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精神科医・樺沢紫苑の「読む! エナジードリンク」転勤・異動のストレスを減らす6カ条
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2021.03.08 06:00 最終更新日:2021.03.08 06:00
(4)楽しいことを脳内シミュレーション!
転勤や異動が決まると、「新しい職場に馴染めるだろうか?」「人間関係はうまくいくだろうか?」と不安なことばかり考えがちです。
こうした不安がストレスにつながり、それが続くようだと、うつの原因にもなります。
たとえば、東京から地方に転勤する場合。「あんな片田舎になど行きたくない!」と抵抗する人もいますが、地方には食事の美味しい場所がたくさんあります。
海の幸や山の幸に恵まれ、農村地帯ならお米が美味しく野菜が新鮮で、それだけで幸せな気持ちになれます。
自然も豊かですから、トレッキングやキャンプ、釣りなどを楽しむのもいいでしよう。温泉もすぐ近くにあるかもしれません。
仕事の点でも、大都市で勤務するよりも、残業や休日出勤が比較的少なく、通勤ラッシュとも無縁で、通勤時間も短くてすむ。
つまり、自由な時間がたっぷりとれるのです。地方での生活は、楽しいことが多いのです。
地方への転勤を間近に控えているという人は、不安なことばかり考えないで、このように「楽しい」シミュレーションをしてみてください。
楽しいことをリアルにイメージすると、幸福感を司る神経伝達物質のドーパミンが脳内に分泌されますので、ワクワクが止まらなくなる。いつのまにか、転勤の不安も忘れてしまいます。
(5)「通過儀礼」をクリア!
新しい職場で、いきなり難しい仕事を振られたり、無理難題を押しつけられたりすることがあります。
最初は「イジメ?」と思うかもしれませんが、それはイジメではなく「通過儀礼」です。
「そんなことできるか」とふてくされてしまっては、あなたは新しい職場で「不適格」の烙印を押されるかもしれない。しかし、試練を見事にクリアすれば、まわりはあなたに一目置いてくれます。
私がある病院に赴任して早々、看護師長から「Aさんを落ち着かせてください」と言われました。Aさんというのは、重度のアルツハイマー型認知症患者で、10分おきにナースコールを鳴らす人だったのです。
私は、Aさんへの家族の面会が2、3カ月に1回しかないことに気づきました。私は、Aさんの問題行動の原因は「寂しさ」にあると考え、家族に面会の回数を増やしてもらうようにしました。
また、看護学生をAさんの担当につけ、Aさんが会話をする時間を増やしました。すると、Aさんがナースコールを何度も鳴らすようなことはまったくなくなったのです。
それ以後、私は「この先生はすごい」とまわりから尊敬の目で見られるようになり、仕事がとてもやりやすくなったのです。
どこの職場でも似たようなことはあると思います。この「通過儀礼」さえ突破すれば、「新しい職場」で仲間として認められます。一気に信頼を獲得し、仕事もやりやすくなるのです。
(6)「相談者」を見つける!
ストレスを抱えている人にとって、最高のストレス解消法は、「人に相談する」こと。
悩みや問題にぶつかったときに、気軽に相談できる人がいると、ものすごく気持ちは楽になります。ですから、そういう「相談者」を身近に一人でも持つことはとても大切です。
新しい職場で全員と仲よくするのは大変なことです。精神的にも疲れます。なので、まずは「相談者」や「キーマン」との関係構築に集中する。そのほかの人との人間関係はじっくり時間をかけて築いていけばいいのです。
ということで、新しい職場での人間関係の構築法など、転勤や人事異動の際のストレスを減らすポイントをお伝えしました。転勤や人事異動は、精神的には大変ですが、見方を変えれば、楽しいこともたくさんあるのです。
新しい職場を「天国」にするのも「地獄」にするのも、あなたの行動次第。6つのポイントを押さえて、ぜひ天国にしてください!
かばさわしおん
樺沢心理学研究所代表。1965年、北海道札幌市生まれ。札幌医科大学医学部卒。YouTubeチャンネル「樺沢紫苑の樺チャンネル」やメルマガで、累計50万人以上に精神医学や心理学、脳科学の知識・情報をわかりやすく伝える、「日本一アウトプットする精神科医」として活動
イラスト・浜本ひろし
(週刊FLASH 2021年3月16日号)