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【食堂のおばちゃんの人生相談】50歳・公務員のお悩み

ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2021.01.29 11:00 最終更新日:2021.01.29 11:00

食堂のおばちゃん」として働きながら執筆活動をし、小説『月下上海』で松本清張賞を受賞した作家・山口恵以子。テレビでも活躍する山口先生が、世の迷える男性たちのお悩みに答える!

 

【お悩み/匿名希望(50)公務員】

 下半身ネタで恐縮ですが、妻との営み(月1回ペース)に醒めて、最後までイケなくなることが増えました。妻一筋で来たのに、50代になった途端、このありさま。浮気できるお金もありません。今後の性生活を、どうしましょう?

 

 

【山口先生のお答え】

 う〜む。深刻な問題ですね。私はあなたのお悩みを伺った時、昔テレビで観た「ダメオヤジ特集」の優秀賞を思い出しました。

 

 お母さんが子供たちを連れて外出し、お父さんと子犬が留守番でした。みんなが外出から帰ると二階からお父さんの悲鳴が……! びっくりして2階に駆け上がると、お父さんが裸で乳首から血を流して倒れていました。乳首に蜂蜜を塗って子犬に舐めさせているうちに、勢い余って噛みつかれてしまったのです。

 

 確かにバカですが、私はこのお父さんの気持ちが痛いほど分かりました。きっと映画『ナインハーフ』を観て、蜂蜜プレイをやってみたくなったのでしょう。でもお母さんにそんなことは頼めないので、子犬に頼んだに違いありません。だって翌朝子供たちと一緒に朝ご飯を食べなくてはならない相手に、どのツラ下げてそんな恥ずかしい真似が出来ますか?

 

 これは一見ダメオヤジのおバカな行動のように見えて、実は愛と性、親愛と欲情の難しい関係を端的に表している事例なのです。早い話が、人間は愛があれば必ずセックスしたくなるってわけじゃありません。愛情が性欲の邪魔をすることだってあります。

 

 それは性欲が想像力で喚起されるからです。何度もやっちゃった美人より初めて会ったブスに欲情したりするのは、慣れ親しんだ行為より未知との遭遇に新鮮さを感じ、想像力を刺激されるからです。

 

 私はあなたは偉いと思いますよ。奥さん一筋でいらしたということは、つまり数え切れないほどやってきたわけです。

 

 もうお互い知らないことは何もないでしょう。想像力が働く余地もないでしょう。それで欲情しろっていうのは、ウナギの焼ける匂いをお菜に丼飯を食べるようなもので、食べ盛りならともかく、大人は無理ですよ。

 

 でも、それは愛情がなくなったわけではありません。愛情が深まったからこそ、初めて会った頃のように「すべてをかなぐり捨てて2匹のオスとメスになって組んずほぐれつ……」なんか出来なくなったのです。これは自然で、むしろ慶賀すべき事だと思います。

 

 これも実話ですが、子供のいる共働きの夫婦で、ご主人が性同一性障害に気付いて女性に戻りました。でも一家はそのまま円満に暮らしています。お二人は「男と女ではなくなったけれど、お互い人生のパートナーであり、子供たちの親であることは変わらない」という考えで一致していました。

 

 だから私はあなたは奥さんに正直にお話しになったらよろしいと思います。愛は深まったが精力は弱まった、と。あなたが誠意を持ってお話しになれば、奥さんも納得してくれると思います。そして、あとは奥さんのようなご主人に欲情されなくなった女性を見つけて浮気しましょう。奥さんにも浮気を認めてください。

 

 一人で夫・父・恋人と、何役もこなすのは無理があります。人生の後半からは分業体制に切り換えても良いんじゃないでしょうか。

 

やまぐちえいこ
1958年、東京都生まれ。早稲田大学文学部卒。就職した宝飾会社が倒産し、派遣の仕事をしながら松竹シナリオ研究所基礎科修了。丸の内新聞事業協同組合(東京都千代田区)の社員食堂に12年間勤務し、2014年に退職。2013年6月に『月下上海』が松本清張賞を受賞。『食堂メッシタ』『食堂のおばちゃん』シリーズ、そして最新刊『夜の塩』(徳間書店)が発売中

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