(3)自ら進んで「家事・育児」を
これを読んでいるあなたが既婚男性で、奥さんが専業主婦という場合、日中の自宅は、まぎれもない「妻の領域」です。
あなたの家ではありますが、その時間に限っていうと、じつはあなたのものではない。
そういう空間にあなたがいると、掃除の邪魔になったり、ゴミを増やすことになったりして、奥さんをイラつかせている可能性があるわけです。
さらにそんななかで、あなたが「家事をしない・手伝わない」では、奥さんの怒りは頂点に達するでしょう。
それを避けるには、自ら積極的に家事を引き受けて、奥さんの負担が軽くなるように配慮をする。
といっても、特別なことをするのではなく、仕事が一段落したら食器を洗う、ゴミを片づける、子供の面倒を見るといった、当たり前のことです。
そんな当たり前の「配慮」や「気遣い」のあるなしによって、コロナ禍の夫婦のコミュニケーションはまったく違ったものになるのです。
コロナ禍を「ピンチ」ではなく、家事や育児に対する意識を変える絶好の「チャンス」ととらえてみるのはいかがでしょうか?
(4)外食ランチ&カフェ仕事
家事の話の続きです。
既婚男性であるあなたが自宅でリモートワークをするとき、あなたが食べるお昼ご飯の準備をし、後片づけをするのは誰ですか? あなたがやらないとしたら、奥さんではないでしょうか。
つまり、あなたが家でご飯を食べると、そのぶん、あなたは奥さんの家事を増やしていることになるのです。
奥さんはそれを不満の言葉として外に表わしたりはしないかもしれませんが、だからこそストレスとして内部にどんどんたまっていくのです。
私の家では、私がときどき13時を過ぎても執筆を続けていると、「まだ、ランチに行かないの?」と妻からメッセンジャーで催促されます。
妻にしてみれば、夫が家に一日中いる状態は、非常に息苦しい。夫が1時間でも食事や散歩で家を離れてくれると、妻にとって「不可侵時間」が生まれ、それは一人でいられる格好の「リラックス時間」になるのです。
私にしても、同じ場所でずっと仕事をしていると集中力が落ちてきます。そういうとき、ランチに出て場所を変えると、集中力がリセットされて、食後の仕事もはかどるというわけです。
自宅外でのテレワークが会社から許可されている人は、午後からはカフェなどでテレワークをする。奥さんに「リラックス時間」を作ってあげることができますし、仕事のパフォーマンスUPにもつながります。
(5)一日3回の「ありがとう」
夫婦関係がギクシャクしている、あるいは「かなり険悪」というとき、1週間で改善できる裏技があります。それは、相手に対して一日3回「ありがとう」を口にすること。
たったそれだけの「感謝ワーク」ですが、一日3回「ありがとう」を言うのは、けっこう大変です。
照れの気持ちもありますが、「食器を片づけてくれてありがとう」「ご飯を作ってくれてありがとう」という具合に、相手の親切や思いやりの行動に対して口にするようにしないと、漠然とした「ありがとう」になってしまうからです。
逆に考えると、「ありがとう」の目で相手のプラスの部分、ポジティブな部分を見ようとすることになるので、相手に対する感謝の気持ちが自然と生まれてきます。
こうして互いにオキシトシンやエンドルフィンという「幸せホルモン」が脳内で分泌され、2人の関係が間違いなく改善されるのです。
あなたが家にいる──。ただ、それだけで、相手はあなたが想像する以上のストレスを抱えることになります。相手がガス抜きできるよう、ぜひ、今回の方法を試してみてください。
かばさわしおん
樺沢心理学研究所代表。1965年、北海道札幌市生まれ。札幌医科大学医学部卒。YouTubeチャンネル「樺沢紫苑の樺チャンネル」やメルマガで、累計50万人以上に精神医学や心理学、脳科学の知識・情報をわかりやすく伝える、「日本一アウトプットする精神科医」として活動
イラスト・浜本ひろし
(週刊FLASH 2021年3月2日号)