続いては、東武東上線の坂戸駅(埼玉県)から車で8分ほどの「春皐園」。まず驚かされるのが、その広さである。代表の町田康寛さん(28)が語る。
「宅地だけで1000坪。裏の田んぼ、離れの畑を入れたら3000坪になります。都内から離れた場所ですが、車で来ていただいています」
当初は、民泊として貸し出していたという。
「海外の方がおもな利用者だったのですが、1階が宿泊所、2階が家族の居住スペースなので、多少抵抗があったんです。そこで、2年半ほど前からスペース貸しに切り替えました」(町田さん・以下同)
なにしろ1階だけで50畳近くの広さ。部屋を区切っての利用も可能で、利用方法はさまざまだ(最低利用時間は3時間、1時間2000円から)。
「今なら、『鬼滅の刃』などのコスプレ撮影会が多いですね。来てくださった方がリピーターとなって、今では全国から来ていただいています。撮影会に続くのが、同窓会やママ友の集まりです。
利用者は女性が7割で、年齢層は20~30代が中心ですね。また、地域のイベントにも利用してもらっています。その場合は敷地全部を使ってキッチンカーを入れたり、バーベキューをやったり。裏庭の竹林を利用して、“流しそうめん” をしたこともあります」
町田さんは会社勤めをしているため、営業は土日限定だ。それでも、月の売り上げが30万円を超えたこともある。
「もともと、『固定資産税ぶんにでもなれば』くらいに思っていたのですが、やり始めてから、いろんな需要があることがわかり驚きました。歴史ある家屋なので、いろんな方が交流する場になって嬉しいです」
生活経済ジャーナリストでファイナンシャルプランナーの和泉昭子氏は、今後も人気が続くと考えている。
「スマホアプリの普及で、提供側とユーザーのマッチングから課金までが、一括で簡単にできるようになりました。雇用の継続性や、将来的な賃金の伸びが期待できなくなっているので、時間や場所、技術など、個人の余剰部分を刻んで貸し出すビジネスは今後、どんどん増えると思います。
挑戦する場合、利用者とのトラブルや赤字など、リスクもしっかり把握しましょう」
あなたの実家も、古びた家と侮るなかれ。“金のなる木” になるかも! 以下の関連リンクでは、「あおさや」と「春皐園」の屋内を公開する。
(週刊FLASH 2021年3月16日号)