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森永卓郎が巻き込まれた「相続地獄」口座は不明、戸籍は焼失、迫るリミット
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2021.02.16 11:00 最終更新日:2021.02.16 11:05
森永卓郎氏(63)が父親を亡くしたのは、2011年3月、東日本大震災直後のことだった。それからの10カ月間、「相続地獄」を体験したのだという。
「私が地獄を見たのは、死んだ親父の財産について、なんの情報も持っていなかったから。理由はこれに尽きます。
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父は元新聞記者で大学の教授もやっていましたが、もともとは特攻隊員の生き残りです。
自分で靴下もはかないような人間でしたから、2000年に母が急死してからは、誰かが面倒を見なくてはいけない。それで、所沢の私の家に引き取ることになったわけです」
2006年に父親が脳出血で倒れてからは、在宅介護。家族にはかなりの負担がかかった。
「私は仕事が忙しく、介護は妻にまかせっきりでした。とはいえ、『要介護4』の高齢者を自宅で介護するなんて、本当は不可能。父は体は半身不随で自力では何もできません。そのくせ、することなすことに文句をつける。
あるとき妻から『もう離婚するしかない』というメールが来るほど、追い詰められていました」
1年余りの在宅介護ののち、父親は介護施設へ入所するが、その費用は高額だった。
「親父は最初、都内の施設を希望しました。費用は月額40万円。それも高いですが、驚いたのは別途支払う入居金です。なんと1億円。冗談じゃねえと。
それで、所沢の自宅近くの施設にしたんですが、それでも月額30万円。さらに、インターネットや新聞代で10万円以上がかさみ、親父に月々40万円以上かかる。
その費用は当初、親父の銀行口座から引き落としていたんですが、やがて底をつきました」
そうなると、森永氏が肩代わりすることに。
「親父に『ほかに預金ないの?』と聞くと『ある』と。ただし、それがどこの銀行にいくらぐらいあるのか、何を聞いても答えは『わからねえな』。
結局、『お前は稼いでるんだから、とりあえず払っとけ』と。確かに当時の私は1年365日、睡眠時間を削ってフルに働いていて、収入もけっこうあったので、まあいいかと思ったんです。
母が亡くなったあと、面倒を見て、在宅介護もして、施設の費用も払いました。いくらお金を使わされたのか、記録を取っておかなかったのは致命的でした。妻がやってくれた介護の人件費なども含めると、数千万円になったでしょうね」