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樺沢紫苑の「読む!エナジードリンク」部下とうまくつき合う5つの方法
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2021.05.03 06:00 最終更新日:2021.05.03 06:00
4月の人事異動。管理職に昇進して初めて部下を持ったという人もいるでしょう。
あるいは、転勤、配置転換などで、新しい部下とのつき合いが始まった、という人も多いはず。
職場におけるストレスの9割は「人間関係」から来るといわれます。そして、「職場における人間関係のストレス」のなかで、最も相談が多いのが「上司と部下の関係」によるものです。
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管理職の場合、部下との関係がうまくいかないと仕事の進捗に関わります。結局、仕事の遅れや部下の失敗の尻拭いを自分がしなければいけない……ということも。
今回は、上司の立場から見た「部下とうまくつき合う方法」についてお伝えします。
(1)適切な距離感
人間関係においてきわめて重要なのは、「適切な距離感」です。
以前、この連載で「ヤマアラシのジレンマ」について紹介しました。近すぎると相手を傷つけるし、遠すぎると寂しい。適切な心理的距離感が最も心地よい。これは、職場の人間関係にもあてはまります。
「飲みニケーション」世代の年長の上司は「もっとコミュニケーションが必要」と思う一方で、若い社員は「プライベートまで立ち入らないでほしい」「放っておいてほしい」と考える。
そんなコミュニケーションの温度差・心理的距離感の違いが、上司と部下の関係がこじれる原因です。
上司としては、立ち入りすぎない、少し距離をおいて見守る。部下としては、困ったらこじれないうちに相談する、たまには「飲み会につき合う」といった、互いの譲歩が必要です。
私が考えるに、上司は「困ったらいつでも相談して」というスタンスがよいと思います。相手の領域には立ち入らないけど、「こちらにはいつでも来ていいよ」というオープンな雰囲気。
この距離感を保てれば、「頼れる上司」として部下に認識されます。
(2)「ちょい難」課題で部下を成長させる!
人間の脳は「ちょい難」を好みます。部下に難しい仕事をまかせると、最初から「無理」と拒絶されたり、どうすればよいかわからずに思考停止に陥ります。
逆に簡単な仕事をまかせると、「やりがいがない」「こんな単純な仕事はしたくない」と感じます。
部下の能力を見極めて、ちょっとだけ難しい、頑張ればなんとかクリアできる難易度の課題をまかせる。そうすると部下の意欲が湧き、仕事のおもしろさにも気づくのです。
なぜならば、課題が「ちょい難」くらいだと、脳内物質であるドーパミンの分泌を最も活性化させるからです。ドーパミンが分泌されると「楽しい」と感じ、集中力や脳の働きをアップさせますから、実際に仕事も効率的に進んでうまくいくのです。
部下に同じ仕事をしてもらうにしても、指示を分割するだけで「ちょい難」に変換することができます。
たとえば、「1週間後までに企画書を書き上げろ!」と指示しても、何をどうすればよいかわからずフリーズしてしまう部下も多い。
その場合、「企画に使えそうなネタを明日までに10個考えてくる」「企画書に盛り込む統計データを3つ以上集める」など、ステップ・バイ・ステップで指示出しをしていく。
そうすることで、能力が高くない部下でも「目前の課題」に集中できるし、指示をひとつクリアするごとに「達成感」を得ることができ、モチベーションも上がります。