精神科医・樺沢紫苑の「読む！エナジードリンク」ストレスフリーな“自粛生活術”5

（3）工夫して交流する

　緊急事態宣言が発令されて、会社員はテレワークになり、ほとんど出社しなくなった。学生はオンライン授業になって、友達との飲み会がなくなった。高齢者は感染が怖いので、孫とも会えなくなった……。私たちの「交流」は、コロナ前と比べて激減しています。そして、緊急事態宣言によって、さらに減ったはずです。

　人間は、人との交流によって癒やされる。「孤独」は、うつや認知症のリスクを著しく高めます。たわいのない雑談が、ガス抜きになっているのです。

　家族がいる人は、この機会に夫婦間、親子間などで、家族のコミュニケーションを深める絶好のチャンスです。また「友人に会えない」と嘆く人も、今の時代はSNSもありますし、「オンライン飲み会」もできます。

　私もオンライン飲み会をときどき開催していますが、実際とても楽しく、ストレス発散効果がおおいに期待できます。孫や子供に会えないという人も、スマホのLINEで文字をやり取りするだけではなく、テレビ電話の機能やZoomで交流すれば、表情も見られるし、会話もできる。癒やし効果は、大きく高まるでしょう。

　人と連絡を取り合う。些細なことを気楽に相談する。そんな「コミュニケーションによる癒やし」を、うまく取り入れてみてください。

（4）思いっきり遊ぶ

　コロナ禍においては、大勢で集まることに自粛が求められます。しかし、ひとりで「楽しむ」「遊ぶ」ことが禁止されたわけではありません。戦々恐々とした雰囲気にのまれ、「楽しむ」「遊ぶ」ことも自粛しなくてはいけない、と勘違いしている人が多いのです。

　でも、緊急事態宣言下のストレスが多い状態ですから、むしろふだん以上に「遊ぶ」べきなのです。

　テレワークになって通勤の必要がなくなり、夜8時以降の外出も減って、多くの人は自由な時間が増えているはずです。買ったまま「積ん読」になっていた本を読む。今まで観られなかったアニメを観る。遊び方はいろいろとあると思いますが、外で遊べなければ、家で遊べばいいのです。

　私はというと、アニメを観まくっています。樺沢のおすすめアニメは、『鬼滅の刃』は当然として、『ゴールデンカムイ』『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』『銀河英雄伝説』。最近観た『呪術廻戦』もおもしろかった。

　私は、今まで映画はかなり観ていましたが、アニメシリーズまでは手がまわりませんでした。アニメって、こんなにおもしろいのですね（笑）。

（5）「自己投資」に時間を使う

　緊急事態宣言は、私たちから「自由な移動」を奪いましたが、代わりに「自由な時間」を増やしてくれました。この「自由な時間」を何に使うのか？　「遊び」に使って気分転換、ストレス発散をするもよし。読書や資格試験、語学の勉強など「自己投資」に使うという手もあります。

　コロナ禍の時間の使い方が、「コロナ明け」後のあなたの人生を左右すると言っても過言ではありません。自由な時間を「学び」や「自己投資」に使うのは、とてもよいことです。

　ストレスには、対抗する・戦う・我慢するのではなく、するっと受け流すのがコツです。私のストレス対処法については、『精神科医が教えるストレスフリー超大全』（ダイヤモンド社）で詳しく解説していますので、こちらも参考にしてください。

かばさわしおん

樺沢心理学研究所代表。1965年、北海道札幌市生まれ。札幌医科大学医学部卒。YouTubeチャンネル「樺沢紫苑の樺チャンネル」やメルマガで、累計50万人以上に精神医学や心理学、脳科学の知識・情報をわかりやすく伝える、「日本一アウトプットする精神科医」として活動

イラスト・浜本ひろし

（週刊FLASH　2021年2月9日号）