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【食堂のおばちゃんの人生相談】51歳・会社員のお悩み
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2021.05.31 11:00 最終更新日:2021.05.31 11:00
「食堂のおばちゃん」として働きながら執筆活動をし、小説『月下上海』で松本清張賞を受賞した作家・山口恵以子。テレビでも活躍する山口先生が、世の迷える男性たちのお悩みに答える!
【お悩み/匿名希望(51)会社員】
私は千葉県在住、70代後半の両親は宮城県で2人暮らしです。今年、母が癌で手術しましたが「いつ再発するかわからない」と言われました。父母のために実家に帰るべきですか?
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【山口先生のお答え】
それはご心配ですね。癌は今や国民病で、日本人の死亡原因の第1位です。私は、癌になったら放っておこうと思っています。大好きな小説が毎日書けるようになったので、もういつ死んでも満足ですから。
私のことはさておき、あなたのお悩みです。私の勤めていた丸の内新聞事業協同組合の従業員にも、高齢のご両親の世話をするために仕事を辞め、郷里へ帰った人が何人かいました。12年間に5名くらいで、みなさん50代です。そしてみなさん独り身でした。
正直、ご両親は良いとして、本人はどうなってしまうのか、他人事ながら私は心配です。地方では中高年向けの仕事が少ない上に、長年東京で暮らしていると、地元の交友関係も希薄になります。仕事もなく、友人もなく、1人で老いてゆくのは辛いです。
私はあなたとはまったくの他人なので、敢えて情に流されずに冷たいことを申し上げますが、生活の基盤が現住所にあるのなら、それを捨てて故郷へ帰るのはおよしになった方が良いと思います。
はっきり言って、お母さまの癌が再発するか否かは、あなたがそばにいてもいなくても関係ありません。もし不幸にして再発し、再入院になったら、有給その他を活用して看病にお帰りになるのがよろしいと思います。今ある仕事と交友関係を大切にして下さい。
やまぐちえいこ
1958年、東京都生まれ。早稲田大学文学部卒。就職した宝飾会社が倒産し、派遣の仕事をしながら松竹シナリオ研究所基礎科修了。丸の内新聞事業協同組合(東京都千代田区)の社員食堂に12年間勤務し、2014年に退職。2013年6月に『月下上海』が松本清張賞を受賞。『食堂メッシタ』『食堂のおばちゃん』シリーズ、そして最新刊『夜の塩』(徳間書店)が発売中