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樺沢紫苑の「読む!エナジードリンク」孤独でも簡単に幸福感を得る2つの方法

ライフ・マネー 投稿日:2021.07.12 06:00FLASH編集部

樺沢紫苑の「読む!エナジードリンク」孤独でも簡単に幸福感を得る2つの方法

オキシトシンを簡単に得るには

 

「孤独」は「孤毒」。孤独は、1日15本の「喫煙」に匹敵するほど健康に悪い、あるいはアルツハイマー病のリスクが孤独でない人の2.1倍、うつ病のリスクが2.7倍になるなど、メンタルにも著しく悪影響を及ぼします。

 

 しかし、そういう話をすると「1人でいるときがいちばん楽で、人と一緒にいると精神的に疲れます。1人のままでは幸福感を味わえないのですか?」といった質問が、必ずといっていいほど私のもとに寄せられます。

 

 

 その質問に対する回答も含め、今回は「孤独と幸福感」について考察をしてみます。

 

■孤独は「友達の数」では決まらない

 

 その人が、本当に孤独なのかどうかを客観的に評価、判断するのはとても難しいことです。

 

 たとえば、子供夫婦と同居している高齢者の場合。

 

 同居家族がいるから「孤独ではない」と思えますが、家族から邪魔者扱いされ、本人が「居場所がない」「お世話になってしまい申し訳ない」と感じ、強いストレスを抱いているとしたらどうでしょう。「支えられている」という「つながり感」を持てないので、それは孤独になります。

 

 あるいは、友達がたくさんいて、いつも誰かと遊んでいるAさん。

 

 しかし、本当に困ったときに相談できる友達が誰もいなかったとしたら……。それは、非常に寂しいことです。表面的な関係の友達はたくさんいても「親友」と呼べるような友達が1人もいないとするならば、それは「孤独」だと思います。「寂しい」からこそ、毎日のように誰かと遊ぶわけですね。

 

 逆に、1人暮らしの高齢者でも週に何度か友達とお茶したり、趣味のサークルに参加したりなど、人との接点がたくさんあり、そうした人間関係に満足感を持っているとするならば「孤独」とはいえません。

 

 あるいは、友達が1人しかいなくても、その友達と深い関係を築けているのなら、孤独にはならないでしょう。孤独とは「友達の数」「家族との同居」「パートナーの存在」といった、単純なことでは決まらないということです。

 

■「孤独が好き」とはいっても……

 

「1人が好き」という人は多いと思います。私もどちらかというと、たくさんの人といるよりは、自分1人でいる時間のほうがリラックスできます。しかしながら、時々は友達たちと食事をしたりしたいものです。

 

「1人でいるのが好き」とはいっても、友達が1人もいない、遊びや飲み会に誰からも誘われないとしたならば、寂しく感じることもあるでしょう。友達「0人」と「1人」とでは、心理的に雲泥の差があります。

 

 実際には、そんなに頻繁に会わないとしても、遊びや飲み会をともにできる友達がいるだけで「つながり感」が持てる。結果として「孤独」とはいえなくなるのです。

 

「人の間」と書いて「人間」と呼びますが、人間は1人では生きてはいけないのです。

 

 人との楽しいおしゃべり、あるいは夫婦や恋人、親子のスキンシップ。そのときに、愛とつながりのホルモン「オキシトシン」が分泌されます。オキシトシンは「幸福ホルモン」とも呼ばれ、これが分泌されると、人は「幸せ」を感じます。ホッとする「つながり感」や「癒やされ感」も、オキシトシンの効果と考えられます。

 

 人とのつながりによって得られる幸福が「オキシトシン的幸福」。しかし、「パートナーがいない」「友達もほとんどいない」という人や、冒頭の質問のように「1人でいるのが楽」という人は「オキシトシン的幸福」を味わうことはできないのでしょうか? そう考える人のために、人とコミュニケーションしなくても、オキシトシンが分泌される簡単な方法を2つお伝えしましょう。

 

■オキシトシンを簡単に得る方法(1)植物を育てる

 

 ひとつめは「ガーデニング」です。ガーデニングといっても、立派な鉢植えである必要はありません。100円ショップなどに売っているプランターで十分です。

 

 たとえば、食べ終えた豆苗の根の部分をプランターの中で水につけ、日の当たる場所に置いて、毎日、水を取り換えます。豆苗がスクスクと育ち、1週間ほどでまた食べられるようになります。

 

 やることは、水の取り換えだけですから1分でできます。じつは、私も事務所のベランダで豆苗を育てています。好天が続けば、すごい勢いで成長します。前日より成長しているのが実感でき、張り合いがあります。自分の手間が形となって現われるのは、見ていてとても気持ちがいいものです。

 

 オキシトシンを分泌させるには、後述のように「ペットを飼う」のもおすすめですが、仕事が忙しい人や出張が多い人の場合、それは難しいことでしょう。しかし、ガーデニングであれば、簡単にできます。

 

 動物の世話でオキシトシンが分泌されることは、以前からわかっていました。ガーデニングや農作業など植物を育てることでもオキシトシンが分泌されることがわかってきたのは、最近のことです。

 

 ある研究によると、老人ホームの入居者グループに、毎日観葉植物の世話などの簡単な仕事をまかせたところ、幸福度が上がり、死亡率が半分に下がったといいます。植物の世話によって、オキシトシンが分泌されるためと推測されます。

 

 高齢者にとって「植物の世話」という役割を与えられることは「生きがい」を与えられるということを意味します。結果として、自己重要感(自分が他人に必要とされている感覚)が上がり、オキシトシンが分泌されて期待以上の健康効果(死亡率の低下)が得られたのでしょう。

 

 もちろん、この効果は高齢者に限定されるものではありません。植物を育てるのに、出費は数百円程度、手間もそれほどかからずに効果が得られるわけですから、孤独による寂しさを感じている人や幸福感を感じたい人は試してみてはいかがでしょう?

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