■オキシトシンを簡単に得る方法(2)小さなペットを飼う
犬や猫などを抱っこしたり、なでなでしたりすると、とても癒やされた気分になります。それは、ペットとのスキンシップやコミュニケーションによって、人間同士のときと同様にオキシトシンが分泌されるからです。
興味深いのは、人間とペットの両方(双方)で、オキシトシンが分泌されるという点。動物をなでなですると、気持ちよさそうな表情をうかべますが、その瞬間に動物にもオキシトシンが分泌されているのです。自分にとってもペットにとっても効果があるのが、 “ペットなでなで” なのです。
ちなみに、5分間犬とたわむれるだけで、ストレスホルモンである「コルチゾール」の分泌量が低下します。
また、直接的なスキンシップではなく、動物と目が合っただけでも、オキシトシンが分泌されるという研究もあります。
そうはいっても、住んでいるマンションが犬や猫を飼うのを禁止しているという人も多いでしょう。また前述のように、仕事が忙しい人や出張が多い人も、犬や猫の世話をするのは難しい。
そういう人は、金魚や熱帯魚などのアクアリウム、小鳥、ハムスターなどの小動物、昆虫の飼育など、犬や猫に比べて世話の手間が少ないペットでも「癒やし」の効果が得られます。
たとえば、アルツハイマー病の高齢者の生活にアクアリウムを取り入れたところ、開始3週間で食欲が改善して食事の量が増え、4カ月間で体重が増加しました。
高血圧患者に関しては血圧が低下した、などのプラスの効果も報告されています。
人に対して「親切にする」とオキシトシンが分泌されます。人に「親切にする」のも、植物や動物に対して「親切にする」のと同じで、すなわちオキシトシン分泌、つまり「癒やしの効果」が得られるのです。
とくに今回紹介した「植物を育てる」という方法は、誰でも簡単にできる方法なので、ぜひお試しください。
かばさわ・しおん
樺沢心理学研究所代表。1965年、北海道札幌市生まれ。札幌医科大学医学部卒。YouTubeチャンネル「樺沢紫苑の樺チャンネル」やメルマガで、累計50万人以上に精神医学や心理学、脳科学の知識・情報をわかりやすく伝える、「日本一アウトプットする精神科医」として活動
イラスト・浜本ひろし
(週刊FLASH 2021年7月20号)