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【食堂のおばちゃんの人生相談】46歳・公務員のお悩み

ライフ・マネー 投稿日:2021.01.04 11:00FLASH編集部

「食堂のおばちゃん」として働きながら執筆活動をし、小説『月下上海』で松本清張賞を受賞した作家・山口恵以子。テレビでも活躍する山口先生が、世の迷える男性たちのお悩みに答える!

 

【お悩み/匿名希望(46)公務員】
 風俗通いがバレて、家庭内別居状態に。妻と娘から1年近くまともに口を利いてもらえない。身から出た錆とはいえ、今年こそはなんとか関係を改善したい。何卒ご指導お願いします!

 

 

【山口先生のお答え】
 あなたの風俗通いがどの程度のものか分からないのでお返事に困るのですが、とりあえず「小遣いの範囲内・家計を圧迫していない」という前提でお答えします。

 

 まず、私としてはあなたにご同情申し上げます。奥さんも風俗通いくらい大目に見てあげればいいのに……と思ってしまいます。これは私の父親が “母と結婚する前に愛人が3人いた” からでもありますが、浮気の中でも風俗通いは夫婦関係に与える被害が一番少ないと思うからです。

 

 奥さんにすれば「浮気は全部悪い。許せない!」でしょう。でも、人間は複雑な生き物で「愛があれば一生涯妻以外の女性とセックスしない」とはならないのです。

 

 愛情と性欲は必ずしもイコールではありません。むしろ、相手に対する愛が深まることによって性欲が減退してしまう現象さえ起こるのです。「オスとメス」から「家族」へ移行していくと言い換えても結構です。

 

 人間の恋愛感情は4年で終了するように遺伝子に組み込まれているそうです。4年経つと子供が乳離れして次の子供を産み育てられるため、別の異性と交尾出来るよう、前の相手への恋慕は消滅するわけです。

 

 にもかかわらず共白髪まで結婚生活を継続する夫婦が多いのは、ひとえにオスとメスから家族へと関係が移行し、子育て・家のローン・老後の計画などで、互いに協力出来るからです。

 

 そして、妻に対する性欲が家族愛に変質した後も、性欲そのものは残ります。無理して妻と続けるのは一種の義務ですが、それ以外にオスとして欲望を発散したくなるのも無理からぬことです。つまり、妻以外の女性にメス性を求めたくなるわけです。

 

 その場合、一番奥さんに被害の少ない女性が所謂風俗嬢です。何故ならお金だけが介在して愛情が介在しないからです。金を払ってセックスを買うのであって、愛を買っているのではありません。

 

 ついでに言えば金で買えるのは形のあるもの、つまりセックスや媚びへつらいだけで、形のない愛情や信頼というものは、金では買えません。だから尊いのです。

 

 私は奥さんに言いたいです。認めたくはないでしょうが、ご主人にもオスに戻る瞬間があることを理解してあげて下さい。アメリカのジョークに「結婚している男の八割は浮気をしている。後の二割は嘘を吐いている」があります。こんなもんだと思いますよ。

 

 もし奥さんが「不倫ならともかく、風俗通いが許せない」と思っておいでなら、大きな間違いです。社内のOLやパートの人妻と浮気なんかして、もし恋愛に発展して、家庭を捨てて彼女と結婚したいと言い出したらどうします?

 

 ご主人が潮時だから別れたいと思っても、相手が承知しなかったら揉めますよ。人妻なら夫が出て来て、下手をすれば大惨事に……。

 

 ご相談者さんは、このコラムを奥さんに読んでもらって、その上で真摯に謝罪して下さい。そして奥さん、許してあげて下さい。でも、浮気は奥さんに内緒でするのが礼儀です。一番反省すべきは、バレちゃったことです。

 

やまぐちえいこ
1958年、東京都生まれ。早稲田大学文学部卒。就職した宝飾会社が倒産し、派遣の仕事をしながら松竹シナリオ研究所基礎科修了。丸の内新聞事業協同組合(東京都千代田区)の社員食堂に12年間勤務し、2014年に退職。2013年6月に『月下上海』が松本清張賞を受賞。『食堂メッシタ』『食堂のおばちゃん』シリーズ、そして最新刊『夜の塩』(徳間書店)が発売中

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