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精神科医・樺沢紫苑の「読む!エナジードリンク」お酒に飲まれない5つの方法
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2021.02.15 06:00 最終更新日:2021.02.15 06:00
10都府県で緊急事態宣言が1カ月延長されたことにともない、さらにストレスをため込んでいる人も多いのではないでしょうか。
そこで、精神科医として、皆さんに注意していただきたいことがあります。それは、「お酒」の問題です。
現在の緊急事態宣言下では、19時で酒類の提供を中止し、20時で閉店する飲食店がほとんど。そのため、家でお酒を飲む人が増えているはずです。私もその一人です(笑)。
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新型コロナウイルスへの感染を避けて、家でお酒を飲むのはよいことです。しかも、家で飲むと外で飲むよりはるかに安いし、電車に乗って帰る必要もない。
ただそれだけに、ついつい飲酒量が増えがちに。飲みすぎてしまう危険性も高いのです。
最近、酒浸りになっている人も、少なくないかもしれません。「お酒はストレス発散になる」と、ほとんどの人が思っていると想像しますが、じつはお酒はストレス発散にならないのです!
多くの人が「間違ったお酒の常識」に基づいて、間違った飲酒をしている。結果として、ストレスをさらに増やし、メンタルを悪化させているのです。
今回は、世間での「お酒の常識」がじつは間違いであること、そして、コロナ禍でのお酒との正しいつき合い方についてお伝えします。
●「少量の飲酒は健康にいい」はウソ!
「少量の飲酒は健康にいい」という話を聞いたことがありませんか? ネットでは、「お酒をまったく飲まない人よりも、少量の飲酒をする人のほうが病気のリスクが低い」「長生きできる」と解説しているサイトもあります。
心筋梗塞や脳梗塞など、いくつかの疾患に関しては、「少量飲酒者の発症リスクが低い」という傾向があり、それを飲酒量と発症率の関係を表わすグラフの形から「Jカーブ」と呼んでいます。
しかし、高血圧やガンなど多くの病気では、飲酒量が増えるほど病気の発症率は上がっていきます。つまり、すべての病気で合計した数字で見ると、お酒を飲めば飲むほど病気の発症率や死亡率は高くなっていくのです。
「少量の飲酒は健康にいい」というのは、ひと昔前の誤った常識。現在では、「お酒を飲まないのが最も健康にいい。お酒を飲めば飲むほど健康に悪い」と考えられています。
●お酒は睡眠の大敵
「お酒を飲むとよく眠れる」という人は多いと思います。あるいは、「寝る前に一杯飲んでから」という人もいますが、これまた大きな間違いです。
たしかに、お酒を飲むと寝つくまでの時間は若干短縮されますが、アルコールの薬理作用によって睡眠の後半部分とレム睡眠が抑制されるのです。つまり、途中覚醒、早朝覚醒が起きやすく、トータルの睡眠時間は短くなるのです。
アルコールは睡眠によいどころか、睡眠障害の最大の原因と言ってもいいでしょう。
●「お酒はストレス発散になる」はウソ!
先ほども述べましたが、「お酒はストレス発散になる」は、間違いです。
お酒を飲むとストレスホルモンであるコルチゾールの分泌量が増えます。また、長期で飲むとストレス耐性が下がり、「抑うつ」のリスクも高まります。「うつ気味」の人が毎日お酒を飲むと、「うつ病」のリスクが大きく高まるのです。
ストレスを発散する最高の方法は、ぐっすり眠ることです。前述したように、お酒は睡眠の質を悪化させます。ですから、ストレス発散にならないどころか、メンタルに悪影響を与えて、メンタル疾患のリスクを高めます。
「最近、気分が落ち込むから、お酒でパーッと明るくなろう!」というのも間違った常識。ストレスがたまって気分が落ち込む「うつ的な人」ほど、お酒でストレスを発散すべきではないのです! さっさと寝るのが一番です。