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【食堂のおばちゃんの人生相談】56歳・公務員のお悩み

ライフ・マネー 投稿日:2021.03.01 11:00FLASH編集部

食堂のおばちゃん」として働きながら執筆活動をし、小説『月下上海』で松本清張賞を受賞した作家・山口恵以子。テレビでも活躍する山口先生が、世の迷える男性たちのお悩みに答える!

 

【お悩み/コロンボさん(56)公務員】
 3カ月ほど前から、高校時代に亡くなった父の夢をよく見る。決まって最後に、「こらッ!」と怒られて目が醒める。体調もどこか変だ。あの世へ呼ばれているのではないか。

 

 

【山口先生のお答え】
 もしも呼んでいるなら、最後に「こらッ!」と叱ったりしないと思います。にっこり笑って優しく手招きするんじゃないですか?

 

 まあ、私もまだあの世に行ったことがないので真実は分かりかねますが、美輪明宏さんによると、幽霊の考え方は生きている人間と変わらないみたいですよ。化けて出るのは訴えたいことがあるからで、その場合、訴えを聞いてくれそうな人のところへ出るそうです。お金を借りる時、貸してくれそうな人に頼むのと同じですね。

 

 私の父は私が42歳の時亡くなりました。85歳で、まあ寿命は全うしたわけですが、所謂突然死で、救急車も間に合いませんでした。

 

 多分、入院したり看病したりという経験がないせいか、私にはどうも父の死が実感出来ないところがあって、今も平気で夢に出て来ます。夢の中では普通に会話していて、目が醒めてから「何だ、とっくに死んでンじゃん」と自覚するのを繰り返しています。

 

 若い頃は生と死が厳然と分かれていて、完全に別世界だと思っていましたが、40過ぎからは川を挟んだ両岸くらいに思えてきて、やがて川と海のように、どこまで河口でどこから海か、境目がはっきり分からなくなりました。

 

 だからコロンボさん、心配しないで。川は必ず海に注ぎ、人は必ず死ぬのです。その時期を決めるのは神か仏か知りませんが、人智を越えた力ですね。その時が来るまで、精一杯生きましょうよ。

 

やまぐちえいこ
1958年、東京都生まれ。早稲田大学文学部卒。就職した宝飾会社が倒産し、派遣の仕事をしながら松竹シナリオ研究所基礎科修了。丸の内新聞事業協同組合(東京都千代田区)の社員食堂に12年間勤務し、2014年に退職。2013年6月に『月下上海』が松本清張賞を受賞。『食堂メッシタ』『食堂のおばちゃん』シリーズ、そして最新刊『夜の塩』(徳間書店)が発売中

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