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食堂のおばちゃんの人生相談「食事中のスマホ、注意したくなる」

ライフ・マネー 投稿日:2021.07.12 11:00FLASH編集部

食堂のおばちゃん」として働きながら執筆活動をし、小説『月下上海』で松本清張賞を受賞した作家・山口恵以子。テレビでも活躍する山口先生が、世の迷える男性たちのお悩みに答える!

【お悩み/山本正紀さん(52)会社員】
 私はよく牛丼屋や定食屋に行きますが、待ち時間も食べている間もずっとスマホをいじっているお客が多いのが気になります。仕事ならともかく、食べながらゲームをやっている客を見ると「食事かスマホかどっちかにしろ!」と注意したくなります。こんな私って変ですか?

 

 

【山口先生のお答え】
 いいえ、山本さん。仰る通りです。私が子供の頃は食べながら本や新聞を読むと「行儀が悪い」と叱られたものです。しつけの厳しい家庭では、食事中はテレビを消していました。

 

 山本さんのお考えは礼儀作法にもかなっていますし、健康上も正しいです。スマホをいじっていると、消化に使うべき血液が胃に流れず、頭に取られますからね。

 

 ただ、食べながらスマホをいじっている人たちも、決して「行儀が良い」とは思っていないでしょう。そして、牛丼屋さんや定食屋さんではスマホをいじっても、フレンチレストランで同じことは出来ないと思います。ナイフとフォークで両手がふさがっちゃうし。

 

 それでね、山本さん、実は私、一人で居酒屋に行って飲み食いしながら文庫本読むの大好きなんですよ。家で一人晩酌をするとき(我が家は母も兄も下戸)は、テレビを観てます。『吉田類の酒場放浪記』『孤独のグルメ』が大好き。

 

 はい、分かってます、行儀悪いですね。でも、行儀悪いことって楽ちんなんですよ。身も心も癒されるのね。

 

 たぶん若者にとってのスマホが、私にとっての文庫本に当たるんだろうと思います。だから肩を持つわけじゃ ……いえ、肩を持ちますが、どうか大目にみてやってください。彼らも行儀悪いことは分かっていますし、高級なお店ではスマホをいじりながらご飯を食べたりはしません、きっと。

 

 ここからは余談ですが、私の場合、本やテレビの「ながら食べ」は大好きなんですが、「なま」がダメなんです。なま歌、生演奏、生ダンス……所謂実演ってやつですか。

 

 人がご飯食べてる横でヴァイオリンなんか掻き鳴らされると、もう気が散って喰った気がしなくなるんですよ。それに、こっちがメシ食ってるのに、そばにピアノ弾いてる人や歌ってる人がいると、何となく申し訳ない気分になるじゃありませんか。すいませんねえ、みなさんが働いてる横で酒呑んじゃって……なんて。

 

 というわけで、私は「ノーパンしゃぶしゃぶ」は嫌いですね。あんなもの見せられたら気が散ってご飯に集中出来ないし、第一消化に悪いでしょう。食べ終わった時点でパンツ脱ぐとか、ノーパンを堪能してからしゃぶしゃぶするとか、そうしないと真のサービスとは言えないと思うんです。だから「酒池肉林」は間違っていると思います。色気と食い気は別々に満たさないと、真の満足は得られないものです。

 

やまぐちえいこ
1958年、東京都生まれ。早稲田大学文学部卒。就職した宝飾会社が倒産し、派遣の仕事をしながら松竹シナリオ研究所基礎科修了。丸の内新聞事業協同組合(東京都千代田区)の社員食堂に12年間勤務し、2014年に退職。2013年6月に『月下上海』が松本清張賞を受賞。『食堂メッシタ』『食堂のおばちゃん』シリーズ、そして最新刊『夜の塩』(徳間書店)が発売中

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