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樺沢紫苑の「読む!エナジードリンク」AI時代に勝ち残る「2つの力」

ライフ・マネー 投稿日:2021.04.12 06:00FLASH編集部

樺沢紫苑の「読む!エナジードリンク」AI時代に勝ち残る「2つの力」

 

 コロナ禍ではありますが、今まさに全国の小・中・高・大学で入学式がおこなわれている最中かと思います。お子さまの新しい門出を祝ったばかりという読者の方もいるでしょう。

 

 これから世の中は、テクノロジーが日進月歩で進化する「AI(人工知能)時代」に突入します。

 

 しかし、その一方で、日本では「少子高齢化が進み、若者の人口は減っていく」「富裕層と貧困層の二極化が進む」といった、ネガティブな予測も多く出ています。コロナ禍から始まった「令和」の世は、どうやら激動の時代になりそうです。

 

 

 そんな時代を乗り切るためには、どんな能力が必要なのか。それを育てる・伸ばすために、親の世代は子供たちに何ができ、どう関わっていけばいいのか?

 

 今回は、これからのAI時代に必要な2つの力「好奇心」と「アウトプット力」についてお話しします。

 

■「好奇心」でAIに勝つ

 

 AI時代を生き延びるために最も重要な能力をひとつ挙げろと言われたら、私は「好奇心」と即答します。

 

 新しい情報や体験に興味を持ち、それを自分で調べ、積極的に取り入れていく……。こうした「新しさ」に積極的にチャレンジする姿勢の源泉が好奇心です。

 

 現在のAIは、ビッグデータの分析、解析を得意としています。半面、最も苦手とするのは、0から1を生み出す力。好奇心は、その力のもととなります。

 

 好奇心が生み出す、誰も考えつかないような斬新な発想、発明、アイデアでは、当面の間はAIよりも人間に勝算があります。

 

 逆に言うと、単純作業、単純労働の多くは、AIを搭載したロボットが担当することになるでしょう。

 

 数年前に「AI時代では、多くの人が今の仕事を失う」といった情報が飛び交いました。実際のところすべての職業がAIに奪われることはないでしょうが、単純作業ではAIに勝てないことだけはたしかです。

 

■没入体験を妨げない

 

 では、好奇心を養うにはどうすればいいでしょうか。
 子供の場合ですと、「好きなことに没入する」という体験が大切です。

 

 たとえば、夕食どきに子供が一心不乱にお絵かきをしているとしましょう。

 

 親はそれを中断させてはダメです。

 

 にもかかわらず、「ご飯の時間だから、すぐに片づけなさい!」などと急かして、集中力がピークの状態にある子供の没入体験を全否定している親がじつに多くいるのです。

 

 子供の集中力は、15分が限界。ですから、没入したピークから少しずらして、少し飽きてきた段階で、声かけをするべきでしょう。

 

 子供は全員、好奇心が旺盛です。

 

 しかし、大人になるにつれ、みるみる失っていく人も多い。それは、親や教師が子供に現実を突きつけることで、その芽を摘み取っているからです。

 

 子供は「好奇心」にスイッチが入ると、瞬間、目がキラーンと輝きを放ちます。大人はこの瞬間を見逃さないことが大事。

 

 優しく見守るスタンスで、子供を応援してあげると、子供の好奇心は大人になっても増えこそすれ、減ることはありません。

 

 子供が自分から「習い事をしたい」と言ったときなどは、大きなチャンスです。間違っても、「そんなの将来なんの役にも立たないから」などと好奇心の芽を摘むようなことを口にするのはNGです。

 

 ところで、好奇心や創造性に関連した神経伝達物質に「アセチルコリン」があります。「閃いた!」という瞬間におおいに分泌されています。

 

 アセチルコリンは、初めての場所に行ったり、初めての道を通るだけでも分泌されるといいます。

 

 幼い子供を動物園や水族館に連れていって初めて見る動物を見せたり、旅行に連れていったりすることで、子供の脳内でアセチルコリンの作用が活性化し、好奇心を育むことにつながるのです。

 

 大人についても、初めての体験をなるべく絶やさないようにしていれば、好奇心の減退を防ぐことができます。

 

■消える「インプット型仕事」

 

 先ほど、「単純作業では人間はAIに勝てない」と言いましたが、AIに取って代わられる仕事の典型は「インプット型の仕事」です。

 

 インプット型の仕事をしている人は職を失い、「アウトプット型の仕事」をしている人は大活躍する――そういう世の中になっていくと思います。

 

 冒頭の図にも例を載せましたが、インプット型の仕事とは、早い話が「言われたことを言われたとおりにやる」受動型の仕事。

 

 アウトプット型の仕事とは、「自分で考え、自分から動く」能動型の仕事です。

 

 今までの日本社会では、「受動型」の生き方の人が、うまくいっていました。

 

 親の言うとおりに行動し、先生の言うことをよく聞いて勉強し、会社に入ってからも上司の命令どおりに仕事をする……そんな人たちです。

 

 でも、これからは違います。2020年代にAIは急激に進化し、今の中学生が就職するころには、あらゆるものに組み込まれているでしょう。

 

 こうして人間と同等か、それ以上の知能を獲得し、人間の代わりに仕事をするようになります。

 

 AIは単純作業、事務処理作業、計算、データの分析などは大の得意。つまり、言われたことを言われたとおりにやるインプット型の仕事は、ほとんどがAIに取って代わられるはずです。

 

 それによって、受動型の生き方が通用しにくい世の中になっていくでしょう。

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