発展していながら、性懲りもなく今回もスナックの女のコと深間にはまったくらいなので、将来もまた浮気するでしょう。その時は気を付けて相手を選んでくださいね。

 

 とにかくこの修羅場を回避するにはどうしたら良いかというと、先人の知恵を借りるのが一番です。江戸時代、妾が支度金詐取に使った手口「ションベン組」。

 

 同じ女性としてお相手の女性の気持ちを推し量ると、彼女の心に渦巻いているのは愛ではなく、奥さんへの嫉妬と対抗意識、あなたに対する「ないがしろにされた」という恨み辛み、のように思います。それなら話は簡単で、彼女に愛想を尽かしてもらえば良いのです。

 

 どうするか? まずは寝小便をしてください。そして「ど、どうしてこんな粗相を......」と大袈裟に狼狽してください。次は寝グソです。その合間合間に、効果的に「物忘れ」を挟んでください。

 

 この3つをしつこく繰り返した後で「実は病院に行ったら若年性認知症の疑いが濃厚だと言われた」と告白し、大袈裟に泣きましょう。 この時点で彼女は完全にあなたに愛想を尽かし、別れる算段を始めるはずです。

 

 彼女が望んでいるのは「腹いせ」なので、奥さんを追い出してあなたの妻の座に座れば満足でしょうが、若年性認知症を患った十数歳も年上の、2000万円もローンを抱えた中年男のシモの世話をして女盛りを過ごすなんて、まっぴらだと思いますよ。

 

 そして、おそらく彼女も心の中では分かっているのです。あなたと略奪婚したところで、満足できるのはホンの2、3年で、その後は後悔するに違いない、と。自分ならもっと若くて条件の良い相手と結婚出来たはずなのに、と。私はあなたのためでなく、彼女のために別れていただきたいです。

 


やまぐちえいこ
1958年、東京都生まれ。早稲田大学文学部卒。就職した宝飾会社が倒産し、派遣の仕事をしながら松竹シナリオ研究所基礎科修了。丸の内新聞事業協同組合(東京都千代田区)の社員食堂に12年間勤務し、2014年に退職。2013年6月に『月下上海』が松本清張賞を受賞。『食堂メッシタ』『食堂のおばちゃん』シリーズ、そして最新刊『夜の塩』(徳間書店)が発売中

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