「仕事で多忙な毎日が続いている」「慣れないテレワークでストレスが多い」「次の仕事が見つからない」など、「このたいへんな状況がいつまで続くの?」という不安やストレスで押しつぶされそうになっている、「抜けないトンネル」を歩いている人は多いと思います。「コロナ禍」でストレスを抱えながら生活している私たち、全員がそうかもしれません。
一見すると、「どうにもならない状況」に思えますが、対処法はあります。そのトンネルがどこまで続いているのか? 出口はどこにあるのか? いつになったら抜けられるのか? 今、直面している問題の、「期限」「終わる時期」「終わる(改善、軽減する)見込み」と、その根拠などを調べていくのです。
たとえば、コロナでいえば、米国ではすでにコロナワクチン接種が開始され、日本でも2021年の2月ごろから接種が始まる予定です。またファイザー社を皮切りに、複数の会社のワクチンも実用化されています。人口の40〜80%に集団免疫が得られると、パンデミックは終了します。
出口はどこにあるのか? つまり、直面している問題の解決、収束、軽減につながる「よい情報」「ポジティブな情報」をより多く集めることで、「抜けないトンネル」の出口が見えてくるのです。実際にトンネルを抜けるのは先であったとしても、今すぐに「不安」や「ストレス」は消失し、「安心」を得られるのです。
しかし、多くの人は、その逆をやっています。人は不安になったり心配になったりすると、ネガティブ思考が強まり、よけいに「ネガティブな情報」を積極的に集めてしまうのです。
たとえば、ワクチンの安全性が十分に確認されていないのに接種して本当に大丈夫なのか? コロナウイルスに突然変異が起きればワクチンが効かなくなるのでは? 東京オリンピック開催でコロナが参加国から持ち込まれ、コントロールが利かなくなるのではないか?
このような「ネガティブな情報」を集めていけばキリがないし、不安はどこまでもエスカレートしていきます。多くの日本人が、今、その状態に陥っているのかもしれません。
不安だらけ、ストレスだらけの生活をするのか、安心で冷静なストレスフリーの生活をするのかは、その人が集める「情報」の内容・質によって左右されるのです。
どれだけポジティブ思考の人であっても、「ネガティブな情報」しか入ってこなければ、不安やストレスは必然的に強まります。それが長期化すると、メンタルもやられる。うつ病も増えるし、自殺の可能性も高まります。
「抜けないトンネル理論」で、もうひとつ重要なポイントがあります。それは、「苦しい、つらい、どうしようもない」とストレスがピークに達している瞬間。後から振り返ってみると、それは「トンネルを抜ける直前」である可能性が高いのです。
トンネルの真ん中あたりを歩いているときに、「つらい、苦しい」がピークに達することは、あまりないでしょう。ですから、あなたが今「つらい」「苦しい」「もうダメ」と思っているとしたら、それは「トンネルを抜ける」「出口はもうすぐ」という徴候なのです。登山でも、頂上に到達する直前がいちばんつらい。それと同じです。
なので、あなたが今、「つらい」「苦しい」「もうダメ」と思っていても、あきらめないでほしいのです。それは、「絶望」の徴候ではなく、「ゴールはもうすぐ」という徴候なのです。「つらい」「苦しい」と思っている「今」こそ正念場。ココさえ踏ん張れば、トンネルを必ず抜けることができます。
抜けないトンネルは、ない。ただし、歩き続けることが前提です。あなたの不安とストレスを取り除く、読むだけで元気になれる「ポジティブな情報」を、次回からもドンドン発信していきます。お楽しみに。
かばさわしおん
樺沢心理学研究所代表。1965年、北海道札幌市生まれ。札幌医科大学医学部卒。YouTubeチャンネル「樺沢紫苑の樺チャンネル」やメルマガで、累計50万人以上に精神医学や心理学、脳科学の知識・情報をわかりやすく伝える、「日本一アウトプットする精神科医」として活動
イラスト・浜本ひろし
(週刊FLASH 2021年1月19日・26日合併号)