食堂のおばちゃんの人生相談「営業所のおばちゃんに嫌われないためには」

「食堂のおばちゃん」として働きながら執筆活動をし、小説『月下上海』で松本清張賞を受賞した作家・山口恵以子。テレビでも活躍する山口先生が、世の迷える男性たちのお悩みに答える！

【お悩み／匿名希望（55）会社員】

　東北へ4年間単身赴任して、やっと本社に帰ってきたと思ったら、今度は地方の営業所へ。ていのいい肩たたきということはわかっているが、なんとか定年まで頑張りたい。でも、パートのおばちゃんに囲まれて男は私一人。話題にはついていけないし、正社員であることや妻が専業主婦、子供が私立校に通っていることなどイヤミを言われる。どうしたらおばちゃんたちに嫌われず、うまくやっていけますか？

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【山口先生のお答え】

　それは、それは、お気の毒に。でも、おばちゃんに囲まれた黒一点の方が、おっさんに囲まれた紅一点よりは恵まれていると思うので、あまり悲観しないようにね。

　ズバリ言いますが、おばちゃんの好物は他人の不幸です。おばちゃんに好かれたかったら、悲劇をアピールしましょう。

　曰く、妻には愛想を尽かされ、子供には見下されて口も利いてもらえない。年老いた両親の介護もままならな い。家族の中で唯一愛を捧げてくれた愛犬のマリは行方不明に。引き裂かれた初恋の女性と40年ぶりに再会したが、彼女は死の床に……等々。

　とにかく、あることないこと言って相談し、同情を引きましょう。そうすればあなたはたちまち営業所のアイドル、間違いなしです！

やまぐちえいこ
1958年、東京都生まれ。早稲田大学文学部卒。就職した宝飾会社が倒産し、派遣の仕事をしながら松竹シナリオ研究所基礎科修了。丸の内新聞事業協同組合（東京都千代田区）の社員食堂に12年間勤務し、2014年に退職。2013年6月に『月下上海』が松本清張賞を受賞。『食堂メッシタ』『食堂のおばちゃん』シリーズ、そして最新刊『夜の塩』（徳間書店）が発売中